外国為替市場でいうところの終値というのは、具体的にいつの値段を言うのでしょうか。
株式市場には、東京証券取引所や大阪取引所などの取引所があり、各取引所において取引時間内で最後に成立した値段を終値と言います。
しかし、外国為替市場には取引所というものがありません。
では、何を基準に始値、終値などが決められているのでしょう。
外国為替市場に取引所はないが、世界中で開かれている
一般的に、始値とはその日の取引の始まりの時の値段を言い、終値は取引終了時点の値段を言います。
ところで、外国為替市場において、取引の始まりと終わりはいつと言えばよいのでしょうか。
外国為替証拠金取引、いわゆるFXを行っている人ならご存知だと思いますが、外国為替市場には取引所という概念がありません。
そして、土日以外は24時間休むことなく取り引きを行うことが可能で、もちろん相場も休むことなく変動しています。
この外国為替相場では、いったい何を基準として1日の始まりと終わりを決めているのでしょう。
実は外国為替相場の市場には、日本だけでなく諸外国のトレーダーが参入してきています。
そもそも外国為替というのは、世界各国の通貨の交換レートの値動きであるので、当然のことですね。
そして、取引所がないため、各市場は、世界各国の都市名や地域名で呼ばれています。
中でも、ロンドン市場、ニューヨーク市場、東京市場が3大市場とされています。
ところで、日本と世界の時刻の間には時差というものがありますね。
為替市場で24時間取引が可能であるのは、たとえ日本で東京市場が終わっても、時差のある世界各地で、次々と各国の市場が開いていっているためです。
外国為替市場の終値とは、どの市場のいつの値段のこと?
まず、為替市場の1日は、ニュージーランドからスタートします。
この市場はウェリントン市場と呼ばれています。
ウェリントン市場は、ニュージーランド時間の朝9時から17時、日本時間にすると朝6時から14時まで開かれています。
次に、オーストラリア市場が日本時間の8時からオープンし、16時にクローズします。
その後が東京市場で、日本時間はそのままなので、9時からオープンし17時でクローズします。
続いて日本時間の10時から、香港とシンガポール市場がオープンします。
14時からは中東市場が、欧州ロンドン市場は17時から、米国ニューヨーク市場は22時から開きます。
そして、それぞれに現地時間の9時から17時まで開いているのです。
日本時間でいうと、ニュージーランドのウェリントン市場オープンの朝6時から、米国ニューヨーク市場クローズの翌朝6時までが一応の区切りといえます。
ただ、平日はそれが繰り返されているため、24時間どこかの市場がオープンしているというわけです。
そして、終値が決まるのがいつかというと、実はそれぞれの市場ごとに、そのクローズ時間ということになるのです。
つまり、東京市場の終値は17時のクローズの直前、、正確に言えば16時59分59秒の値段ということになります。
外国為替市場の終値を示すクローズ時間は地域や季節で変わる
ただ、1つややこしいことは、前述の世界の為替市場の開催時間は、一般的に北半球では「夏時間」と呼ばれるもので、だいたい4月から10月頃に限られています。
それ以外の11月から3月頃は「標準時間」が採用されており、両者の開催時間には、多少時間差があるのです。
例えば、夏時間のニューヨーク市場は、日本時間の22時から翌朝6時ですが、標準時間では23時から翌朝7時になります。
また、南半球では北半球と季節が逆になるため、ニュージーランドやオーストラリアでは、4月から10月頃を標準時間と言い、11月から3月頃を夏時間と言います。
そして、地域によって、1年のうちで標準時間から夏時間に切り替えるタイミングが微妙に違います。
ニューヨーク市場では、4月第1日曜日午前2時から、10月最終日曜日午前2時までを夏時間としています。
しかし、同じ北半球の欧州では、3月最終日曜日から10月最終日曜日までです。
一方、南半球のオーストラリアでは、10月最終日曜日から3月最終日曜日までが夏時間ですが、ニュージーランドでは10月第1日曜日から3月第3日曜日までです。
このように、市場ごとに似たようなタイミングであるものの、バラバラに設定されているわけです。
つまり、終値が決まるクローズ時間も、同じ市場であっても季節で差があり、通年でいつと言えないものなのです。
FX業者によって取引時間が違うことで終値が変わる
そしてもう1つ、終値がいつなのかをややこしくする要素があります。
それは、FX業者による取引可能時間の違いです。
一般的に、為替相場で取引を行うためには、FX業者を利用しますね。
そこに取引口座を開設することで、為替相場に参加することができるわけです。
そして、業者によって違いますが、実際は外国為替市場開催時間内であっても、取引ができない時間があります。
例えば、ニューヨークの夏時間の場合、日本のFX業者は土曜日の朝5時半から5時55分くらいの間で取引を終了します。
つまり、ニューヨーク市場自体は日本の朝6時まで開催していても、FX業者の取引終了時間になると、注文や約定ができなくなってしまいます。
この取引ができなくなる時間が業者によって違うため、必然的に終値の表示も業者によって変わってくるのです。
ちなみに、標準時間の場合は、土曜日の朝6時半から6時55分くらいの間が、終値が決まる時間となります。
このような業者による違いも、終値がいつと一言で言い表せない要因の1つになっています。
外国為替市場の終値が決まる世界基準の時間はいつか?
