rc造の住宅は安心といえるのか?構造の特徴と壁厚について

rc造とは、住宅などの建物の造り方の名称です。

柱や梁、または壁などの主要構造部に鉄筋の入ったコンクリートを使った建物の造り方をいいます。

そしてrc造の構造には2種類あり、それによって壁厚なども変わってきます。

今回はrc造について、2種類の構造の特徴や適した壁厚などについて学んでいきましょう。

さまざまな住宅が混在する中、rc造の構造は安心か?

皆さんは、住宅を選ぶときにその造り方や構造まで気にして選んだことがあるでしょうか。

賃貸物件などを選ぶ場合は、普通は、立地や間取り、そして家賃などがまず気になると思います。

構造といわれても、どれが良いか悪いかまではなかなかわからないのが本音でしょう。

しかし、分譲マンションや戸建て住宅などを購入しようという場合は、一生住むことを前提としているため、多少は構造も気になるのではないでしょうか。

あの阪神淡路大震災のあと、2005年に耐震偽装問題が世間を騒がせたこともあり、今では建物の構造を気にする人も多くなりました。

そして、国の耐震基準に対する規制も厳しくなったため、それ以降に建てられたマンションなどは、比較的構造のしっかりしたものが多いといえます。

しかし、住宅というものは40年、50年、中には100年と長い耐久性を持つため、現在はさまざまな建物が混在している状況です。

この中で、失敗しない住宅を選ぶためには、建物の構造の特徴や壁厚などを知ることが大切になってきます。

そこで、まずはrc造をはじめ住宅の造り方の分類について、簡単に説明していきたいと思います。

rc造は住宅のうちマンションでは一般的な工法といえる

住宅などの建物は、大きく分けてsrc造、rc造、鉄骨造、木造の4種類があります。

例えば賃貸住宅を探すような場合、皆さんも物件概要のところにrc造や木造などと書かれているのを見たことがあると思います。

木造は柱や梁を木で組んだ造りのものをいい、鉄骨造は骨組みに鉄骨を使用したものです。

そしてrc造はReinforced Concreteの略で、強化コンクリート、つまり鉄筋の入ったコンクリートを構造部に使用したものです。

ちなみに、src造はSteel Reinforced Concreteの略で、鉄骨を内蔵した鉄筋コンクリート造のことをいいます。

このうちsrc造は最も強度に優れているので、高層建築によく用いられますが、建築コストが高くなるため、一般的な低中層マンションなどはrc造が用いられます。

ちなみに、アパートやハイツは木造や軽量鉄骨造、マンションは重量鉄骨造やrc造、高層マンションはsrc造というのが一般的な区分けです。

しかし、中には木造でもマンションと称したり、rc造でも○○アパートなどと名付ける場合もあり、名前だけではその構造まではわかりません。

そのため、住宅を選ぶ際には、名前に惑わされることなく、物件概要やあれば図面などで構造や壁厚などを確認することが大切といえるでしょう。

この中で、マンションにおいて最も一般的な工法であるrc造に焦点を当てて、もう少し掘り下げてみたいと思います。

壁式構造のrc造の特徴と壁厚は?

