夫の親との同居は必要?そしてそのベストタイミングはいつ?

私たちの人生には、いわゆるライフステージというものがあり、様々なきっかけで生活が変化します。

例えば、就職や結婚、転居や出産、子育てや子供の独立、親の介護などです。

そこで今回は、結婚後に親と同居するというライフステージを取り上げて、そのタイミングとメリットデメリットについて考えていきましょう。

夫の親と同居する妻はもはや珍しい時代?

親と同居するというと、まず考えられるのは結婚後の夫の両親との同居ではないでしょうか。

もちろん、妻の親と同居する場合や、独立していた子供が親元に帰ってくる場合もありますが、最もポピュラーなのはやはり夫の親との同居ですね。

ある女性向けの口コミサイトによると、結婚して現在親と同居している世帯は、全体の13%程度だそうです。

このサイトからの情報からすると、かなり少なく感じられます。

ひと昔前なら、結婚して夫の実家に同居したりするのは当たり前でしたが、今は親との同居自体が珍しいという時代のようです。

その理由のひとつは、子供の進学や仕事のために遠方で暮らしている場合や、そこで就職、結婚して落ち着いてしまうからでしょう。

これは、子供が自身の社会を自力で切り開いた結果で、本来親は喜ぶべきことですよね。

そして、親世代が昔と比べてまだまだ元気で、差し迫って同居の必要性がないというのも、同居しない理由のひとつかもしれません。

ただ、今は別居していても、いつかは親と同居したい、または同居しなければならないと考えている人は少なくないでしょう。

そのタイミングは人それぞれでしょうが、具体的にどのような理由で同居をはじめるものなのでしょうか。

若い世代が夫の親と同居する理由は?

