現代は、サイディング外壁が主流です。
新築はもちろん、モルタルからサイディング外壁にリフォームするかたも多くなっていますよね。
そんなサイディング外壁の特性と、メンテナンスについて解説していきます。
サイディングボードの浮きをビスで止める方法や、シーリングの劣化の補修にも注目です。
時代はモルタルからサイディング外壁へ
はじめに、サイディング外壁がどのようなものなのかご存知ではないかたのために、解説していきます。
ひと昔前の建物は、モルタルが主流でした。
現在も、モルタルの建物は数多く残っていますよね。
モルタルの外壁は防火性に優れているのですが、材料費や工事費用がかかり、時間もかかる施工でした。
また、外壁にヒビが入ってしまうのもよく見られる特徴です。
そんなモルタルの欠点を克服するために、高品質な外壁素材の開発が進んでいってサイディング外壁ができあがったのです。
サイディングは、外壁の大きさに合わせて加工した1枚板を、釘やビスなどを使って張り合わせていきます。
これまでのモルタルと比べると火に強く、材料費や工事費用を抑えられ、施工時間の短縮もできるようになりました。
軽量であるため耐久性にも優れていますが、7年から10年以上経過したときには、塗装などのメンテナンスが必要です。
もし、メンテナンスを怠ると、建物の老朽化が加速してしまいます。
お住まいの建物のサイディング外壁に劣化がないかや、外壁の浮きがないかを、この機会にチェックしてみてください。
メンテナンスフリーのサイディング外壁でも要チェック
サイディングは建物を守ってくれている大切な外壁です。
サイディング外壁が劣化しているにもかかわらず放置してしまうと、建物自体の老朽化も加速させてしまいます。
そのため、外壁のメンテナンスはとても重要なことなのです。
ここでは、劣化が見られ始める目安の年数と、サイディング外壁の劣化状況を見ていきましょう。
■5年目
・色あせ
・光沢の低下
・シーリング劣化
■7年目
・チョーキング(触ると粉が手につく状態)
・膨れ
・剥がれ
■10年~
・ひび割れ
・腐食
・反り
・浮き
・緩み
このように、表面塗装やシーリング、サイディング自体の劣化を見ることがポイントです。
メンテナンスフリーのサイディングも存在しますが、地震などの振動によってシーリングが劣化し、釘が抜けてしまうこともあります。
メンテナンスフリーという言葉を鵜呑みにせず、さまざまな角度から外壁の劣化状態を観察することが大切なのです。
次では、経年劣化を抑えやすい、釘やビスが見えないように留め付けする方法についてお話します。
釘やビスが見えない金具止め方法
サイディング外壁は、外壁の大きさに合わせて加工されたサイディングボードを、建物の骨格に合わせながら釘やビスなどで固定してできあがることをお伝えしてきました。
外壁に使われるサイディングボードには、厚さにも種類があることをご存知でしょうか。
この厚さによって性能が異なり、留め付け方法も違いが見られます。
まず性能ですが、14ミリの厚さのサイディングボードは、リーズナブルな価格ではありますが、デザイン性はやや劣ります。
一方、16ミリの厚さのサイディングボードは価格は高くなるものの、デザイン性が高くなります。
また、長持ちする特徴があるため、長期的な面で見れば16ミリ以上のサイディングがおすすめです。
次に、留め付け方法の違いですが、「金具止め」と「釘止め」の、2つの方法があります。
金具止め方法は、15ミリ以上のサイディングでなければできない方法です。
専用の金具で固定するので、外壁の外から釘やビスが見えることがなく、耐震性にも優れています。
経年劣化の症状で見られる浮きや緩みが起きにくいため、雨水が侵入してくることもほとんどありません。
釘止め方法はというと、専用の釘やビスを使って固定するため、外壁に釘頭が見えている状態です。
地震などの振動や経年劣化が原因で釘やビスが緩みだすと、そこから雨水が入り込んでしまいます。
