「b-casカード=ビーキャスカード」をご存知ですか。
テレビやビデオデッキの横や裏側にあるカードスロットに挿し込まれた、赤や青のカードのことです。
大きさは銀行のキャッシュカードと同じくらいで、矢印に「b-cas」と書かれています。
挿しっぱなしなので見たことがない方もいるかもしれません。
しかし、このb-casカードは、地上デジタル放送をはじめ、bsデジタル放送やcsデジタル放送を見るためには欠かせないものなのです。
それでは、b-casカードの役割や機能について見ていきましょう。
bs放送やcs放送を見るために必要なb-casカードとは?
2012年3月、日本のテレビは地上アナログ放送が完全に終了し、すべてデジタル化されました。
それまで、2006年から、各地でテレビの地上デジタル化が始まり、2011年7月のアナログ放送終了まで、段階を追ってデジタル化に向かって進んでいきました。
テレビではCMが流され、鹿のキャラクター「地デジカ」が、「早くデジタル放送に対応するように」と呼び掛けていましたね。
このとき、デジタル放送受信機、つまりデジタルテレビをはじめとするビデオレコーダーなどの受信機に、このb-casカードが付いてきたのです。
b-casカードは、地上デジタル放送、bsデジタル放送、110度csデジタル放送の番組を見るために必要なもので、著作権保護や有料放送の管理、自動表示メッセージやデータ放送などのサービスを受けるために使われています。
これまで、主にbsデジタル放送やcsデジタル放送で、放送番組の著作権保護などに対応してきたものが、地上波もデジタル化することで、すべての番組に対応するようになったのです。
b-casカードでbs放送やcs放送を見るのが便利になった!
b-casカードがないときは、bsデジタル放送やcsデジタル放送などの有料放送を見るためには、その放送事業者ごとの専用デコーダーが必要でした。
そのため、複数の有料放送を見るためには、A社の放送にはA社専用デコーダー、B社の放送にはB社専用デコーダーというように、複数の専用デコーダーを用意しなければならなかったのです。
しかし、b-casカードの出現で、複数の有料放送事業者がb-casカードの情報を、それぞれ利用することが出来るようになりました。
つまり、複数の専用デコーダーの役目を、b-casカード1枚で果たすことが出来るようになったのです。
デジタル放送に変わったときに、今まで使っていた専用デコーダーが不要になって、処分した経験を持つ方もいらっしゃると思います。
専用デコーダーがなくなり、テレビも薄型になり、デジタル化以前に比べ、テレビ周りはだいぶすっきりしましたよね。
また、有料放送を見るためには、それぞれ申し込みが必要ですが、b-casカードを使うことでより手続きしやすくなりました。
b-casカードの基礎知識その1
現在、テレビやビデオレコーダーなどを購入すると、このb-casカードが契約約款と一緒にラップで包装され、必ず同梱されています。
このb-casカードのラップを剥がした時点で、契約約款に同意したことになります。
したがって、まずは契約約款を読み、納得した上でb-casカードのラップを剥がしましょう。
b-casカードには、ICチップが内臓されていて、無料放送、BSやCSなどの有料放送を制御しています。
また、b-casカードにはいくつか種類があるので、ご紹介しましょう。
【赤いカード】
赤いb-casカードは一般的で、地上デジタル放送、bsデジタル放送、110度csデジタル放送、を受信出来ます。
bsデジタル放送対応のテレビや、ビデオレコーダーなどを購入した場合に同梱されています。
【青いカード】
青いb-casカードは、地上デジタル放送を受信することが出来ます。
このカードでは、bsデジタル放送は受信出来ません。
【オレンジカード】
このカードは、ケーブルテレビ専用カードです。
赤いカードとセットで発行されています。
他にも、業務用や用途を限定したカードなど、一般的でないカードもあるようです。
b-casカードの基礎知識その2
それでは、b-casカードの機能についてご紹介しましょう。
先程もお話ししたようにb-casカードは、受信機に挿さないとデジタル放送を見ることが出来ません。
それは、裏を返すとb-casカードを挿入すれば、どのテレビでもデジタル放送を見ることが出来るということです。
つまり、有料放送を契約している場合、契約しているb-casカードを持っていれば、どこでも有料放送が見られることになります。
例えば、他人の家のテレビでもbsデジタル放送やcsデジタル放送対応であれば、b-casカードを挿入することで有料放送が見られるのです。
また、今まで2階のテレビでしか有料放送が見られなかった場合も、b-casカードを使うことで、1階のテレビでも有料放送を見ることが出来るようになります。
こうして見てみると、使い方によっては、今までよりも便利かもしれませんね。
bsデジタル放送とcsデジタル放送の違いについて
これまでの説明で、b-casカードについてお分かりいただけたかと思います。
次は、何度も出てきている、bsデジタル放送とcsデジタル放送についてご紹介しましょう。
bsデジタル放送は、「放送衛星」を使って発信される、テレビ放送のことを言います。
番組内容は、地上波と同じような番組構成で、ニュースやスポーツなど総合的な番組が見られます。
現在では、NHKを筆頭に地上波の放送局もbsチャンネルを持っていますね。
csデジタル放送は、「通信衛星」を使って発信される、テレビ放送のことを言います。
「110度csデジタル放送」という言い方もしますが、これは「東経110度にある通信衛星」を使っているため、そう呼ばれているのです。
また、csデジタル放送はbsデジタル放送と違い、総合的な番組構成ではなく、専門チャンネルが多く、ジャンルごとにチャンネルがあるのが特徴です。
このように、bsデジタル放送もcsデジタル放送も、同じ衛星放送なのですが、使っている衛星が違うということです。
しかし、bs、cs、どちらも同じ方角に衛星があるため、ひとつのアンテナで受信することが出来ます。
b-casカードが正しく挿入されていない!?
テレビを見ていると、突然「b-casカードを正しく挿入してください」という表示が現れることがあります。
これは、地上デジタル放送を見ていると、よく起きる現象です。
bsデジタル放送やcsデジタル放送では、比較的少ないようですが起きることもあります。
この場合は、まずテレビやビデオレコーダーの主電源を切ってから、b-casカードを抜き、正しい向きでしっかり挿入し直しましょう。
これで、テレビなどの電源を入れると大抵の場合、解決します。
しかし、それでも同じメッセージが流れたら、今度はコンセントから電源を落として、b-casカードを抜き、先程と同じように挿入し直してください。
また、b-casカードが汚れている場合は、やわらかい布や綿棒などで汚れを取り除きましょう。
何度か繰り返しても映らないようでしたら、カードの不具合が考えられるので、b-casカードカスタマーセンターへ問い合わせをしてください。
b-casカードでテレビは便利に
テレビ放送がデジタル化されてから、かなり時間が経ち、今では生活に定着しています。
b-casカードを使うことで、有料放送を見るにも専用デコーダーを必要とすることなく見ることが出来、便利になりました。
また、リモコンのdボタンを押すと、データ放送で24時間、いつでも必要な情報をテレビから得ることも出来ます。
b-casカードに関しては、まだまだ問題があるようですが、わたしたちの生活が便利になったのは間違いないでしょう。