まずは、rc造の構造の種類についてですが、rc造には壁式構造とラーメン構造の2種類があります。

壁式構造は、柱と梁の代わりに、耐力壁で住宅の荷重を支える構造をいいます。

ひとことでいうと、「壁で持たせる」造り方ですね。

この耐力壁とは、鉄筋コンクリート製の壁に斜めに筋交いを入れたものや、構造用合板などの面材を使った厚い壁になります。

この壁自体に、建物の自重や積雪などの縦方向の力と、地震などによる水平方向の力に抵抗して、住宅を支える力があるのです。

阪神淡路大震災の際にも、この壁式構造の建物は倒壊しなかったというから、強度はお墨付きですね。

ところで、壁式構造の特徴としては、柱や梁がないため、室内に柱や梁の出っ張りがなく、すっきりとした四角い室内空間が実現できます。

そして、外壁や戸境壁に耐力壁を用いているため、壁厚があり、防音性に優れていることもメリットといえるでしょう。

ただし、壁自体が躯体の役目もしていることから、大きな窓などで壁に穴を開けることは避けた方がよいといえます。

また、広い住宅では部屋の真ん中にどうしても耐力壁が必要になってしまったりと、間取りに関しての自由度が低くなってしまうデメリットがあります。

そして、壁のみで支えていることから、5階建てくらいまでが限度といわれています。

ちなみに、この壁式構造の場合の壁厚は、一般的に160ミリ前後で、180ミリあれば強度だけでなく防音性も高いといえます。

同じrc造でもラーメン構造は壁厚が薄くなる

次に、ラーメン構造について見ていきましょう。

ラーメンというと、日本では中華そばを想像しがちですが、ドイツ語で枠のことをラーメンといい、壁式に対して「枠で持たせる」造り方です。

このラーメン構造は、rc造だけでなく、鉄骨造でも多く採用されています。

住宅の荷重を柱と梁で持たせるため、柱や梁を太くし、その結合部分が変形しにくい剛接合という固定方法を用います。

これにより、住宅を地震などの横揺れに耐えられる構造にします。

基本的にラーメン構造では、柱と梁で支えるため、構造のための壁は必要ありません。

そのため、窓の大きさや位置、間取りのレイアウトなどが自由に決められます。

ただ、柱や梁が太くなる分、それが部屋の中に出っ張りとして出てしまうため、家具の配置などに工夫が必要になります。

そして、壁厚は壁式構造に比べて薄くなるのが一般的です。

そのため、同じrc造でも、ラーメン構造の方が防音性は低いといえるでしょう。

このように、rc造といっても、壁式構造とラーメン構造では、いろいろな違いがあるのです。

rc造の住宅はコストがかかるため家賃も高めになる

ところで、rc造の特徴は、鉄筋の枠組みにコンクリートを流し込んで施工する点ですが、コンクリートは木造や鉄骨造に比べて、コストがかかります。

建築コストが掛かるということは、分譲住宅では物件価格に、賃貸住宅では家賃にそれが反映されます。

そのため、同じ広さの賃貸マンションであっても、鉄骨造よりもrc造の方が高い家賃になるといえます。

ちなみに賃貸サイトで調べてみると、大阪府高槻市で築20年以内の50㎡以上の2DKという条件で、鉄骨造は7.4万円、鉄筋系は8万円が相場でした。

つまり、賃貸で家賃の安さだけを追求すると、強度や耐震性に劣る防音性のよくない物件に住むことになりかねません。

よいものは高い、やはりこれが物件選びの鉄則といえるでしょう。

また、同じrc造であっても、壁式構造かラーメン構造かによって、防音性にも違いがでます。

コンクリートの壁厚に差があるからです。

地震で被害に遭いたくない、騒音問題に悩まされたくないという人は、最低でもrc造を選び、なおかつ壁式構造を選択するべきでしょう。

壁式構造であれば、強度もあり、外壁や戸境壁全体に厚めの鉄筋コンクリートが使われているため、防音性は高いといえます。

安心できる壁厚のある壁式構造の見分け方

では、rc造の住宅のうち壁式構造とラーメン構造を、素人がどのようにすると見分けられるでしょうか。

建設中の物件ならともかく、内装後とあっては、壁を剥がすわけにもいきませんね。

そこで役に立つのが、これまで述べてきた各構造の特徴の違いです。

その見分け方は、まず6階建て以上の建物であれば、ラーメン構造が一般的なので、5階建てまでの物件を選ぶことが必要です。

次に、住宅の室内を内覧する際に、柱や梁の出っ張りがないかどうかを確認しましょう。

室内にでこぼこと柱が出っ張っていればラーメン構造で、壁式構造ならば、出っ張りのない四角い部屋になっているはずです。

そして、通常より大きな窓などの開口部があるのもラーメン構造と考えられます。

最後に、実際にベランダの壁や戸境壁などを叩いてみましょう。

コンクリートが詰まっている固い音がすれば壁式構造かもしれません。

逆に、中が空洞になっているような壁ならば、コンコンと響くような音がするはずです。

実際に目で確かめるのなら、バスルームの天井にある開口部から壁厚を確認することもできます。

これらの点で住宅の構造をチェックすることで、素人でも壁式構造の部屋を見分けることができます。

構造を知って壁式構造のrc造の住宅で快適な住空間を

せっかく選んだ住宅なのに、入居した後に強度の不安に怯えたり、騒音問題に悩まされたりしたくはないですよね。

もちろん、壁式構造のrc造だから絶対安心とはいえませんが、少なくとも木造や鉄骨造、またラーメン構造のものよりは安心できるはずです。

皆さんも、構造を知ることで、是非快適な住空間を手に入れていただきたと思います。