サイディング外壁を検討しているのであれば、こういったサイディングボードの厚みにも注目してみましょう。
サイディング外壁にビスの増し打ち
サイディング外壁に見られるトラブルのひとつとして、サイディングの浮きが見られることがあります。
浮いてきてしまう原因は、地震などの衝撃や、下地への留め付け不足が考えられるでしょう。
このままサイディングが浮いている状態にしていると、建物の内部に雨水や湿気が入り込んでしまいます。
やがて腐食し、建物自体にもトラブルが起こりますので、きちんと補修をしていきましょう。
もし、サイディングを指で押して動かない状態であれば、サイディングの張り替えをしなければなりませんが、押して動くようであれば簡単に補修ができますよ。
なお、下地のない外壁の場合は、サイディングの浮きや反りが直らない場合もあります。
それでは、サイディングの浮きを補修する手順をご説明します。
①はじめに、増し打ちする場所を決めます。
そこに錐(きり)を揉んで穴をあけましょう。
②錐で揉んだ部分に、ビスを打ち込みます。
このとき、周囲のサイディングの高さと比べて、沈みこまないように打ち込んでください。
ビスを打ち込むと、まわりの釘が浮いてくることがあります。
少しでも浮いてしまったら、必ず打ち締めをしましょう。
ビス頭にパテ処理するのを忘れずに
ビスの増し打ちによってサイディングの浮きが改善されても、それで安心してはいけません。
一番重要になるのが、ビス頭のパテ処理です。
パテ処理をしないで放置してしまうと、ビスから水が伝って浸水してしまうからです。
浸水してしまっては、ビス増しをして浮きを直したことが無駄になってしまいますよね。
パテ処理の仕方は、打ち込んだビスの頭にパテを盛り、ヘラなどを使って平らにならして、パテが乾くまで待ちます。
乾いたら、補修塗料を使ってタッチアップすることで完成です。
以上が、サイディングの浮きの補修工程となります。
もし、サイディングの浮きが指で押しても動かない場合は、サイディングの張り替えになるとお話ししましたが、なかにはすぐに張り替えをするのが困難なかたもいらっしゃいますよね。
あるいは、現在使っているサイディングが廃盤になってしまった場合も張り替えが難しくなります。
そんなときは、水が入り込まないように、浮きがある部分をシーリングしておきましょう。
一時的に防水することができます。
サイディング外壁や水の浸水状況によっても補修方法は変わりますので、一度業者に見てもらうと良いでしょう。
シーリング材の劣化と対策方法
ビスで固定してれば、年数が経過していてもサイディングが浮いてくることは稀なことです。
しかし、傷みやすい場所のひとつであるシーリング部分の劣化は注意深く観察しましょう。
さいごに、シーリングの劣化と対策方法をお話します。
▽剥離
サイディング外壁とシーリング材の間に隙間ができたときの対策は、底部分にボンドブレーカーを貼ってシーリングを打ちましょう。
▽破断
コーキング材の劣化や寿命によって、シーリング材の真ん中が割れてきます。
対策は、打ち替えの際に、耐久性の高いシーリング材を使いましょう。
▽バックアップ材が見えている
シーリング材の厚みが足りないことであらわれます。
ボンドブレーカーを貼って、8mm以上の厚みが出るようにシーリングを打ち対策しましょう。
▽欠落
プライマーが足りていないことや、耐久性の低いシーリング材を使ったことによる原因です。
ここまでくると、早急に対策することが必要です。
耐久性の高いシーリング材を選び、プライマーをしっかりと塗りましょう。
外壁も建物の一部
時代とともに性能が向上している外壁ですが、メンテナンスを怠ってしまうと、耐久年数が早まってしまいます。
何事にも、早めの対策が大切です。
外壁に変わりはないか、建物の隅々まで確認するメンテナンスデーを作りましょう。
日頃から意識していれば、被害を最小限に抑えることができますよ。