アパートなどの「賃貸借契約の連帯保証人をやめたい。」と悩む人は多いようです。
連帯保証人は、家賃や原状回復を本人と同様に保証する、重大な責任を伴うものです。
しかし、これは勝手にやめることができません。
代わりの保証人を見つけることが一番ですが、そう簡単には見つかりません。
それでもあきらめることはありません。
連帯保証人をやめたいなら、できることから始めてみましょう。
やめたいと思ってもやめられない保証人
「連帯保証人にだけはなってはいけない」というのは、多くの方がご存知のことで、自ら進んでなる方は少ないでしょう。
アパート等の賃貸借契約には、ほぼ連帯保証人が必要とされています。
一般的には、親族関係の中で保証をされることが多いと思われます。
しかし、やむにやまれぬ事情からであったり、本当に信頼しているからということで引き受けてしまうこともあるでしょう。
それでも、連帯保証人はお断りする方が賢明です。
連帯保証人になるということは、自分と貸主の契約になるからです。
その内容は、「貸主と借主が結んだ契約の内容について丸ごと自分が責任を負う」というものです。
つまり、自分が住んでいない部屋の滞納家賃や原状回復費などを支払わなければならないリスクを、契約終了まで常に負っているのです。
そして、それ(滞納請求)は、ある日突然やってきます。
貸主は、その請求を借主ではなく、いきなり連帯保証人に請求することができます。
連帯保証人は、自分ではなく借主に請求してくれ、とは言えません。
請求されたときには、支払わなくてはならないのです。
そして、そうなってから「連帯保証人をやめたい」と言ってもやめることができません。
家賃の連帯保証人をやめたい!どうすればよいか
では、うっかりアパートの連帯保証人となってしまい、やめたい場合はどうすればよいのでしょうか。
まずは、代わりの連帯保証人を見つけることが一番でしょう。
そのためには、借主から新しい保証人へ依頼してもらう必要があります。
借主の親族に代わってもらう、家賃保証会社へ依頼してもらう、などの方法が挙げられます。
しかし、借主に親族がいない、いたとしても高齢などの理由で親族が保証人の資格を得ないことがありますよね。
保証会社は、保証金と更新料を支払うことで、滞納や原状回復費用を範囲内で保証してもらえるシステムです。
とはいえ、保証会社はリスクを負うので、審査は当然厳しいものになります。
また、保証会社はアパートの賃貸借契約の連帯保証人になるのではなく、保証委託を借主、貸主との3者間で契約します。
保証会社は、「この範囲までを保証します」というルールで契約するため、保証契約のための連帯保証人が必要となります。
そのため、借主の状況次第によっては、審査が通らないことも考えられます。
新しい保証人を見つける、ということに関しては、借主が滞納していない状態の方が当然見つけやすくはあります。
しかし、借主の事情や状況によっては、代わりを見つけることは並大抵ではありません。
「保証人をやめたい」と言っても、それが簡単ではないのです。
アパートの保証人をやめたいときは、貸主の合意が必要
では、その借主の状況はどうでしょうか。
もし、家賃を滞納しているとすれば、やはり借主に支払うことができない事情があるのではないでしょうか。
アパートの契約時に連帯保証人を付ける理由は、家賃や原状回復費などを、借主側に確実に支払ってもらうためです。
支払う力さえあれば、誰であっても問題はないことになります。
けれども、支払いが難しい借主の連帯保証人に進んでなる人はそういないでしょう。
もし仮に代わりの保証人が見つかり、貸主へ「保証人をやめたい」と申し出てもそう簡単にはいきません。
貸主が代わりの保証人を承諾しない限り、保証人を変更したことにはならないからです。
貸主が連帯保証人の変更を認める場合、現在の連帯保証人の資力と同等もしくは上回る条件をクリアしないといけないという、厳しいものがあります。
滞納がない状態では、「変更する理由がないにもかかわらず、なぜ変更しなければならないのか」と貸主を不安にさせます。
