築年数が古くて、賃料が比較的安いアパートに引っ越した際、「室内に洗濯機置き場がない」というケースが発生することがあります。
こういった場合、共有の廊下スペースやベランダに、洗濯機置き場が確保されていることが多いです。
その中でも、ベランダに設置しなければならない場合は、故障や排水溝によるトラブルが起きやすいので注意が必要です。
そこで今回は、ベランダに洗濯機を設置する上でのポイントや、トラブル対策なども含め、詳しくご紹介していきます。
ベランダに洗濯機を設置するメリット・デメリットは?
本題に入る前に、まずはベランダに洗濯機置き場がある物件のメリットとデメリットを見ていきましょう。
【ベランダに洗濯機を設置する際のメリット】
・相場に比べて物件の賃料が安い
屋外に洗濯機を設置することが気にならない方にとっては、最高の穴場物件となるでしょう。
また、賃料の安い物件を探したい場合は、洗濯機置き場の位置に注目してみるといいかもしれませんね。
・洗濯物を干すのが楽になる
ベランダに洗濯機があると、すぐに洗濯物を干すことができるので便利です。
「わざわざ屋外まで洗濯物を運ぶのが億劫だ」という方にとっては嬉しいポイントです。
【ベランダに洗濯機を設置する際のデメリット】
・洗濯機が故障しやすい
屋外に設置することで、日光や雨水・砂埃などのダメージを受けるので、故障に繋がりやすくなります。
・夜間に洗濯機を使用できない(騒音問題)
屋外に洗濯機を置くことで、作動中の音が近隣に響きやすくなります。
深夜に洗濯をすると、お隣から苦情がくるかもしれません。
・排水溝トラブル
洗濯機の排水口が詰まり、ベランダの排水溝で処理しきれなくなった場合、水漏れが発生してしまいます。
こういった、メリット・デメリットを比較してみると、屋外に洗濯機を置くことは多少リスクが高いように感じますが、なぜこのような物件はいまだになくならないのでしょうか。
次項でご説明させていただきます。
人気がないのに…ベランダに洗濯機置き場があるのはなぜ?
前項でもお話しした通り、ベランダに洗濯機を設置すると、室内に設置するよりも故障や排水溝によるトラブルなどが起きやすくなります。
若い女性の方は、防犯上の理由も加わり、さらに避けている確率が高いでしょう。
それなのになぜ、こういった物件がいまだに存在するのでしょうか。
現代の建物の場合では、「設計上の問題」または「部屋が狭くてスペースを確保できなかった」という理由で、やむを得なく屋外に置き場を配置するパターンがあります。
しかし、築年数の古い物件になると、話は変わります。
若い世代にとっては、「洗濯機は室内に設置する家電」というイメージが強い方がほとんどですが、一昔前までは「洗濯機は外に置く」ということが一般的でした。
そもそも古い建物の場合、「室内に洗濯機を置くことを想定していなかった」というケースもあるのです。
こういった時代のなごりは、現在にもまだ残っています。
実際に改修工事をして、室内に洗濯機置き場のスペースを確保しようとすると、相当な額のお金と時間が必要になります。
借り手がなかなか見付からなくても、多額の費用をかけてまでは、改修工事をしないというオーナーが多いのが現状です。
ベランダに洗濯機を設置する際のポイント
それでは、ここから実践編です。
まずは、ベランダに洗濯機を設置する際に注意していきたいポイントをお話しさせていただきます。
①直射日光や雨風対策
洗濯機を囲うように、板やラックで覆うのがベストです。
予算のない方は、簾(すだれ)でも代用することができますので、洗濯機に立てかけてみましょう。
これは、目隠しにもなりますので、防犯対策にも有効です。
また、市販の「洗濯機カバー」を併用すると、さらに効果があります。
洗濯機のボタンは、雨風や紫外線で劣化しやすいですが、これを使用することによって長持ちさせることができます。
②防音・防振対策
外で洗濯機を回すと、「近所で迷惑に思われていたらどうしよう」と気になってしまう方もいるでしょう。
そんな時は、洗濯時の音を抑えることができる機能が付いている洗濯機を選ぶといいでしょう。
また、壁に当たると音が響いてしまいますので、なるべく壁から離して設置することも大事です。
さらに、振動が気になるという場合は、市販の防振パッドや分厚いゴムマットで解決するケースがあります。
③排水口・排水溝チェック
