簿価単価?ドル・コスト平均法?持株会の疑問を解決!

従業員持株会制度を実際に利用している人の中には、実は詳しいことはわからないという方が多いのではないでしょうか。

当記事では、「そもそも持株会って何?」という疑問や、簿価単価、ドル・コスト平均法などの持株会に関連する疑問を解決していきます。

なんとなく持株会を始めた方、必見ですよ。

従業員持株会制度って何?

そもそも、従業員持株会制度がどういう制度なのかご存知ない方も多いことと思います。

ここで詳しく解説しておきましょう。

まず、従業員持株会制度とは、上場企業が従業員のために行う福利厚生の一つです。

毎月、給料から自分が当初決めた金額が引かれ、その金額の範囲内で会社の株を買うというものです。

毎月の給料の他に、ボーナス月には増額することも可能です。

少しずつ株を買っていくことになるので、単位株数までに到達するまでには時間がかかることが多いです。

ちなみに、単位株数とは、証券取引所で株を売買する際の売買単位のことをいいます。

基本的に、単位株数でないとその株を売ることはできません。

現在は、多くの企業の単位株数は100株となっています。

持株会で少しずつ株を買うと単位株に到達するまで時間はかかりますが、簿価単価が平均化されるのでメリットがあるといわれています。

簿価単価とは、「持株会で積み立てした総額÷総株数」で出た金額のことです。

では、この簿価単価が平均化されるということについて、次項でもう少し詳しくご説明していきましょう。

本当にメリット?持株会の簿価単価が平均化される「ドル・コスト平均法」

株は常に値動きがあるので、上がることもあれば下がることもありますよね。

そのような中、持株会では毎月決まった金額の範囲内で株を買うので、簿価単価が平均化されます。

このような投資方法を「ドル・コスト平均法」といいます。

株式投資の知識がほとんどないような人であれば、株価がどれぐらいのときに株を買ったらいいかわからないですよね。

しかし、持株会であれば、そのときの株価に応じて金額の範囲内で株を買っていき、結果として簿価単価も平均化されるので、株を高掴みすることがないといえるのです。

これを考えると、持株会でのドル・コスト平均法は長期的に資産形成を行うことができてとてもよさそうな投資方法と思えますよね。

しかし、実はこの投資方法が必ずしもいいとは断言できないのです。

その理由は、株価の状況がある場合に当てはまらないと、利益を出すことができないためです。

ある場合とは、企業の業績が伸び続けているケースと、その株を売るときに何らかの理由で株価が高騰しているケースです。

つまり、簿価単価はあくまでも買付時の平均値であるので、売却する時によほど株価が上がっていないと、そこまで利益を出すことができないというカラクリだからです。

このように、簿価単価が平均化される持株会にはメリットとデメリットがあるということを理解しておく必要があります。

まだある!?持株会のメリットとデメリット

前項では、持株会の簿価単価が平均化されるドル・コスト平均法にはメリットとデメリットがあるということをご説明しました。

持株会には、他にもメリットとデメリットがあります。

ここで詳しく解説していきましょう。

まずメリットについてです。

持株会で株を買っていく際に、多くの企業が5~10%の奨励金を出してくれます。

例えば、毎月給料から10,000円を積み立てていて、企業から10%の奨励金が出ると仮定します。

実際に株を買い付ける金額は、給料からの10,000円プラス企業からの奨励金の1,000円で、合計11,000円分の株を買い付けてもらえるということなのです。

この場合、月1,000円でも年間を通すと12,000円にもなります。

長期的に投資をする持株会ということを考えれば、トータルするとかなりの金額になるのでなかなか嬉しいものですよね。

また、株式には配当金が出る場合があります。

しかし、持株会では配当金を現金で受け取ることはできません。

ですが、出た配当金から税金が引かれた分で、さらに株式を買い付けてくれるのです。

さらに、持株会は株を買っているので、株価がかなり上がれば投資額が増大する可能性もあります。

財形貯蓄の利率と比較すると、株価上昇時の利益はとても多いといえるでしょう。

持株会のデメリットとは?

それでは、持株会のデメリットについて解説していきましょう。

まず、持株会で自分が勤める企業の株式を買うということは、自分の資産が偏るということが挙げられます。

具体的にお話ししましょう。

企業の業績が下がると、それに反映して自分の給料も下がりますよね。

企業の業績が下がるということは、株価もそれに連動して下がります。

つまり、給料と持株会で得た株どちらも下がるということなので、リスクが集中してしまうことになるのです。

簿価単価が平均化されているとしても、積み立てとして持株会で相当な額を投資してしまったら、株価暴落により多くの資産を失ってしまうこともあり得るのです。

もしも、持株会で積み立てていくことを考えているのであれば、自分が勤める企業がこれからどんどん成長を見込めそうな場合以外は、あまり高額な積み立てをしないことが無難といえます。

簿価単価より株価が上昇!株を売りたいときはどうする?①

毎月持株会で積み立てた株が単位株数に達して、なおかつ、株価が簿価単価より上昇しているような場合には、株を売って利益を確定させてしまいたいという方もいるでしょう。

持株会で買った株を売りたいときは、どうしたらいいのでしょうか。

まず、一番最初にすることは、自分の会社に「株を売りたい」と報告することです。

自社株を売ることになるので、中にはいいづらいなと思う方もいるでしょう。

しかし、これをしないとそもそも必要な書類をもらうこともできないので、思い切っていうようにしてください。

株を売りたいことを報告すると、会社から持株会の株を引き出すために使う書類を受け取ることができます。

この書類を記入することで、ようやく株を会社から引き出せるようになります。

これと同時に、証券会社に口座の開設をしておきましょう。

株を売却する際は、証券会社を通じて出ないとできないからです。

このとき、会社が指定する証券会社がある場合もあるので、そのときはそれに従って手続きを行ってくださいね。

簿価単価より株価が上昇!株を売りたいときはどうする?②

ここまできたら、あとは会社の手続きが完了次第、持株会から証券会社の口座へ株式が移管されることになります。

株式が移管されたら、そこでようやく売却することができるのです。

ただし、持株会から証券会社に移管されるまで、数週間かかることも十分にあり得ます。

株価は常に変動していますので、いざ売却できるとなったときには株価が下がっているという可能性もあるので注意するようにしてくださいね。

また、会社によって、持株会の株を売却することは「会社に忠誠心がない」と思われることもあります。

ですから、その点も勘案して売却するかどうか検討することも必要です。

さらに、自社株を売却する際はインサイダー取引が適用になることも忘れてはなりません。

会社によって、インサイダー取引に関連して自社株を売却する際のルールが設定されていることがあります。

例えば、決算発表前後には自社株の売買を行ってはならないなどのルールです。

この場合は、必ずそのルールを守るようにしてください。

そして、簿価単価よりかなり株価が上昇しているとしても、未発表の会社の重要な情報を知っている場合には、それが世間に公表されるまでは売却は行わないようにしましょう。

従業員持株会制度のメリットデメリットをしっかり把握しよう

従業員持株会制度には、メリットデメリットがあります。

もしも、持株会での積み立てを検討する場合にはメリットデメリットをしっかり把握することが大切です。

また、すでに持株会で積み立てしている人も、簿価単価と現在の株価によっては利益が出ていることがあるかもしれません。

そのまま保有してもいいでしょうが、売って利益を確定してしまうことも一つの方法です。

しかし、もしも自社株を売ろうとお考えであれば、インサイダー取引などに関連するルールは必ず守るようにしてくださいね。