アパートの名義変更ってできるの?費用はどのくらい?

アパートの借主の名義を変更したい場合に、費用がかかることをご存じだったでしょうか。

契約書に書かれている部分ですが、書かれていない場合もありますし、ケースバイケースなので、トラブルも起きやすいのです。

アパートの名義変更は借主と貸主、両方の立場で見たときにどのようなことなのか、どんな問題点があるのか、知っておいて損はないと思います。

アパートの借主変更は「名義変更」ではない?

アパートを借りる時に、借主として署名捺印をすると、その人に借主としての責任が発生します。

アパートの家賃が、万が一延滞したら1番に連絡が行きますし、引っ越しなどをする場合でも、借主が決定するものです。

もし、家族誰かの名前で借りることにしたい場合や、転勤などで知人に住んでもらう場合などは、名義変更を考えることになります。

しかし、そもそも賃貸契約の場合は、「名義変更」という考え方をしている貸主ばかりではありません。

どういうことかというと、名義変更したい場合は、契約を新たに結び直す、ということになるからです。

もともと住んでいた入居者の家族とはいえ、知り合いとはいえ、貸主側からしてみたら素性の分からない人物、ということになります。

ですから、貸主としては、新規契約という扱いにして、どんな人に貸し直すのかを知らなければいけません。

費用が発生するのも、その部分が関わっています。

アパートの名義変更にかかる費用①

アパートの借主の名前を変更したい際に、「名義変更」という概念ではないことをお伝えしましたが、借主の変更はできる場合が多いです。

それまでの信用状態にもよりますが、空室になってしまうのは貸主としても困るところです。

ですから、よっぽどの人気物件でない限りは、借主からの申し出を却下することはないでしょう。

新しい借主の年齢や職業、国籍や人柄なども考慮されますが、引き継ぐかたちで名義変更することはOKされる場合が多いです。

では、その際にかかってくる費用はどのくらいなのでしょうか。

アパートの名義変更でお金がかかる、ということ自体、寝耳に水な人も多いので、この点をご説明していきましょう。

実は、その物件によっても差はあります。

ですから、はっきりとした数字について書くことは難しいのですが、だいたいの場合は家賃の半月分~1ヶ月分というのが相場のようです。

もちろん、貸主にとってなんのリスクも無い場合だということは、言うまでもありません。

アパートの名義変更にかかる費用②

アパートを新規で契約する時は、敷金などの諸費用がかかる場合が多いですよね。

ですから、名義変更時に「半月分」と言われたら、安く済んだと考えることもできます。

交渉とオーナーの考え方次第では、費用がかからないケースもありますし、逆に1ヶ月分より多くなる場合もあります。

長く住んでいる優良契約者には、そうした場合でも費用を請求しないこともあるのです。

それによって、その後も安定した家賃収入を得ることができますので、貸主側にとっても大きな損ではありません。

この費用については、契約書や重要事項説明書に書かれていることも多いので、いざという時に困らないように借主側はそうした書類に目を通しておくことが大切です。

1か月の家賃が多い場合やシェアハウスの場合などは、費用を一度にたくさん用意しなくてはいけなくなります。

ただし契約書に明確な記載がない場合に、費用があまりにも多すぎると感じるなら、管理会社や貸主との交渉の余地はありますね。

アパートの名義変更で発覚するルール違反

アパートの名義変更を申し出る借主の中には、一人暮らしの人もいます。

例えば、貸主側に黙って誰かと同居や同棲をしている場合です。

契約時に取り決めた入居者以外の人が住む場合は、貸主側に相談しなくてはいけないのが一般的な常識ですので、勝手に住み始めている時点でルール違反ですね。

もし、同居している人に名義変更をしたいなら、まずは謝ることが大切です。

このことが発覚すると大きなトラブルのもとになり、罰金などの費用が発生することもあり得ますので、注意しましょう。

外国から出稼ぎに来ている場合にも、たびたびこうした問題は起こっています。

全ての在日外国人がそうではありませんが、家族や友人を国から呼んで貸主に報告なしに住まわせているケースがあり、問題になっています。

日本の賃貸契約の基本を知らず、ルールについての説明もされない場合に起こってしまうこともありますが、知っていて契約違反してしまう場合もあります。

日本語が不自由な外国人と賃貸契約を結ぶ場合は、貸主はルールについての説明をしっかりとしなければいけません。

費用がかかるのも仕方ない?名義変更でトラブルが起きやすい理由

アパートやマンションの貸主の中には、一人暮らしの入居者の名義変更を嫌がる人もいます。

これは、先ほどからたびたび触れていますが、引き継ぎによってリスクが発生することがあるからです。

騒音に対しての意識も、ゴミの出し方の態度も、今までの入居者とは違いますから、もめるケースも少なくありません。

特に、引き継いだ入居者が退去する場合には、費用の関係でトラブルが起こることもあります。

変更前の入居者がつけた傷や汚れに対して、払うのを拒否する人もいるのです。

そうなると、敷金の返却がスムーズにいきません。

そのため、貸主の中には、一度部屋の状態確認をして退去の清算を済ませてから、新たに入居者の審査を行い、契約を結ぶ人も多いです。

もし、アパートの引継ぎがスムーズに済んだのなら、それは入居者の素行が良かったからでもありますし、貸主が寛大だったからでもあるかもしれません。

契約者・所有者が亡くなった場合の名義変更

最後に、契約者が亡くなってしまった場合の名義変更についてご説明します。

借主側の場合ですが、家族でその部屋を借りていた場合は、手続きは難しくありません。

すでにルールを守ってそこで暮らし続けていたのですから、ただ借主名義が変わる、という考えでいいわけです。

費用もかからないか、かかったとしても半月分程度で済むことでしょう。

しかし、前述しているように、そこに住んでいなかった家族や友人の誰かが借りたいという場合は、近所に住んでいたりして、貸主と交流があるような場合をのぞき、契約し直すことが必要になります。

こちらはまれなケースではありますが、契約者が亡くなってしまった後、そこに黙って住み続けるというのは、当然、よくありません。

そして、少し話は変わりますが、アパートの貸主側が亡くなってしまい、相続が起きた場合にも名義変更は重要です。

相続時にきちんと遺産分割するなり話し合ったりするなりして、所有者名義をはっきりと変更しておかないと、後々トラブルになります。

相続した場合は、不動産の名義変更(登記)をして遺産分割協議書を作成することが必要です。

「名義変更」というのは借主、貸主どちらの側にとっても、大切な手続きだということが分かりますね。

「名義変更」は重要な手続き

アパートの借主の名義変更に費用がかかる理由をご説明しました。

貸主としては、リスクを避けるため、一度退去の清算をしてから契約し直してもらう場合もあります。

「ただの名義変更なのにお金がかかるなんて」と思っている人は、貸主側が懸念していることを理解したうえで、契約内容によっては、交渉してみることもできるでしょう。

名義変更で費用がかかるのが嫌だからといって、貸主の許可も無く入居者の変更をしたり、新しく誰かが住み始めるというのはトラブルの原因になりますので、やめましょう。