ゴミが溜まらないように配慮しなければ、水漏れが発生する場合があります。
ネットを付けたり、掃除を小まめに行うことでトラブルを事前に避けましょう。
排水溝に繋ぐのはNG?ベランダに洗濯機を設置する方法
それでは実際に、ベランダに洗濯機を設置する方法をご紹介させていただきます。
①アース線を繋ぐ
コンセントの下にあるフタをドライバーなどで開けましょう。
プラスのネジを緩めて、アース線の銅線を挟み、そのままの状態でネジを締めます。
②防水パンに付いている排水エルボを取り外す
防水パンとは、排水口の付いた受け皿のようなものです。
これがあると、多少の水漏れには対応できるでしょう。
防水パンが設置されていない場合は、洗濯機の底上げをしたほうが無難です。
簡易的な方法では、レンガを置くことで隙間をつくる方法がありますが、なるべく専用の台を購入したほうがいいでしょう。
③排水ホースに繋ぎ、排水エルボを排水口に差す
排水エルボとは、排水ホースと排水口を接続する部品のことです。
漏れないように、しっかりと繋ぎましょう。
④給水ホースを取り付ける
外れないように固定してから、洗濯機が正常に動くか、動作確認をしましょう。
基本的には室内に設置する方法と変わりませんが、雨水用のベランダ排水溝に、洗濯排水を流すことは控えましょう。
専用の洗濯排水口に繋ぐことが大事です。
その理由は、次項で詳しくご説明させていただきます。
ベランダの排水溝に洗濯排水を流してはいけない理由
ベランダに洗濯機置き場がある場合、専用の排水口がありますが、これを使用せず直接ベランダの排水溝に繋いでしまうと、問題が発生する場合があります。
一般的なベランダ排水は、側溝などを通って排水路や河川に流れていきますので、きちんと処理すべき洗濯排水を流すのには適していません。
こういった生活排水は、本来は下水へと流れるべきなのです。
さらに、ベランダ排水は隣人住民のベランダへと直接繋がっている場合が多いです。
洗濯排水を垂れ流すと、悪臭や水漏れなどのトラブルに発展しやすくなります。
もしも、隣人住民が洗濯排水をベランダの排水溝へ流していることが発覚したら、管理元に相談したほうがいいでしょう。
隣人住民が、専用の洗濯排水口があることに気付いていないパターンもありますので、まずは知らせてあげることが大事です。
排水溝は要注意!よくあるトラブルの対策
それではここから、ベランダに洗濯機を置くことで発生しやすくなるトラブルと、その対策についてお話しさせていただきます。
【よくある排水溝トラブル①水漏れ】
やはり多いのが水漏れ問題です。
主に、排水口や排水溝の詰まりが原因ですので、定期的に掃除をしてゴミを取り除いておく必要があります。
しかし厄介なことに、ベランダの排水溝は、泥などの頑固な汚れが溜まりやすく、掃除が大変です。
日頃から、ベランダに物を置き過ぎないようにすると、こういったゴミや泥も発生しにくくなります。
【よくある排水溝トラブル②悪臭】
洗濯機本体や排水口・排水溝の掃除を怠ると、ヘドロのような汚れが溜まり、悪臭を放ってしまうことがあります。
これが屋外ですので、ニオイは広がりやすくなります。
「悪臭」はよくある近隣トラブルの代表格です。
この場合も、掃除をすることが一番の対策になりますので、ニオイは常にチェックしておきましょう。
【よくある排水溝トラブル③害虫】
想像したくもありませんが、知らない間に屋外の洗濯機は「ゴキブリの巣」になっている可能性があります。
ゴキブリは、暖かく水がある場所を好むため、洗濯機に集まりやすいのです。
洗濯機のフタを開けたままにしておくと、中に入ってきてしまうこともありますので、注意が必要です。
設置タイプの殺虫剤や、忌避剤(きひざい)を使用するといいでしょう。
以上がよくあるトラブルですが、これらは定期的なメンテナンスで回避することができますので、実践してみましょう。
ベランダに洗濯機を置くなら、工夫と思いやりが大切!
いかがだったでしょうか。
屋外に洗濯機を置くことは嫌煙されがちですが、少し工夫をすると様々なトラブルも起きにくくなります。
周囲に迷惑がかからないように、配慮しながら設置することを忘れてはいけませんね。
実際に、ベランダに洗濯機を置いてみたら「案外使いやすくてよかった」という意見も多いようです。
設置する際は、今回ご紹介したことを参考にしてみてください。