登記について知りたい!分筆の手続きの流れと必要書類とは?

土地を所有している方の中には、「分筆」を考えている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、実際にどのような手続きが必要で、どのくらいの費用がかかるのが、分からない方も多いですよね。

そこで、今回は分筆登記についてくわしくお話ししていきます。

必要書類にはどのようなものがあるのかなど、手続きの流れと一緒にご説明していきましょう。

分筆登記とはどんなもの?必要書類は?

まずは、「分筆(ぶんぴつ)」についてくわしくお話ししていきます。

分筆とは、所有している土地を複数の土地に分けることを指します。

土地は「1筆」「2筆」…と数えていくことから、「1筆を分ける=分筆」という表現となるのです。

分筆を登記することを「分筆登記」と呼びます。

この分筆登記は、法務局で必要書類を提出すれば、誰にでも行うことが可能です。

ちなみに、分筆の反対の意味をもつ「合筆」という登記もあります。

これは複数の土地を1筆にまとめるという登記となります。

では、1筆の土地を分筆した場合、その土地の住所はどのように分けられるのでしょうか。

例えば、住所が「10番」の土地を3つに分筆したとします。

すると、住所の最後に「10-1」「10-2」「10-3」といった形で、順番に数字がついて登記されます。

また、分筆できる土地には条件があり、境界の確定がはっきりしていることです。

そのため、境界が分からない土地に関しては、分筆することはできません。

境界の確定は測量士に依頼して行うこととなりますので、境界標などが見当たらない場合は、まずは測量士に相談しましょう。

分筆登記を行う主な目的とは?

分筆登記を行う目的は人それぞれですが、どのようなケースが多いのでしょうか。

以下でまとめてご紹介しましょう。

●土地の一部を売るため

広い土地を所有していて、その土地の一部分を売却するために分筆を行います。

土地のすべてを売却したくない場合は、分筆した一部のみ売って、残りの土地は今まで通り所有することが可能です。

●共有する土地をそれぞれで所有するため

主に家族内で、土地の持ち分が1/2同士の人が2人いた場合で、分筆してそれぞれの土地に完全に分けることができます。

すると、土地を売るのも、所有するのも、それぞれの自由に行うことができることになります。

●固定資産税を減らすため

広い土地が道路に面していると、固定資産税が高くなる傾向があります。

分筆を行って、道路に面する土地の大きさを減らせば、固定資産税を安くすることができます。

しかし、必ずしも節税できるというわけではないため、十分に検討してから行ってください。

●融資の際の担保負担を軽くするため

新築などの際、銀行から融資を受ける際、担保の設定が必要となります。

その際、土地で設定すると、万が一支払いが滞った際に土地のすべてを失う可能性が出てきます。

そのため、あらかじめ分筆しておけば、担保の負担を軽減することができます。

以上のように、さまざまなケースにより、分筆登記は行われています。

次項では、登記に必須な必要書類について見ていきましょう。

分筆登記の必要書類について知りたい!

分筆登記は法務局で行うこととなります。

分筆登記は専門知識を必要としますので、一般的に土地家屋調査士に依頼して行うこととなるでしょう。

ここでは、分筆登記の必要書類についてお話ししていきます。

【分筆登記の必要書類】

・申請書
・地積測量所
・筆界確認書
・委任状

以上の4つになります。

「申請書」は、土地家屋調査士に依頼して作成してもらうことができます。

「地積測量所」は、境界の確定測量をもとに作成されるものです。

「筆界確認書」は、「境界確認書」「境界の協定書」「境界の同意書」の3つのことを指します。

これらは測量で境界確定を行った際の立会いと、同意を書面に記録したものになります。

「委任状」は、土地家屋調査士に依頼した場合の方のみ必要となります。

分筆に限らず、土地家屋調査士を通して登記の手続きをする際に、委任状は必ず必要となるものです。

土地家屋調査士に依頼せず、自分で分筆登記を申請する際は、委任所は必要ありません。

分筆登記にかかる費用はどのくらい?

