賃貸経営の駐車場や、土地を有効活用するために、月極め駐車場の経営を始めようかと考えている方もいらっしゃいますよね。
駐車場が砂利のままでは、車体やタイヤを傷つける恐れや、雑草管理に手間がかかります。
それらのリスクを防ぐために、多くの方が地面を舗装する外構工事を行います。
舗装方法はセメント、コンクリート、アスファルトなどがありますが、値段などの違いはどこにあるのでしょうか。
セメントはつなぎの役目!建築資材の違い
セメント、コンクリート、モルタル、アスファルトという言葉は、一度は耳にしたことがあると思います。
しかし、それらの違いについて、詳しく説明できますか。
工事関係者以外の方にとっては、「道路や駐車場、建物に使う建築資材」といった程度の認識の方が多いかもしれませんね。
ここでは、私達の身近にあるにも関わらず、意外と知られていない建築資材の違いについてまとめてみました。
●セメント
石灰石、珪石、粘土、酸化鉄または鉄鋼を混ぜて、細かく粉砕したものです。
セメントだけでは強度は弱いです。
ですから、セメントだけではなく、砂利や砂を混ぜて、コンクリートやモルタルなどに変えて使います。
セメントはいわゆる、コンクリートやモルタルを作るための「つなぎ」みたいな役割をしているのです。
●コンクリート
セメントに砂利、砂を混ぜて水で練ったものです。
道路、建造物などの他にもダム、トンネルなどに幅広く使用されています。
●モルタル
こちらもセメントに砂を混ぜて、水で練ったものです。
値段が高いことや、時間の経過で伸縮することが多いので、モルタルのみでの使用はあまりありません。
しかし施工性が良いので、コンクリートの表面の仕上げ材や、ブロックなどの目地に使用されたりします。
●アスファルト
原油から採取される、粘着性のある物質です。
防水材、制振材、防音材、接着剤、緩衝材など、色々な用途があります。
一番多いのは、みなさんご存知のように、道路舗装材として用いられることです。
セメント・コンクリート・モルタル・アスファルトの値段、一番安いのはどれ?
土地のオーナーさんにとっては、駐車場を舗装する上で必要となる費用についてが、最も気になる部分ではないでしょうか。
では、セメント・コンクリート・モルタル・アスファルトの値段は、どれが一番安いのでしょうか。
簡単にまとめると、アスファルト<コンクリート<モルタル<セメントの順になります。
セメントについては、砂利や砂と比較すると、どうしても値段が高くなります。
そのため、セメントを混ぜて作られるコンクリートやモルタルも、セメントが含まれる割合が多くなるにつれて、値段が高くなるようです。
それでは、セメント・コンクリート・モルタル・アスファルトの中で強度が一番強いのはどれでしょうか。
それは、アスファルト<セメント<モルタル<コンクリートの順になります。
一番強度が弱いのはアスファルトで、経年劣化してしまいます。
確かに古い道路のアスファルトは、でこぼこしていたり、穴が開いていますよね。
セメントに砂が混ぜてあるモルタルは強く、砂利+砂が混ぜてあるコンクリートは、さらに強度が強いことになります。
値段にも影響する?セメント・コンクリート・モルタル・アスファルトの配合率
前項でご紹介したように、どの建築資材も、単体で使うわけではありません。
水、砂、砂利などと混ぜられて使用されるのです。
それでは、セメント・コンクリート・モルタル・アスファルトの配合率はどのようになっているのでしょうか。
さっそく見ていきましょう。
●セメント
セメントペーストとして使用するときは、水だけを適量配合します。
水だけで練ったペースト状のセメントは、強度は弱いですがキメが細かいので、タイルの目地やモルタルのヒビ補修などに使われます。
●コンクリート
セメント1:砂3:砂利6に、水を加えたものとなります。
水の割合が少ないほど、コンクリートの耐久性がアップします。
●モルタル
セメント1:砂3に、水を加えたものとなります。
コンクリートと同じように、配合する水の割合によって耐久性が左右されます。
●アスファルト
道路などで使用されているアスファルト混合物には、アスファルトそのものは、なんと数%しか含まれていません。
約90%が砂利や砕石などの骨材です。
そして残りの10%が、アスファルト自体と石灰粉などの混合物となります。
以上のように、同じ建築資材でもアスファルトだけは、セメント・コンクリート・モルタルなどの成分と違うことがわかります。
日常生活で使っている道路や建物なども、強度や値段などの面からよく考えて、適したものが選ばれているのですね。
駐車場によく使われるコンクリート、アスファルト舗装の特徴
まずは、コンクリート舗装についてお話します。
コンクリートは、前述したように、セメントに水、砂利、砂などの骨材を配合して作られています。
