以前は、家を建てることは一生に一度の経験となる場合が一般的でした。
しかし、現代では高齢化社会ということもあり、老後の生活を平屋で過ごしたいと考え、建て替える人も以前に増して多くなりました。
さらに、日本では今でも核家族家庭が多く、その中でも「こだわりの平屋」を検討する若い世代も増えています。
今回は、木造平屋建てと2階建ての違いを、坪単価の部分から検証してみました。
平屋建てを検討している方は参考にしてみてください。
木造で建物の坪単価ってどういう意味?そもそも1坪の広さってどのくらい?
家を建てる時に「坪単価」という言葉をよく耳にします。
「あそこの住宅地の坪単価は平均○万円だ…」などという感じで使われることが多いです。
土地の坪単価は、その土地の価値をあわわす1つの基準値として使われています。
一等地の方が高くなり、地方など交通の弁が悪いところでは安くなるのが一般的です。
その「坪単価」という言葉ですが、実は土地だけではなく建物にも使われています。
主に、建築の初期段階で大まかな建築予算を算出する目安とされる場合が多いです。
「この広さの木造2階建てであれば坪単価は○円になりそうだ。」「木造の平屋でこの広さだと坪単価は○万くらいだろう。」
というふうに使われています。
それら土地と建物での坪単価の考え方の違いは以下のとおりです。
○土地の坪単価→実際に販売される価格で正確な見積り金額の素となる。
○建物の坪単価→建築予算を計画するための目安の額。
また、建物の坪単価は、キッチンや浴室などの設備の有無やそのグレードによっても変動します。
ちなみに、1坪のサイズは3.3m²です。
つまり、約1.8m×約1.8mの広さとなります。
坪単価は木造では平屋の方が高くなるって本当?
坪単価は一般的に、木造だと2階建てよりも平屋建ての方が高くなると言われています。
それはなぜでしょう?
ここで、平屋建てと2階建てで延べ床面積がまったく同じ建物をそれぞれ想定してください。
2階建ての場合、階段も必要になりますし、トイレも一般的には1階と2階の2箇所に作ります。
普通に考えて、平屋建てよりも2階建ての方が坪単価は高くなるイメージです。
しかし、必ずしもそうとはいえない理由があります。
たとえば、基礎工事です。
基礎工事とは、その言葉の通りその建物の「基礎」となる部分の工事をいいます。
地震などの災害を想定し、もっとも安全を意識しなければいけない大切な部分です。
同じ建て坪面積の平屋の場合、2階建ての2階部分を地面の上に建てることになります。
よって、その分、さらに多くの基礎工事が必要となるのです。
そしてもう1つ、屋根も同じことがいえます。
2階建てであれば、屋根は基本的には2階の上です。
平屋建ての場合、1階の上に屋根が必要となり、その面積は2階建てよりも広くなります。
このように、平屋建ては2階建てに比べて、基礎や屋根が多く必要になる分、さらに多くの建築費用がかかります。
2階建てよりも平屋建ての方が坪単価は高くなると言われている理由は、その辺りにあるのです。
平屋の坪単価が高いといわれるもう1つの理由
実は、平屋建ての方が高いといわれる理由にはもう1つの単純な理由があります。
当たり前のことですが、平屋建て、2階建てに関わらず、建物はその土地に収まる範囲に建てなければなりません。
そこで、木造2階建てと同じ建て坪面積の木造平屋建てを建築するとなると、当然のことながら、倍近い坪数の土地が必要になります。
もちろん、広い土地を選ぶのは理想的です。
しかし、人にもよりますが、さまざまな事情から、理想よりも狭い土地を選ばなければならない場合が多いといえます。
つまり、平屋建ての方が建物の述べ坪数が下がり、結果的に坪単価が高くなるのです。
以下、同じ面積に2階を建てと平屋建てを建てた場合の坪単価を計算した例です。
実際は平屋建ての方が総建築費用は安くなりるのが一般的ですが、分かりやすくするために同額の建築費用で計算しております。
○建て20坪×2階の坪単価:建築費用2,000万の場合
2,000万÷(20×2階)=坪単価50万
○建て20坪×1階の坪単価:建築費用2,000万の場合
2,000万÷(20×1階)=坪単価100万
平屋建ての坪単価の方が高くなるのが一目瞭然ですね。
問題は坪単価よりも総建築費とそれに見合った仕上がり度合い
このように、平屋は2階建てに比べて坪単価が高くなりがちであることが分かりました。
ただ、ここであらためて勘違いしてはいけないことが1つあります。
それは、建築における建物の坪単価は、それほど重要な情報ではないということです。
坪単価がいくらになるのかよりも、総建築費がどの程度で収まるかという部分の方が重要といえます。
そして、その費用に見合った仕上がりにすることが、もっとも大切であり、最終目標といえるのです。
「坪単価をいたずらに下げるあまり、気付いたら安全の部分で不安が残る建物になってしまった」ということにならないよう注意しましょう。
坪単価は、総建築費をはじき出すための、最初の時点での目安ということをあらためて理解する必要があります。
そして、総建築費に見合った、納得のいく仕上がりの木造家屋を完成させることが大切なのです。
坪単価が高くても構わない?木造平屋建てのメリットとは?
