アパートの駐車場でのトラブルは発生件数も多く、しかも多様です。
駐車場利用者にとって、車はとても大切な財産ですので、時として大きなトラブルに発展する場合もあるようです。
今回は、アパートの駐車場で起こるトラブルの内容や、貸主が知っておきたいトラブルの解決方法をご紹介します。
アパートの駐車場でのトラブル内容
アパートなど共同住宅では、多くの駐車場トラブルがあり、その内容は次のとおりです。
①駐車場契約者が被害者である場合
②駐車場契約者が加害者である場合
③駐車場施設に欠陥がある場合
④駐車場使用権問題
などがあります。
その中で、②は駐車場利用規則の禁止事項を指定することにより、契約者による迷惑な騒音、駐車方法の違反、使用方法の違反などに対して、違約金を含めた解決ができます。
③の施設の不具合は、入口、停車場、舗装の欠陥等、駐車場の使用に問題があれば、オーナーの責任で改善すべきです。
④の使用権は、使用変更等に伴う駐車場閉鎖によるキャンセルであり、法律では困難な契約上の問題が伴います。
次の章では、トラブルになる頻度の高い①のケースを詳しく見てみましょう。
アパートの駐車場で発生するトラブル事例
アパートの駐車場トラブルは、無断駐車がダントツで多いです。
駐車場の共有部分や通路で停止したり、他の人が契約している場所に駐車するなどのトラブルがあり、こういったトラブルが多い理由は、貸主が対策してもなかなかなくならないためです。
また、駐車場内での当て逃げや、接触などのトラブルも発生します。
最近は、3ナンバーの車が増えており、ドライバーが高年齢化していることも理由の一つです。
隣の車とのスペースが狭い場合、開閉時にドアをぶつけたり、出入りするときに車体に当たったりすることでトラブルになってしまいます。
もし、他の利用者の車を傷つけてしまったら、その場で即座に対応しなければならないのですが、運転手が逃げてしまうことも多々あります。
そうなると、管理会社には責任が無くても、被害者の怒りが管理会社に向かう場合もあるので、貸主にとって非常に神経質な問題です。
また、契約上のトラブルもあります。
抽選で入口から遠くにある駐車場に決まった人の中には、「入口近くの人と同じ料金であることは不公平である」と感じる利用者も居るでしょう。
こういった、一見大したことのないような問題でも、様々な利用者が利用する共同駐車場といった環境においては、起こり得るトラブルです。
アパートでの駐車場トラブル 「被害者」の怒りのほこ先
アパートの駐車場契約者は通常、そのアパートの入居者です。
アパートの駐車場でのトラブルには、駐車中の車上狙いや、車両に対するいたずら、帰宅して駐車しようとすると、他人の車が停止しているために駐車できないなどがあります。
防犯カメラなどを設置しておらず、犯人が不明の場合、契約者は怒りを訴える場所がなく、貸主(管理会社)に「管理上の過失の犠牲者である私に補償してほしい」と主張する場合があります。
通常、契約(駐車場利用規則)において、貸主は「駐車場で発生した事故に責任を負うものではありません」と免責を規定しています。
しかし、被害者は、「私は駐車料金を払っているのだから、責任を持って管理するのが当然だ」と怒りは収まらないでしょう。
被害を受けた借主の気持ちも理解できますが、その度に貸主が保証していたら駐車場経営はとても大変です。
とは言え、貸主側も「契約(駐車場利用規則)だから保証できない」と主張するばかりではなく、借主の気持ちを尊重して、防犯カメラを設置をするなどの努力も必要です。
アパートの「駐車場使用料」と貸主の免責事項
まず、アパートなど共用住宅の駐車場利用規約では、契約者は、所定の使用料を支払うことにより、共同駐車場の区画を使用(駐車)する権利しか与えられません。
したがって、貸主には、借主の車が事故やトラブルに遭わないよう、駐車場を常に監視する義務はありません。
トラブル防止のために、貸主が駐車場の管理人を配置しなければならないのは、契約(駐車場利用規則)の内容でその義務が生じている場合です。
しかし、そうなると駐車場管理のための費用が増加し、駐車場の使用料が増加します。
駐車場使用料は、事故やトラブルなどに対する免責を条件に定められているので、安めに設定されているのです。
使用料の額を考えれば、指定された特別契約の有無にかかわらず、貸主にはトラブルの責任を取ることが免除されていることが、契約者は理解できるはずです。
これは一般の有料駐車場でも同じで、駐車料金は免責特約があるという前提で設定されています。
アパート駐車場トラブルで管理責任が問われることも
一般的なアパートの駐車場利用契約は、特定の区画に駐車する権利を与える契約であり、貸主が事故のないよう常に監視カメラなどで監視したり、駐車場内の事故を補償する義務はありません。
ほとんどの駐車場利用契約では、免責事項として「駐車場のトラブルには責任を負わない」と、明示されているためです。
また、これが明示されていなくても、元々免責を考慮して駐車場の使用料が設定されているので、契約者は、管理会社に損害賠償を請求することはできません。
もし、そういった駐車場内のトラブルを無くすために、借主から監視カメラの設置や駐車場の管理人を置くよう求められたら、「維持費が高くなり、その維持費は借主の負担になる」と説明しましょう。
しかし、施設の入口、停車場、舗装の欠陥等、駐車場の使用に問題があることを何度も住民が指摘しているのに、対策を講じない場合は、貸主の管理責任が問われる可能性があります。
もし施設の問題が原因で、事故などのトラブルが起きた場合は、貸主が損害賠償を請求される可能性もあるので注意が必要です。
アパート駐車場でのトラブルの対応策・解決策
警察は、許可なく、専用駐車場の無断駐車に介入することはできません。
レッカー車で所有者がある車を、許可なく移動することもできません。
したがって、貸主はアパートの駐車場の不正な駐車については、警察に連絡をする前にまず警告してください。
実際の警告方法は、
・車に貼り紙を貼ること
・掲示板に駐車に関する文書を掲示すること
・全戸のドアに投稿すること
などです。
頻繁に区画外で停止している場合は、適切な車庫証明を取得していない可能性がありますので、警察に相談してみてください。
また、当て逃げは違法行為であるため、警察に通報して対応することができます。
さらに、不公平さに起因するトラブルについては、例えば数年ごとに駐車場をシャッフルするなど、誰もが公平に感じられるように運営していく必要があります。
アパートの駐車場の問題は決して少なくありません。
免責事項を駐車場使用契約書に明示するか、不正な駐車を禁止する看板や防犯カメラを設置することも重要です。
住民が安心して利用できるように駐車場を管理しましょう。
アパート駐車場でのトラブルを理解することが大切
契約者が、上記のようにアパート駐車場利用料金の設定内容を理解している場合、「被害者」との問題はスムーズに解決できるはずです。
しかし、もし、トラブルが繰り返された場合、貸主は共同駐車場の平穏や安全のため防犯に努めなければなりません。
場合によっては、防犯照明と監視カメラの設置を検討し、すべての契約者との信頼関係を維持しようと努力するのが賢明でしょう。