鉄骨造の賃貸物件を所有・管理している大家さんは多いです。
しかし、鉄骨造の賃貸物件で重要なのが、バルコニーの防水対策ですよね。
今回は、鉄骨造の賃貸物件を所有・管理している大家さんに向けて、バルコニーの防水対策をご紹介します。
また、これから新しく鉄骨造の賃貸物件を所有しようと考えている大家さんにも役立つ内容になっているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
鉄骨造の賃貸物件が大家さんに人気の理由
賃貸物件を管理している大家さんには、木造よりも鉄骨造の物件が人気です。
それは、「修理のサイクルが木造よりも少し長い」という理由が大きいでしょう。
管理の手間が少しでも軽ければ、それだけ「管理しやすい物件」になります。
修理には費用も時間もかかるので、物件の管理のしやすさは大家さんにとって、とても重要なことですよね。
しかし、鉄骨造の賃貸物件も、やはり年数が経てばリフォームする必要が出てきます。
木造でないからと言って、改修工事をしなくても良いというわけではないのです。
ですが、改修工事は、木造よりも鉄骨造の方がしやすいと言われています。
なぜなら、
・構造上、壁がない場合が多く、一旦壁を撤去すれば再びデザインすることが可能
・階数を減らすことが可能(増やすのは難しい)
・外観も、時代に合わせてオシャレに変えられる
などの違いがあるからです。
しかし、鉄骨造の賃貸物件の修理やリフォームでは、忘れてはいけない部分があります。
それが、バルコニーの防水対策です。
なぜ、鉄骨造の賃貸物件でバルコニーの防水対策が必要なのかは、次の章で見ていきます。
鉄骨造の賃貸でバルコニーの防水が必要な理由
このように、大家さんに人気の高い鉄骨造の賃貸物件ですが、もちろんそれにも、デメリットはあります。
それが、バルコニーの防水です。
バルコニーは、
・2階以上に設置されている
・建物からせり出している
・屋根がない
・人が歩くことができて100㎝以上の幅があり、手すりも110㎝以上あるもの
と定義されていて、多くの鉄骨造の賃貸物件にも設置されています。
また、この定義から考えると、テラス(1階に設置)やベランダ(上に屋根がある)とバルコニーとは、似て非なるものです。
バルコニーでは、雨漏りや水漏れが起こりやすく、水漏れがあった場合には早めに対処しないと物件が傷み、入居者が住むのに支障が出てきます。
新築時にした防水対策も、時間が経てばその効果は薄れてきてしまいます。
大きな水漏れがないうちに、できるだけの防水対策をした方が大家さんも安心でしょう。
そのため、改修工事の際には、忘れずにバルコニーの防水対策を見直す必要があるのです。
鉄骨造のバルコニーの防水基準
ではここで、鉄骨造のバルコニーの防水基準について見ておきましょう。
屋根のないバルコニーの防水対策は、とても重要です。
以前は、基準もなくバルコニーからの漏水が大問題になっていました。
しかし、現在、鉄骨造の建物にバルコニーを作る場合は、「性能保証住宅設計施工基準」に沿って設計されています。
その中の第8条(バルコニーの防水)に、
・バルコニーの床には、1/50以上の勾配を必ず付けなければならない
・防水材は、安定性があり、破断や穴が開きにくいものでなければならない
と防水基準が明記されており、平成16年にはこの改訂版も出ています。
勾配が1/50以下になると、雨が降った際に、雨水が排水口まで流れず、バルコニーの床に溜まった水が、階下に漏れてトラブルになってしまいます。
さらに、バルコニーの劣化も早まるので、防水対策が必須なのです。
では、鉄骨造の賃貸の修理で、バルコニーの防水性を高めるにはどうすればよいのでしょうか。
それには、
・大家さん自らが修理をする
・業者に頼んで防水加工をしてもらう
の2つの方法が考えられます。
それぞれのメリットや修理方法、注意点については次の章からご紹介します。
大家さんが自力で鉄骨造のバルコニーの防水対策をする方法