コンクリート舗装の大きな特徴に、頑丈なことが挙げられます。
摩耗に強く、わだちができにくいです。
しかしながら、柔軟性には欠け、曲がりにめっぽう弱いです。
そのため、みなさんも見かけたことがあるような、ヒビ割れが起こりやすいのです。
それを防ぐために、コンクリートの中間部分には、鉄筋やワイヤーメッシュを配置しています。
コンクリートはアスファルトと異なり、ガソリンや薬品などの影響は受けません。
ですから、ガソリンスタンドで、もしガソリンをこぼしてしまっても、その部分のコンクリートが劣化してしまうことにはならないのです。
コンクリートは頑丈ですが、舗装にかかる値段は高額になります。
さらに、施工に時間がかかる上に、強度が出るために時間がかかるので、施工後に養生が必要となります。
また、表面が濡れている場合はとても滑りやすくなるので、転倒しないように注意が必要です。
しかし、耐久性は抜群に優れているので、一度施工したら補修はほとんど必要ないといっても過言ではありません。
アスファルト舗装の特徴は、施工が比較的簡単で、あまり時間と費用がかかりません。
しかし、耐久性に乏しく、5年~10年ごとに補修が必要だと言われています。
夏には高温になり、長時間アスファルトの上にいると熱中症になる危険性もあります。
コンクリート、アスファルト舗装工事の値段の目安
賃貸物件の駐車場や、月極め駐車場に使う地面の舗装工事については、工事を行う面積によって値段は変わってきます。
駐車場といっても、保有している土地の広さはオーナーによって違うので、一概にこの値段という断言はできません。
また、施工業者によっても値段の設定は違いますよね。
ここでは、コンクリートとアスファルト舗装工事の値段の目安をご紹介します。
駐車場の地面の状態や施工内容、また駐車場の規模によって違いはでますが、一般的に駐車場のコンクリート舗装工事は、1平方メートルで約7,000円~11,400円、アスファルト舗装工事は1平方メートルで約4,000円~6,000円くらいが相場とされています。
コンクリート舗装にはセメントや砂、砂利を使っていたり、鉄筋やワイヤーメッシュが必要になる手間によって、値段が高くなる傾向にあるのでしょうね。
基本的には、この単価に駐車場の広さをかけた値段が、舗装工事費となるわけです。
賃貸物件などの小さめの駐車場の場合は、補修回数が少ないコンクリート舗装で、工事期間を短期間で終わりにしたい大きめの駐車場ならばアスファルト舗装、というように使い分けるといいでしょう。
駐車場を完成させるにはその他にも、下地を整える路盤工や白線ライン引き、車止めの設置などに別途費用がかかります。
路盤工事には1平方メートルあたり約1,000円強、白線ライン引きには50,000円前後、車止めは車1台分で約500円前後を考えておきましょう。
さらに、工事に使用する重機運搬費も別途必要となり、重機のサイズや台数などによっても費用が変わってきます。
業者に見積もりを取る場合には、費用の内わけの詳細を、しっかりと提示してもらうようにしましょう。
コンクリート、アスファルト舗装の手順
セメントをつなぎとしているコンクリートや、アスファルトには、それぞれにメリットデメリットがあり、値段にも大きな違いがありましたね。
これらの違いをふまえて、駐車場にどの資材を使うかを見極める必要があります。
最後に、コンクリートとアスファルト舗装工事が、どのようにして行われるのか、その一般的な手順をご紹介します。
●コンクリート舗装の手順
①土を掘削します。
②砕石を敷き詰めます。
③砕石を転圧し、整地します。
④型枠、ワイヤーメッシュを設置します。
⑤コンクリート合材を流し込み、表面を仕上げます。
●アスファルト舗装の手順
①土を掘削します。
②砕石を敷き詰めます。
③砕石を転圧し、整地します。
④アスファルト合材を敷きます。
⑤転圧して、表面を締め固めます。
コンクリートとアスファルトは、①から③までの工程は同じです。
しかし、土を掘削する深さは異なります。
コンクリートの場合は、10cmくらいの厚さで施工するので、掘削は20cmくらいになります。
アスファルトの場合は、5cmくらいの厚さで施工するので、掘削は10cmくらいとなります。
地面作りが終了したら、白線ライン引きや車止めの設置、周囲のフェンスなどの設置が行われます。
駐車場作りに適した資材を選ぶ
コンクリートやアスファルトは、駐車場作りにはよく使用されていますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
コンクリートは確かに頑丈ですが、大きな駐車場作りには、アスファルトの方が得られるメリットが大きいでしょう。
駐車場作りに適した資材選びをすることが大切です。