とはいえ、世界の公用語が英語であることからもわかるように、外国為替市場でも、やはり世界基準というと米国ニューヨーク市場といってよいでしょう。
ただ、取引量については、ロンドン市場の開催時間がアジア、欧州、米国の開催時刻とも重なっていることから、世界1位とされています。
しかし、時間的な基準とするのは、あくまでニューヨーク市場です。
日本のFX業者も、週の終値のタイミングである土曜日の取引終了時間を、多少のバラつきこそあれ、ほぼニューヨーク市場のクローズ近辺に設定しています。
そして、翌週月曜日の取引開始時間は、全社通年朝の7時に統一しています。
つまり、揃って朝7時の値段を始値として取引が始まり、注文や約定が可能になるのです。
これは、ニューヨーククローズ、つまり現地時間17時、日本時間7時の標準時間を基準として、チャートなどに整合性を持たせるための処置と言えます。
なぜなら、ニューヨーククローズより前に、すでにウェリントン市場は開いているのに、チャートに反映されていないからです。
普通ならば、一番早い朝6時から取引を開始しても良さそうなものですね。
しかし、敢えてその間の値動きを無視して、前週のニューヨークの終値を引き継ぐように、各社週明けの取引を7時に開始しているというわけです。
これらのことから、世界基準の終値はいつの値段を指すのかというと、ニューヨーククローズタイムということになりますね。
各外国為替市場がいつ始まりいつ終わるかを知ることが大切
今回は、世界の為替市場と終値のタイミングがいつなのかについて見てきました。
この為替市場において、日本の東京市場は世界3大市場ではあるものの、前述のようにやはり世界基準はニューヨーク市場です。
ただ、円は為替相場において安全資産として世界から非常に注目されています。
各国で政情不安があると円資産に買いが集まり、ドル円だけでなく円がらみの通貨すべてで円高が進むなど、世界経済に影響を与えるほどの通貨なのです。
また、ロンドン市場は取引量が世界1位であるだけに、その終了時間のロンドンフィキシングは、値動きが激しくなるなど注目される時間帯です。
このように、各国の為替市場には個性があり、経済ニュースとチャートを眺めて見ているだけでも、興味深いものです。
皆さんが外国為替を始めようかなというときには、まずは取引する前に、1日チャートを眺めていただきたいと思います。
そして、東京市場のオープンで少し値動きがあったなとか、この激しい値動きは欧州勢が参入したからかなと、想像してみて下さい。
このように、各市場のオープンやクローズを知ることで、チャートの値動きの動機を読み取ることができるでしょう。
まずは外国為替の相場観を養うこと
外国為替取引にとって、各市場の開催時間、また始値や終値を把握することは基本であるとともに、相場観を養うためにも必要なことです。
その後は、上がるか下がるかの選択だけです。
興味のある方は、是非一度、チャレンジしてみていただきたと思います。