同サイトには、親と同居することを決めた理由のランキングも掲載されています。

そのベスト3というと、1位は経済的だから、2位が家事や子育てで援助してほしいから、3位は親が土地や家を持っていたから、というものです。

こうして見てみると、親と同居するのは金銭面や家事と育児の負担軽減という、かなり合理的な理由のようですね。

その背景は、結婚年齢の人の年収にもあるのではないでしょうか。

20代から30代の人の平均手取り年収は、男性で200万円台前半から多くて400万円、女性で200万円弱から250万円程度です。

これを見ると、賃貸の家賃を払ってしまうと、自分一人食べていくだけで精いっぱいでしょう。

また、結婚しても共働きなら多少は余裕ができるかもしれませんが、子供が生まれたときのことを考えると、生活は厳しいといえます。

そこで、親と同居することで生活費を浮かせて貯金したり、子供の面倒を見てもらいながら、妻も働きに出るいう選択をする場合があるようです。

ただし、逆に考えると若い世代では特に上記のようなメリットがなければ、なかなか親との同居には至らないともいえるのではないでしょうか。

つまり、親との同居のひとつのタイミングは、経済的に不安定な若い世代では、子供が生まれたときといえそうです。

中年以降の夫婦が夫の親と同居する最終的なタイミング

夫の親と同居することで一番ストレスを抱えるのは、やはり妻でしょう。

自分の実家とは違い、それまで別の生活習慣で生きてきた他人のうちで暮らすわけです。

朝起きる時間や観るテレビ番組、食事の傾向ひとつとっても、実家とは違うことでしょう。

義父母が好きか嫌いかという問題の前に、誰であっても気疲れしないわけはありません。

結果、皆さんの体験談を読むと、義父母との同居経験者の妻の8割ほどが、同居しない方がよい、または同居したことを後悔していると述べています。

中でも、同居20年以上のキャリア組が、口を揃えてそう述べているのは興味深いところです。

いくら長く一緒に暮らしても、実家の家族のようにはなれないということでしょうか。

また、同居した結果、それまで円満だった夫と毎晩のように喧嘩になり、夫婦関係までも壊れて離婚することになった例もありました。

そして、この同居否定派の妻たちの中には、子供が相手の親と同居することだけでなく、自分たちと同居することも望まない人もいます。

このような体験談や意見を見るにつけ、とりわけ妻の立場では親が元気なうちは同居をする必要などないのではと思わざるを得ません。

つまり、最終的に親と同居を開始するのは、親が一人で生活できなくなったタイミングといえそうです。

同居のタイミングワーストワンは介護がはじまってから

恐らく、親世代に介護が必要となるタイミングは年々遅くはなっているものの、70代から80代だと思われます。

そのとき、子世代はすでに40代から50代になっているでしょう。

自分たちの子供は自立しているか手がかからなくなっているため、妻がフルタイムで仕事をしていなければ、なんとか介護も可能かもしれませんね。

ただ、それまで同居をしていない場合、そこにはまた別の問題が発生します。

実は介護での同居は、タイミング的にはワースト1位であるといわれています。

誰であれ、一緒に住んでいれば何が好きで何が嫌いか、何を喜び何を嫌がるのかなども自然と分かってきます。

しかし、それまであまり付き合いがなかった場合、介護で急に同居となるとお互いに歩み寄るのが難しくなってしまうのです。

妻はよく知らない義理の親の無償の介護にストレスを感じ、介護される側の親もよく知らない嫁に世話されることにストレスを感じるためです。

そこで、少なくとも要介護になる前の段階で、お互いを知る期間を持つことが必要であると経験者はいいます。

いつ介護がはじまり、それが何年続くかは誰にもわかりません。

そう考えると、日頃から夫の親との接触を避けず、お互いを知る努力をすることが大切だといえるでしょう。

親との同居で夫が担う役割は大きい

これまで主に妻の立場で夫の親との同居について述べてきました。

では、夫にとってはどうかというと、実の親なので同居に抵抗もなく、経済的事情よりも親子の情の部分で、同居したい人が多いようです。

実際、同居を切り出すのは妻でないのはもちろんですが、親からよりも夫からが一番多いというデータがあります。

中には、結婚前に夫に「自分と結婚するならば、実家に住むのが条件」といわれて同居した妻もいらっしゃいました。

これは、長男は家を継ぐべきという長男信仰が未だに脈々と続いていることを示しているのではないでしょうか。

ただ、昔と違って現在は、少子化のために男女問わず一人っ子が増えています。

そのため、結婚相手が長男であることは珍しいことではないのかもしれません。

そんな中で条件を付けていたら、結婚自体難しくなってくるのではないでしょうか。

このような背景もあり、晩婚化、少子化が加速しているのかも知れませんね。

ただ、中には夫の親と同居していても夫が常に妻の立場に立ち、優しく接してくれるため幸せで、老後資金も潤沢に蓄えられたという妻もいました。

このような体験談を見ると、もちろんタイミング云々もあるでしょうが、夫の気遣いや優しさが同居を成功させるカギなのかもしれませんね。

しかし、それをわかっていて実行できる夫は、ほんの一握りというのが現実のようです。

夫の親との同居がうまくいくタイミングとは

これまでのことから同居否定派の意見が圧倒的に多いのは事実ですが、そこから逆説的にわかることもあります。

そこで、親との同居がうまくいくタイミングや状況をいくつか取り上げましょう。

まず、結婚前に家事などを一切やったことがない妻の場合、結婚と同時に同居する方がうまくいく場合があります。

これは、中途半端に「自分のやり方」ができている場合は、親のやり方との違いでストレスになりますが、そもそも妻に自分のやり方がないためです。

そこで、親に主導権を預けて、妻は手伝いに徹して家事を教われば、うまくいく可能性があるというわけです。

それと対照的に、同居前に喧嘩をし尽して妻が夫の親になんでも意見できるようになってからの同居は、意外とストレスなくうまくいくようです。

いいたいことをいい合うことで、本当の家族のように気を遣わない間柄になれたからでしょう。

また、単純に家を建て直し、玄関と台所を別にしただけで、うまくいくようになったという人もいました。

資金さえあれば、あるいはこの二世帯住宅が、一番手っ取り早いかもしれませんね。

ただし、どの場合も、夫は常に妻の味方であるべきだと思います。

なぜなら妻は、唯一家の中で血縁ではありませんが、それでも血縁以上の役割を担っているからです。

夫の親との来るべき関係に備えて

今回取り上げた夫の親との同居は、実は私にとっても他人事ではありません。

恐らく、もう少し先とはいえ、人生の数年間は介護生活を送ることになるでしょう。

そのときのためにも、義父母との関係性を構築し、夫の協力を得ながら乗り切ろうと考えています。

みなさんも、どうか後悔のない決断をしていただきたいと願っています。