先ほどは、分筆登記の必要書類についてお話ししましたが、分筆にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

分筆登記でかかる費用は、大きく分けて3つになります。

●分筆登記の申請にかかる費用

こちらは、登記自体にかかる費用となります。

「分筆登記申請書の準備」、「登録免許税」などが含まれ、だいたい5~6万円くらいが相場です。

●測量や境界標の設置にかかる費用

こちらに関しては、境界確定の測量が済んでいるか、いないかによって費用が変わってきます。

済んでいる場合は「現況測量」と「境界標」の設置のみのため、だいたい15万円くらいとなります。

済んでいない場合は、同時に測量も必要となりますので、上記にプラスして「筆界確認書」なども必要となります。

その場合、だいたい25~30万円くらいの出費となるでしょう。

●土地家屋調査士に支払う費用

土地家屋調査士に依頼して分筆を行うと、当然ですが報酬が発生します。

一般的には、測量や境界標の設置にかかる費用に含まれますが、土地家屋調査士によっては別途発生する可能性もありますので、頭に入れておきましょう。

必要書類を揃えて手続きへ!分筆登記の流れ

ここでは、分筆登記の手続きの流れをご説明していきます。

境界確定が終わっていると仮定して、大まかな流れをご紹介していきましょう。

【分筆登記の流れ】

①事前調査

まず、分筆する土地がどのような歴史を持った土地なのか、法務局で過去の土地の図面を取り、調べていきます。

現在の境界標の位置などに問題がないかを確認し、問題がなければ、土地の所有者と分筆についての打ち合わせをします。

また、隣の土地の所有者にも承諾を得ておきます。

②境界標の設置

次に、分筆をするための境界標を設置します。

③必要書類の作成

分筆登記のための「申請書」、「地積測量図」など、必要書類を作成していきます。

④登記申請

書類が揃ったら法務局へ分筆登記を申請します。

⑤納品

無事に登記が済んだら「登記済証」が発行されます。

完了後、土地の所有者へ納品されます。

以上が、大まかな分筆登記の流れとなります。

問題なくスムーズに手続きが進めば、事前調査から登記の申請までにおよそ1週間、申請から納品までにかかる時間はおよそ1週間ほどです。

また、境界確定が済んでいない土地に関しては、境界標の設置前に測量をする必要があります。

証明書類も必要となるため、登記完了までは2~3か月余計に時間がかかるでしょう。

事前に確認!分筆に伴う注意点とは?

ここまで、分筆登記の流れや必要書類についてお話ししてきました。

土地の分筆は、必ずしもメリットばかりではありません。

ここでは分筆登記する前に、注意しておきたいポイントをまとめました。

以下でご紹介していきましょう。

●建物が建てられない土地になってしまう

考えなしに分筆を行うと、のちのち建物が建てられない土地になってしまう可能性があります。

道路と隣接する土地の間口が「2m未満」であると、建築基準法により、建築できない土地と判断され、建物を建てることができないのです。

新築できない土地は売却も難しくなるため、あらかじめ注意が必要です。

●固定資産税が上下する

先ほど土地を分筆すると、固定資産税などの税金対策になるとお話ししました。

しかし、分筆したことにより、逆に固定資産税が高くなってしまう土地や、あまり変動しないこともあります。

固定資産税は推測するのが大変難しいため、節税に精通した土地家屋調査士に依頼するようにしましょう。

分筆登記は注意点を踏まえて行おう

分筆登記について、主な目的や、どのくらいの費用がかかるのか、目安をご紹介しました。

大まかな手続きの流れもご紹介しましたので、これから分筆登記を行う方は、参考となるでしょう。

また、分筆はメリットばかりでなく、注意点も踏まえて行う必要があります。

分筆登記が完了すると簡単にもとには戻せないため、節税などに関しての不安が強い方は、精通した土地家屋調査士を探し、依頼しましょう。