登記の必要書類とは?土地には様々な登記がある!?

所有権を明確にする登記ですが、必要書類などが多く難しいものだと考える人が多いでしょう。

そのため専門家に依頼する人が多いのが現状です。

しかし経費を抑えるためにも自分でやってみたいと考える人もいるのではないでしょうか?

そのためにはどのような書類を準備する必要があるのか、理解しておく必要があります。

不動産には土地と建物の2種類が存在しますが、その中でも土地の登記に必要な書類についてご紹介していきます。

土地の登記は必要書類さえ揃えれば自分でできる!?

土地や建物などの不動産を購入したり相続したりすると、登記をする必要がでてきます。

この登記の一部は実は「義務」ではありません。

不動産は高価なものであることから、取引の安全や円滑をはかるために登記という公示制度が設けられているのです。

そのため「義務」ではありませんが、権利関係の登記をしていない場合には所有権を主張することができなくなります。

自らの権利を守るためにするのが登記なのですが、費用や時間、必要書類が多いことなどネックとなることも多いでしょう。

誰に依頼すればいいのか分からないという人もいるかもしれません。

しかし土地や建物の登記については「自分ですることが原則」となっています。

不動産登記法では第47条、第57条、第74条に「登記申請は所有者がする」旨の記載があります。

不動産登記法の中では誰かに依頼しなければならないとはどこにも書かれていないのです。

所有者自らが登記することを「本人申請」と言います。

土地や建物の登記について難色を示す人が多いようですが、必要書類を揃えれば自分で登記しても何ら問題はありません。

内容によって誰に登記依頼するかが変わる!?

不動産登記法には「登記申請は所有者がする」ことが記載されていますが、依頼してはいけないというわけではありません。

しかし登記内容によって依頼する人が変わります。

登記は「表題部」と「権利部」に分けて作成されています。

表題部は土地や建物の物理的現況が記載され、権利部には権利関係について記載されています。

同じように登記と言っても、内容が違うのです。

表題部の登記は土地家屋調査士、権利部の登記は司法書士へ依頼する必要があります。

不動産登記法には明記されていませんが、土地家屋調査士法第3条、司法書士法第3条には「依頼を受け登記を行うことができる」と記載されています。

もちろん、必ず依頼しなければならないというわけではありません。

また土地家屋調査士法、司法書士法ともに「業として行うことができる」との記載があることから、業でなければ誰であっても他人からの依頼を受けて登記申請を行うことは可能です。

ただし登記によっては必要書類が多く、手間暇がかかるため完全なる無報酬でやってくれる人は少ないのが現状でしょう。

土地には様々な登記がある!?

実は土地の登記とは言っても、様々な登記が存在します。

登記には「表題部」に関する登記と「権利部」に関する登記があり、どちらの登記を行うかで依頼する人も変わるように、必要書類も異なります。

表題部は土地に関する物理的現況が記載され、所在、地番、地目、地積などが表示されています。

表題部の登記は義務付けられているため、このような事項が変更となった時には当然登記をしなければなりません。

例えば、「土地地目変更登記」、「分筆・合筆登記」、「地積更正登記」などです。

このような登記の場合、登記ごとに必要書類が異なります。

分筆の登記では地積測量図と境界確認書だけで済むのに対し、合筆の登記では登記済証や印鑑証明書などの書類が必要となります。

また埋立や隆起により土地が新たに生じた時や海没し土地がなくなった時には「土地表示登記」、「土地滅失登記」が必要です。

この場合にも、滅失登記であれば事実を証明する書類だけでいいのですが、表示登記には住民票や所有権証明書、地積測量図、土地所在図など複数の必要書類が求められます。

登記原因によって必要書類は違う!

表題部の登記と同じく権利部の登記も状況によって必要書類が異なります。

そして権利部の場合、登記の原因が大きく関わってきます。

土地の登記の原因とは「売買」「相続」「贈与」「離婚」など、権利関係が変化した理由のことです。

相続が原因となる登記以外の売買、贈与、離婚では共通する必要書類があります。

3つともに共通する必要書類が、現所有者の持つ登記識別情報通知、現所有者の3ヶ月以内の印鑑証明書、新たな所有者の住民票、固定資産評価証明書です。

その他に売買の場合は売買契約書、贈与の場合は贈与契約書や贈与証書、離婚の場合には離婚協議書や財産分与契約書、戸籍謄本などが必要となります。

共通で必要な登記識別情報通知は平成17年以前は登記済権利証として交付されており、現在でも有効です。

相続での登記は必要書類が多く複雑になりやすい!

権利関係の登記原因は「売買」「相続」「贈与」「離婚」などがありますが、中でも相続の登記については必要書類が多く、複雑になりやすいので注意が必要です。

これは亡くなった被相続人と土地を譲り受ける相続人、どちらも戸籍関係を明確にしなければならないためです。

必要書類としては

・被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改姓原戸籍

・被相続人の住民票の除票

・相続人の戸籍謄本

・相続人の住民票

・固定資産評価証明書

・相続関係説明図

などがあります。

被相続人の戸籍謄本や除籍謄本、改姓原戸籍は相続人を確定させるために必要な書類となりますが、1通とは限りません。

転籍や婚姻、離婚などを繰り返ししている場合にはそれ以前の本籍所在地の市区町村で取得しなければならないため手続きは大変となります。

また手続きの内容や状況によっては、その他の必要書類を準備しなければなりません。

特に数代前の相続の場合、相続人が多数存在するという事態が発生し連絡先などが分からずに相続が進まないということもありえます。

このような時には司法書士などに委任し手続きを進めてもらう方が良いでしょう。

土地の登記にかかる費用と時間は?

土地の登記を行う場合にかかる費用や時間は、どれくらいなのでしょうか?

登記費用は大まかに「報酬」「登録免許税」「実費」に分けることができます。

報酬とは土地家屋調査士や司法書士に支払う費用のことで、誰に頼むかによって金額が異なります。

もちろん自分で必要書類を揃え、登記所に申請する場合にはかかりません。

登録免許税とは登記をする時に必要となる税金のことで、土地の広さや価値などで決められています。

全国で統一されているため、誰が申請しても同じです。

最後に実費というのは必要書類を取得するために必要な費用となります。

特に相続登記の場合には、必要書類が多く、戸籍謄本で450円程度、除籍謄本、改姓原戸籍は750円程度、住民票の除票、住民票は300円程度が必要です。

婚姻、離婚など転籍を繰り返している場合には、必要書類を取得するための費用も高くなるでしょう。

また戸籍関係の書類については本籍所在地の市区町村で取得しなければならないため、交通費もかかると言えるでしょう。

反対に表題部の登記については必要書類が少ないため、実費はそれほどかからないことが一般的です。

登記申請は土地を管轄する法務局にしますが、その場で完了するわけではありません。

必要書類と登録免許税を納付し、間違いがなかったとしても審査に1~2週間程度必要です。

余裕をもって登記申請するようにしましょう。

自分で登記をする時は注意!

土地の登記には様々な種類があり、必要書類は申請内容の状況によって変化します。

不動産登記法では、登記は本人が行うことを前提にしていますが、場合によっては手間や時間がかかるためプロである専門家に依頼する方がスムーズに進むでしょう。

特に相続の登記に関しては必要書類が多く、事実関係を把握するまでにかなりの労力を要する場合があるので注意してください。