音の大きさと距離の関係や性質から生活騒音について考えよう

音の大きさと距離の関係というと、近くの音は大きく聞こえ、遠くの音は小さく聞こえるというのは、皆さんもこれまでの経験からご存知でしょう。

しかし、どのくらい違うのかというと、正確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。

今回は、その相関関係を知って、さらに身近な生活音と騒音についても勉強していきましょう。

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音の大きさは距離の2乗に反比例する

音は、「距離の2乗に反比例する」といわれています。

どういうことかというと、ある一点の音源から出た音は、その点音源を中心とした球面状に広がっていきます。

そして、球面の面積というのは、半径の2乗に比例します。

このことから、球面状の単位面積あたりに到達する音のエネルギーは、半径という距離の2乗に反比例して減少していくといえるのです。

音の中心である点音源では100であった音が、半径2メートルの球面状のところでは、2×2に反比例してもともとの1/4の大きさ、つまり25の大きさになるわけです。

もちろんこれは、数学的公式における計算なので、反射や反響、その他の条件などはまったく無視した理論上の数値ということになります。

つまり計算上は、距離が2倍になると、音の大きさは1/4になり、距離が3倍になると音の大きさは1/9になるのです。

しかし、実際私たちの耳に届く音の大きさに、それほどの違いがあるでしょうか。

例えば、踏切で聞こえる電車の通過音は、踏切から2メートルのところと4メートルのところで4倍も差があるでしょうか。

私の経験上、両者にはそれほどの差がないように思います。

これはいったいどういうことなのでしょうか。

人間の耳に聞こえる音の大きさは距離の2乗とは関係ない

実は人間の耳の感覚では、音の大きさを正確に感じとることができていません。

私たちは、音の大きさが2倍、4倍、8倍、16倍と倍増した場合でも、それが等間隔で大きくなっているように感じるのです。

これは、「ウェーバー・フェヒナーの法則」というもので、「感覚量は刺激量の対数に比例する」といわれています。

対数とは、Xのn乗という場合の、nに当たる数字のことです。

2の1乗は2、2の2乗は4、2の3乗は8、2の4乗は16ですが、対数はそれぞれ1、2、3、4ということになります。

そして、音の大きさ自体は、2倍、4倍、8倍、16倍と倍増していても、人間の耳にはそれぞれ1倍、2倍、3倍、4倍という1ずつの等間隔の変化にしか感じられないのです。