また、滞納がある状態では、保証人の変更はまず認められないでしょう。
連帯保証人をやめるには、代わりの人を見つけ、貸主を納得させる必要があるのです。
いずれにしても、なかなか簡単にはいかない場合が多いです。
家賃や原状回復の保証人をやめるタイミング
借主が新しい保証人を見つけることができなかった場合は、連帯保証人になった以上、請求された支払いから逃れることはできません。
現在、賃貸借契約では、契約更新後も連帯保証人の保証が継続する、という考えが主流となっています。
そして、もし連帯保証人が亡くなったとしても、保証はその相続人へ引き継がれていきます。
しかし、
・保証人が継続しないと意思表示をした
・貸主が相当期間、借主に滞納があるにもかかわらず、保証人に連絡もしないで契約を更新していた
という場合は、保証する義務を負わなくてよい可能性があります。
現状、アパートの借主に滞納などの問題がないなら、保証人の交代は貸主が受け入れてくれないかもしれません。
貸主にすれば、問題のない保証人を交代する理由がないからです。
しかし、家賃を数ヶ月滞納したときや契約更新時であれば、理由もあって契約期間も終了という良いタイミングです。
そのタイミングで、貸主へ、連帯保証の契約更新をしない旨を伝え、連帯保証人をやめたいという意思表示をするというのも、一つの方法として有効ではないでしょうか。
もっとも、自分が連帯保証を外れることで、代わりを探さなかった(探せなかった)借主が契約不履行で退去となる可能性は否めません。
家賃と原状回復の保証人からはずれるために~専門家へ相談~
以上より、アパート等の連帯保証人をやめるためには、タイミングと実行力が重要ということがわかりました。
それでもうまくいかないときは、貸主へある程度の金額を提示して交渉してみるのも良いかもしれません。
家賃数ヶ月分など具体的な金額を提示し、契約更新時に契約を更新しない旨を伝え、やめたいという意思表示をすること自体は、問題ありません。
しかし、話を聞いてくれない貸主もいることでしょう。
貸主と感情的なトラブルにならないためにも、間に専門家を挟んで交渉する方が確実かもしれません。
その場合は、弁護士もしくは認定司法書士への依頼となりますが、知人に専門家がいる人はそう多くはないでしょう。
そうした人は、「法テラス」などの相談機関からケースに見合った専門家を紹介してもらうことも可能です。
本来であればやめられない連帯保証人ですが、それからはずれるためには、ある程度の出費も覚悟する必要があるでしょう。
それでも家賃や原状回復の保証人になるときには
それでも連帯保証人にならなくてはいけない事情があるときは、最善を尽くしましょう。
まず、しっかりと賃貸借契約の内容を把握しておかなければなりません。
借主の資力の状況、資産、負債も現時点だけではなく、継続的に知っておくべきです。
そして、アパートの貸主と書面にて契約書を交わしましょう。
保証の限度額、家賃の滞納があればすぐ知らせること、保証人の破産、死亡により保証する金額が決まることは最低限必要です。
また、貸主に対して、滞納の状況など照会したときには正確に応じることを取り決めておきましょう。
これらを具体的にし、契約することでリスクを小さく抑える手立てにはなります。
上記のように、連帯保証人になった以上、やめたいと思ってもやめられないこと、やめるには貸主の合意が必要だということに変わりはありません。
なお、2020年4月1日から民法改正によって連帯保証人の保証する範囲が決められます。
施行前であっても、契約は有効なので、活用してみてはいかがでしょうか。
アパート保証人は賃貸の状況把握をしておくこと
アパートの連帯保証人は、やめたいと思っても簡単にはやめられません。
借主と話がついたとしても、貸主の合意なく勝手にやめることはできないからです。
代替保証人を探し、更新時に辞退の意向を表示することで貸主の合意を得なければなりません。
更新のタイミングや借主の資力状況は、現在家賃の滞納などがなくても把握しておくと安心です。
やめるにあたって交渉が難航しそうなときは、無理せず専門家へ相談しましょう。