ETFで投資をする上で、必ずかかってくる信託報酬は無視できない手数料です。
高い信託報酬が引かれてしまうと、それによってリターンも削られてしまい、結果的に手元に入る利益が少なくなります。
では、この利益に関わる信託報酬は、いつ・どのくらい引かれているのかご存知でしょうか?
投資コストを節約するために、それを踏まえたETFの基礎知識から、おすすめの制度について知っていきましょう。
信託報酬はいつ・どのくいらい引かれる?そもそも信託報酬とは?
ETFを購入するにあたり、手数料である信託報酬は知らず知らずのうちに差し引かれています。
信託報酬がいつ・どのように引かれているのか知る前に、信託報酬とはどのようなものなのかをご説明していきましょう。
そもそも信託報酬とは、ファンドを保有する上で発生する手数料で、運用会社がファンドを運用する際にかかるコストです。
通常の投資信託では、複数の銘柄を組み合わせて運用しており、そのための調査や売買、書類作成などのコストがどうしても発生します。
このような、投資信託を運用するためにかかる人件費などに対し、投資者から信託報酬を徴収することでカバーしているのです。
ただし、信託報酬率は投資信託の種類によっても上下するため、通常の投資信託とETFでも少なからず信託報酬率に差が出てきます。
そのため、差し引かれるコストをより削減するためには、その点についてもよく理解しておく必要があります。
信託報酬率は信託投資の種類で変わる!通常の投資信託とETFの違い
では、信託報酬に関して、通常の投資信託とETFにはどのような違いがあるのでしょうか?
そもそも、投資信託は「アクティブ型投資信託」と「インデックス型投資信託(ETFなど)」の2つの運用方法に分けることができます。
まず、通常の投資信託には、一般的に「アクティブ型投資信託」が採用されています。
「アクティブ型投資信託」とは、様々な運用方針に則った上で、市場の平均以上の利益を狙う、つまりはベンチマークに勝つための運用方法になります。
そのため、銘柄の入念な事前調査や入れ替えなどの手間がかかるので、信託報酬は高めになります。
それに対し、ETFのような「インデックス型投資信託」とは、日経平均株価などのあらかじめ決まった指数に連動することを目指して運用されています。
そのことから、アクティブ型と比べるとその分手間がかからない傾向にあります。
このような仕組みにより、信託報酬はインデックス型の方が低くなる特徴があるのです。
短期的に見ると信託報酬の上下も気にならないものですが、長期的な運用になればその差も大きく広がります。
したがって、より効率的にリターンを望む場合は、信託報酬が低いETFを選ぶことをおすすめします。
では、ETFにおいて、信託報酬はいつ差し引かれているのでしょうか?
次項で詳しく見ていきましょう。
ETFの信託報酬はいつ・どのくらい支払っている?
ETF投資者に対し、いつ信託報酬が差し引かれているのかといえば、実は365日すべてです。
信託報酬の支払いは、投資信託の「基準価格」が更新された際に発生しますが、その更新は毎日行われています。
つまり、その都度投資家が支払うものではなく、知らず知らずのうちに信託財産から差し引かれているということになります。
また、信託報酬は純資産額に対する年率で決まり、その数値を日割りしたものが差し引かれています。
例えば、年率が1%だった場合、1/365%の計算で一日の信託報酬率がわかります。
同じく、年率が2%の場合は、2/365%です。
なお、信託報酬のパーセンテージについては、信託投資の仕様書である「目論見書」に詳しく記載されています。
購入を検討している信託投資があれば、必ず確認しておくのが良いでしょう。
信託報酬は365日いつも差し引かれている!その計算方法は?
ETFの信託報酬がいつ・どのくらい差し引かれているかが分かったところで、実際に計算をして信託報酬を算出してみましょう。
例えば、信託報酬(年率)が1%で、現在の純資産残高が30万円の場合を計算します。
なお、信託報酬の計算方法は以下になります。
基準価格×(信託報酬率÷365)=1日の信託報酬額
300,000×(1%÷365)=8円
つまり、1日に発生している信託報酬は8円であることが分かります。
ただし、純資産残高は市場の上下によって変動するので、あくまでも目安として考えるのが良いでしょう。
また、1年間を通して実際にかかった信託報酬は、投資信託の年間運用報告書の明細で確認することができるので、気になる方はチェックしてみてください。
この計算からも分かるように、信託報酬がたった1%と感じても、運用資産が100万円であれば、毎年1万円の手数料が発生します。
さらに、投資金額の増加に伴って信託報酬は大きくなるため、より確実なリターンを狙う場合は0.1%でも比率の低い方が良いと言えます。
こういった事情を踏まえると、低信託報酬のインデックス型投資信託は、非常に魅力的な投資だと感じますね。
信託報酬以外のコストも抑えたい!NISAを通したETFの購入
これまでに、ETFの信託報酬について、いつ・どのくらいの支払いがされているのかご説明してきました。
信託報酬の計算方法も踏まえると、やはり投資信託はETFのようなコストの低いものを選ぶことが重要と言えます。
また、手数料をできるだけ抑えるためには、「NISA(少額投資非課税制度)」を利用する方法もあります。
では、NISA(ニーサ)とはどのようなものなのか、ご説明していきましょう。
NISAとは、2014~2023年までの期間に限り、株や投資による利益が一定額非課税になる制度です。
通常、株や投資で利益が発生した際は、その配当に対して税金が課されるのですが、NISAでは、毎年120万円までの投資利益を、最長5年間に渡って非課税にすることができる制度なのです。
そもそも、投資信託を購入する上では、信託報酬以外のコストとして「売買手数料」が発生します。
「売買手数料」とは、証券会社が定めたコストで、例えば1回の注文につき、約定金額に応じて設定されています。
つまり、NISA口座を通してETFを購入すれば、上記のメリットを享受できるだけではなく、売買手数料も無料にできるというわけです。
低い信託報酬で安全な商品を!つみたてNISA制度
さらに、NISAでは、2018年から「つみたてNISA」という長期的な資産形成に有利な制度をスタートしています。
「つみたてNISA」とは、20歳以上の国内居住者に対して、一人につき年間40万円までの投資利益を、20年間に渡って非課税にする制度です。
特に、資産運用費用を少額から始めることが可能で、長期・積立・分散投資をサポートしてくれます。
また、信託報酬もかなり低く、おおよそ0.25%+税以下となっています。
365日いつも支払う信託報酬ですから、この低い年率は大きなメリットと言えます。
もともと、日本の投資業界では、資産運用会社や販売会社の利益が優先され、なかなか顧客本位の商品が出回ることがありませんでした。
しかし、金融庁が積極的に後押しする「つみたてNISA」によって、顧客本位の利用しやすい制度ができたというわけです。
また、金融庁が主導になっているので、つみたてNISAでは厳しい基準を満たした商品しか購入することができません。
というのも、金融庁はリスクを抑えた運用を目標としているため、それを厳選した安全な銘柄のみを販売しているのです。
より低い信託報酬でETFを購入するのであれば、安定性の優れたつみたてNISAを利用するのも良いでしょう。
より低い信託報酬を選ぼう
投資信託で利益を得た場合、信託報酬はもちろん、その利益から諸々のコストが引かれるため、それが高いほど実際の収益は少なくなります。
ETFでも当然信託報酬がかかりますが、通常の投資信託と比べると、その比率は低い傾向にあるため、ETFは非常に有利な投資信託と言えます。
ETFをうまく活用して、将来的に有意義な投資をしていきましょう。