印鑑証明書は不動産登記の手続きに必要な書類の中の1つです。
銀行などで使用することも多いため、馴染みのある書類ですよね。
一般的に印鑑証明書の有効期限は「発行から3ヶ月以内」であると言われています。
当記事では印鑑証明書についてのご説明と、印鑑証明書の有効期限について考えていきましょう。
登記に必要な印鑑証明書とは?
不動産登記の手続きを行う際、申請書と同時にさまざまな書類を提出しなければなりません。
「印鑑証明書」もその中の1つとなります。
印鑑証明書とは、個人が住民登録をしている自治体に登録した印鑑であることを証明した書面になります。
登記手続きには3ヶ月以内に発行された印鑑証明書を使用しなければなりません。
個人だけでなく、法人にも印鑑証明書は存在します。
個人の印鑑証明書は住民登録している町の役所で取得することができ、法人の印鑑証明書は法務局で取得することが可能です。
では、不動産登記において、なぜ印鑑証明書は必要なのでしょうか。
それは、契約書類などに押印された印鑑が、契約者本人のものであることを証明するためとなっています。
また、契約書類などには実印が押印されるので、印鑑証明書があることで、本人の申請意思があることを確認できるためでもあります。
では、印鑑証明書が必要になる不動産登記の手続きにはどのようなものがあるのでしょうか。
次項でご紹介していきます。
印鑑証明書が必要な登記手続き
それでは、印鑑証明書が必要になる不動産登記の手続きをご紹介していきましょう。
以下の場合の手続きにおいて、一定の方が提出する決まりとなっています。
●登記手続きにおいて不利益を受ける場合
不動産売買などで所有権に関する登記手続きをする際に必要となります。
この場合は、
・不動産売買の売り主
・贈与登記の際の贈与主
・担保を設定する所有者
などが、印鑑証明書を用意する必要があります。
このように、不動産売買において不利になる立場ですと、印鑑証明書が必要となるケースが多いのです。
●代替手段の登記手続きにおいて不利益を受ける場合
不動産の所有権以外の登記をする場合には「権利証」と呼ばれるものを提出する必要があります。
この権利証を提出できない場合には、代替手段と呼ばれるものを取得することができます。
上記のような登記手続きの際には、登記申請意思を証明するためにも、印鑑証明書は必要となります。
また、それは発行から3ヶ月以内のものを用意しなければなりません。
印鑑証明書の取得方法
個人の印鑑証明書は、住民登録している町の役所で取得することができます。
ここでは、印鑑証明書の取得方法をご紹介しましょう。
印鑑証明書は不動産登記の際に必要になりますが、基本的に発行から3ヶ月以内のものとなります。
印鑑証明書の取得には、基本的に印鑑登録者本人が申請する必要がありますが、代理人でも発行は可能です。
また、代理人の場合、委任状は必要ありません。
申請に必要なものですが、「印鑑登録証」と「発行手数料」になります。
印鑑登録証は印鑑登録をした際に発行されたものです。
それがないと印鑑証明書は発行できません。
免許証や保険証などの確認書類では発行ができないので、忘れないように持参しましょう。
印鑑証明書は窓口で発行されます。
交付申請書に登録住所、氏名などを記入しましょう。
また、印鑑登録の際に決めた暗証番号を入力しますが、3回間違えると発行できなくなるため、注意が必要です。
無事に暗証番号を入力できたら印鑑証明書を取得できます。
引っ越しで違う町に移動する際は、今の町での登録は解除手続きをし、引っ越し先で再度実印登録をしましょう。
なぜ印鑑証明書の有効期限は3ヶ月なのか?
不動産登記において印鑑証明書を提出する際、発行から3ヶ月以内のものを用意しなければいけないことがほとんどです。
では、なぜ「3ヶ月」なのでしょうか。
まず、印鑑証明書自体には基本的に有効期限は設けられていません。
印鑑証明書は発行が古いものであっても、登録事項に変更がない場合はいつでも使用可能なのです。
そのため、提出する側が印鑑証明書の有効期限を設定していることになるのです。
不動産登記においては、発行から3ヶ月以内の印鑑証明書が必要となります。
これは不動産に抵当権(担保)を設定する際、金融機関が関与することが大きなポイントとなります。
金融機関は上記の手続きの際、客側に印鑑証明書の提出を「3ヶ月以内」でお願いしています。
この金融機関の提出期限の「3ヶ月以内」が広がっていき、一般化したのではないかと考えられています。
有効期限3ヶ月のとらえ方
印鑑証明書の役割は、契約者本人である証明をするためです。
契約書に押印された印影を印鑑証明書と照らし合わせて本人確認を行い、実在する人物だと確認します。
それを証明するには、日付が新しい方がより良いと考えられます。
そのため、不動産の登記手続きの際や金融機関が、3ヶ月以内の印鑑証明書を要求する理由の1つとして、十分考えられるでしょう。
さらに、印鑑証明書の有効期限について見ていきましょう。
印鑑証明書の作成後、3ヶ月の期限で考えていきます。
まず、民放140条により、印鑑証明書発行の初日は算入されません。
続いて、期間の最後の日についてです。
期間満了については2つの論点で考えられます。
●暦で計算する
1つ目は暦で計算する方法です。
月の初めの日(1日)が起点日として、末日は3ヶ月後の最後の日となります。
これだと非常にシンプルで分かりやすいですね。
●満了日が休日の場合
印鑑証明書の満了日が行政機関の休日だった場合はどうでしょうか。
その場合は民法142条により、行政機関の休日の翌日まで延長される形となります。
期限がギリギリ切れてしまった場合でも、まだ使用できる可能性が考えられるでしょう。
発行から3ヶ月以上経過した印鑑証明書でも登記に使用できる
不動産登記で印鑑証明書を提出する際は、基本的に発行から3ヶ月以内のものを提出しなければなりません。
しかし、これに該当しないケースも存在します。
それは不動産所有者が亡くなった際の登記変更になります。
家族が亡くなると心身ともに落ち着かず、印鑑証明書を取ったまま放置して、登記手続きが遅れてしまうこともあるでしょう。
しかし、相続手続きにおいて、「遺産分割協議書」に添付する印鑑証明書に3ヶ月以内という制限はありません。
極端に古いものは使用できない場合もありますが、遺産分割協議書の日付より前であっても問題はないのです。
また、仮登記の承諾書に添付する印鑑証明書の場合は、3ヶ月以内の制限はつきません。
これらをまとめると以下のようになります。
「3ヶ月の期限がある印鑑証明書」
・不動産を売買する、贈与する、担保を設定する場合
「3ヶ月の期限がない印鑑証明書」
・不動産相続で遺産分割協議書に添付する場合、仮登記に添付する場合
印鑑証明書は不動産登記に必要!
印鑑証明書は不動産登記に必ず必要な書類です。
発行から3ヶ月以内のものが必要となり、期限が切れたものは手続きには使用できないので注意が必要です。
しかし、不動産相続の場合など、3ヶ月以上経過している印鑑証明書でも使用できるケースがあります。
また、期限がギリギリ切れてしまった印鑑証明書は、行政機関の休日であれば翌営業日まで期間を延長して使用することが可能です。
せっかく発行したものですから、無駄にならないように手続きの前に確認しましょう。