つまり、先の踏切の音の例で、踏切から2メートルのところと4メートルのところでは、音自体は4倍の差があるといいました。

しかし、実際に私たちの耳で感じる音の大きさの違いは、2の1乗と2の2乗の差でしかなく、つまり4倍ではなく2倍の差に感じているというわけです。

まとめると、音の大きさは「距離の2乗に反比例する」けれども、人間の耳には「音の刺激量の対数に比例して」聞こえるということになります。

簡単にいうと、理論上の音の大きさの変化ほどには、人間はその変化を感じ取れないということですね。

耳に聞こえる感覚で音の大きさを表したデシベルとは

ところで、音の大きさを表す単位にデシベル(db)というものがあります。

これは、人間の耳の感覚で音のエネルギーの対数を表したもので、人間の耳に聞こえる最小音の音圧を基準として、音圧レベルを数値化しています。

簡単にいうと、基準値から音の大きさが2倍になると約+6dbになります。

4倍になると、2倍×2のことなので、6db×2で12db増えるわけです。

ちなみにdbと距離との相関関係はというと、距離が2倍になるということは、2は2の1乗なので、人間の耳には1倍、つまり6db音が小さく聞こえます。

距離が4倍になると、4は2の2乗なので、人間の耳には2倍、つまり12db小さな音になるということになります。

ところで、私たちが日常このデシベル(db)という単位を耳にするのは、いわゆる騒音問題のニュースぐらいではないでしょうか。

例えば、飛行場の近くの住民が騒音問題で訴訟を起こして、飛行機の夜間の離着陸が制限されたなどのニュースを見たことはないでしょうか。

夜間は何db以上だと住民の睡眠の妨げになり健康を阻害するなどの判例で、dbという単位が用いられていたと思います。

では、具体的にどのくらいの音が何dbくらいなのでしょうか。

だいたい、飛行機のエンジンの近くは120dbくらいと言われています。

そして、2メートル後ろの車のクラクションで110db、電車のガード下が100dbです。

このあたりのレベルは、かなりうるさいと感じられそうですね。

私たちの出す音が生活騒音に変わるレベルとは

では、私たちの生活音はいったいどのくらいなのでしょう。

マンションなどの共同住宅の場合、上階の子供の走る音がうるさいとか、扉の開け閉めの音まで聞こえるだとかでよく問題になっていますね。

そして、これらはいったいどの程度で騒音と言えるのかが気になるところです。

そこで、どのような音が何dbくらいの音の大きさなのか、具体的に見てみましょう。

まず、生活音の中でも普通の会話は60dbくらいと言われています。

これはトイレの洗浄音や洗濯機、掃除機、テレビの音などと同等のレベルです。

次に、家庭用クーラーの室外機や換気扇の音が50db程度、静かな住宅地の昼間や都市部の深夜で40db程度、郊外の深夜やささやき声が30dbです。

これ以下になると、呼吸音やそよ風の音程度、または無音に近い状態であるといえます。

騒音というと、聞く人の感覚によってもかなり差が出てくるものなので、一概にはいえませんが、だいたい50db程度であれば、問題ないと言えそうです。

ただ、郊外の距離の離れた一軒家同士では何の問題にもならない大きさの音が、マンションなどの共同住宅では問題になることが多々あるのです。

なぜなら、共同住宅では、数十センチの木やコンクリートを挟んで、ごく近い距離にご近所さんがいるからです。

音の大きさは距離だけでなく伝達物質によっても変わる

音の大きさは距離の2乗に反比例すると述べてきましたが、もちろん共同住宅でも同じことがいえます。

例えば最上階の部屋で床に物を落としても、1階下の部屋には音が聞こえるかもしれませんが、何階も下の部屋にまで聞こえることはないでしょう。

これは、距離が遠いことももちろんですが、音源との間にたくさんの障害物を挟んでいるためでもあります。

マンションなどの共同住宅は、建物の構造にもよりますが、コンクリートなどで隣戸や上下階と仕切られています。

ただ、音は空気以外にも様々なものを伝わる性質を持っており、このコンクリートを伝って階下に響いてしまうこともあります。

しかし、音源の部屋から2階下の部屋までを考えてみると、コンクリートが2層とその間に1階下の室内の空気の層があります。

その障害物を伝わる過程で、どんどん音の大きさが小さくなっていくわけです。

また、コンクリートの厚さによっても防音性が変わってきます。

昨今推奨されているコンクリートの厚さは200ミリ以上で、これ以上であれば騒音問題に巻き込まれる確率は少ないと言われています。

また、障害物の素材でも大きく変わってきます。

一般的に、音の振動などを伝達する物質の質量が重いほど、伝達に抵抗が生まれるため、空気よりも木が、木よりもコンクリートの方が遮音性があります。

木造アパートなどで話し声まで筒抜けと言われるのは、このような音の性質によるものと言えるでしょう。

音が騒音に変わる3つ目のファクターは時間である

このように、音の大きさは距離だけでなく、伝達物質によっても聞こえ方、伝わり方が変わってくるわけです。

これに関しては、例えばフローリングの上に遮音カーペットを敷いたり、マットを敷くなど、自分で多少の対策ができるでしょう。

また、壁を挟んだ騒音の場合は、壁際に本棚などを置くなどすると、音の伝達が妨げられます。

そして、生活音の騒音問題について考えるとき、もうひとつ大切なのが時間というファクターです。

先の飛行場の騒音問題にもあったように、人には安眠が必要です。

たとえ昼間は騒音と言えない50db程度の音の大きさでも、周囲が眠りについている30db以下の環境であれば、やはりそれは大きな音といえるでしょう。

もちろん住環境にもよりますが、夜間はできるだけ30db~40db程度に生活音を抑えるべきといえます。

このように、誰でもが出す生活音ですが、周りの環境に配慮し、その大きさや時間帯に気をつける必要があるでしょう。

みんなが自分にとってはただの生活音でも、回りには騒音であると認識できれば、ご近所の騒音問題も解決できるのではないでしょうか。

音について学ぶだけでは騒音問題は解決しない

今回は、音の大きさと距離の関係を始めとする音の性質について勉強してきました。

そして、さらに生活音がどの程度で騒音になるかを考察してきました。

ただ、いくらこの音が何dbだと知ったところで、騒音問題は解決しません。

最終的に問題を解決するのは、自分や人の気遣いであることも一緒に覚えておいていただきたいと思います。