ではまず、大家さんが自力で鉄骨造の物件のバルコニーに防水対策をする方法をご紹介します。
雨漏りが一部分であれば、その部分にコーキングシール材を充填することで、穴を塞ぎ、雨水が漏れてくるのを防ぐことができます。
コーキングシール材やその充填作業に使う工具などは、ホームセンターで揃えられますし、費用も数千円あれば足りるでしょう。
ただ、慣れるまでは難しい作業なので、バルコニーの床の修理が初めての大家さんは、失敗を防ぐために、段ボールなどで練習することをおすすめします。
そして、うまくできるようになったら、実際に修理していきます。
しかし、この方法では、どうしても一時的な効果にとどまります。
時間が経てば、また水が漏れてくることになるので、早めに業者を選んで修理を依頼しましょう。
また、あまりにもバルコニーの床からの雨漏りなどがひどい場合には、はじめから業者に頼んだ方が早いです。
次の章では、大家さんが鉄骨造のバルコニーの修理を業者に頼むときの流れや注意点についてお伝えします。
鉄骨造バルコニーの防水工事を業者に依頼する際の注意点
自分でバルコニーの防水工事をするのは大変ですよね。
「自力ではとても無理だ」とおっしゃる大家さんは多いです。
また、バルコニーの傷みがひどい場合には、プロの力を借りてでも早急に修理する必要があります。
しかし、業者の選び方を間違えると、防水対策がきちんとされなかったり、法外な金額を請求されることになりかねません。
そのため、ここで、鉄骨造バルコニーの防水工事を業者に依頼する際に、大家さんが気を付けたいのが、以下の3点です。
・水漏れが起きている原因やなどの説明をきちんとしてくれるか
・状況に応じた修理を提案してくれるか
・修理にかかる費用の説明があるか
賃貸物件のバルコニーの防水方法には、
・ウレタン防水
・シート防水
・FRP防水
がありますが、どれが向いているかはその物件によって異なります。
なぜ水漏れが起きていて、どの防水方法なら効果が見込めるのか、それにかかる費用も含めて説明を求めましょう。
工事の後でトラブルになるのを防ぐためにも、大家さんは工事前にこれらをしっかり確認し、きちんとしている業者を選ぶことが大切です。
これから鉄骨造の賃貸物件を所有するなら防水対策をしっかりと!
では、これから鉄骨造の賃貸物件を所有しようと考えている大家さんは、どんなことに気を付けて管理する物件を選べば良いのでしょうか。
最後は、そういった大家さんに向けて、鉄骨造の防水対策がされている賃貸物件の見極め方をご紹介します。
効果が期待できる防水対策がされていないと、しょっちゅう雨などが原因で水漏れが起こり、そのたびに修理しなければならなくなります。
防水対策がしっかりしている物件に、「住宅保証機構の性能保証を受けている物件」があります。
これは、「FRP防水」という方法で、バルコニーを防水しているものです。
これも、性能保証住宅設計施工基準で「FRP防水は、ガラスマット補強材が2層以上であること」と明記されているので、大家さんは、これがきちんと守られているか、物件を入手する前に確認しましょう。
しかし、繰り返しますが、どんな建物でも時が経てば、修理が必要になります。
大家さんは、物件を入手して貸せば終わりではありません。
水漏れがしたらすぐに対処する必要がありますし、漏れていなくても、防水対策の強化が必要なるケースもあるでしょう。
大家さんには、入居者が安全・快適に過ごせるように、物件を日々管理していくことが求められるのです。
大家さんはバルコニーの防水対策を忘れずに!
今回は、鉄骨造の賃貸物件を所有する大家さんに向けて、バルコニーの防水対策の必要性やその方法などをお伝えしました。
ご紹介したように、バルコニーの防水にも、きちんとした基準があります。
大家さんにとって、修理は費用などの面で頭の痛い問題かもしれませんが、入居者の快適な生活のためには、物件の管理や修理はとても重要なことです。
物件を管理する側として、常に気を配っていきましょう。