さて、ここまでの坪単価の解説によって、平屋建ての方がデメリットを多く感じられたたかもしれません。
ここでは、その逆となる、平屋建てにした場合のメリットを考えてみましょう。
もちろん人にもよりますが、木造平屋建てならではの魅力的なメリットがたくさんあります。
○バリアフリー住宅を作りやすい
平屋建ては、当然のことながら2階に行くための階段は不要です。
よって、玄関上がり以外、完全なバリアフリーの木造建築を実現できます。
○各所のメンテナンスが比較的楽
平屋の場合、高い所のメンテナスがしやすくなるのも特徴の1つといえます。
2階建ての場合、高い場所では足場を組んでプロに依頼するのが一般的です。
しかし、平屋建てでは、場所にもよりますが、ハシゴ1つで自らがメンテナンスをすることが可能です。
○掃除がしやすい
平屋では、掃除機を2階に運ぶという行為が無くなります。
また、設計次第では、全フロア、掃除用ロボットだけで済ませてしまうことも可能です。
○トイレは基本、1つだけでOK
2階建ての場合、2階にトイレは必須とえますが、平屋では1つで十分です。
○家族のコミュニケーションが取りやすい
平屋の場合、各部屋の位置は、家族が集うリビングや庭などに隣接している、又は隣接に近い場所となります。
これにより、家族同士のコミュニケーションを取りやすくなる傾向があるのです。
木造平屋建は2×4工法と在来工法のどちらがオススメ?
木造平屋建てを建築する際、坪単価を参考にする初期の時点で、建築工法も同時に検討する必要があります。
木造には在来工法(軸組工法)と2×4工法(枠組壁工法)があります。
簡単に表現すれば、2×4工法は壁で建物を支える工法で、在来工法は柱と梁で家を組立てる工法です。
一般的には2×4工法よりも在来工法の方が、間取りの設定や、窓の位置とサイズの設定は、自由度が高いといわれています。
その影響で、平屋建には在来工法が適していると考える方が多く存在しているのです。
しかし、2×4工法は耐震強度を高くしやすく、また、工期も短縮できるなどの多くの利点があります。
そして、在来工法でも極端に広い空間にする場合は、当然、随所に柱が必要となるのです。
建築工法はハウスメーカーによっても得意分野が分かれる部分でもあります。
いろいろと下調べをし、プロであるハウスメーカーに相談しながら建築工法を決めるのも1つの方法です。
まずは自分が建てたい家の明確なビジョンを持つことが大事!
今回は、木造平屋建てと木造2階建ての違いを、建物の坪単価の部分から比較してみました。
結果、2階建てによりも平屋建ての方が坪単価は高くなりやすいことが分かりました。
しかし、坪単価の高い、低いに関わらず、最終的には自分が納得できる建物にすることがもっとも重要です。
さらに、平屋建てには2階建てに無い魅力的な利点も数多くあります。
重要なのは自分がどのような家に住みたいのかという明確なビジョンを持つことです。
ぜひ、納得のいく木造家屋を建設してください!