アパート経営において、アパートの建物はいちばん大切な商売道具といえます。
大切な商売道具なのですから、建築するのであればこだわりたいものですよね。
構造によって耐震性や耐火性にも違いが出ます。
今回の記事では、アパートの構造のひとつであるw造2×4についてお話しします。
日本の建物の多くはw造
今回の記事では、「w造2×4アパート」についてお話しします。
まずは、「w造」についてご説明します。
w造の「w」は「wood」を意味し、つまりw造は「木造」のことです。
日本の昔ながらの建物は、多くがw造です。
w造の建物は、日本の気候や土地に合わせて発展してきました。
寺社などもほとんどはw造です。
w造は木の柔軟性や粘り強さを持ち、地震や台風の多い日本の風土に適した構造なのです。
近年ではそれだけでなく、木の持つやさしさや自然の風合いが魅力とされ、w造が見直されています。
木材は自然の調湿作用を持ちます。
湿度の高い日本では、木材は最も適した建築材といえるのではないでしょうか。
木は湿度が高いと水分を吸収し、乾燥してくると蓄えた水分を放出するという特徴を持ちます。
自然の持つ作用によって、室内を快適に保ってくれるのです。
木材は通気性も良く、マンションなどでは問題になる結露が起こることも少ないです。
一般的にw造は2階建てで用いられることが多いのですが、今では3階建てのw造も増えているようです。
そして、w造の大きなメリットのひとつが、材料費がほかの構造のものに比べて安いことです。
もちろん、木だからといってすべてが安いというわけではありません。
木の種類によっては構造体力・耐腐朽性・耐蟻性にすぐれた高価なものもあります。
しかし、それでも鉄骨やコンクリートより材料費がかかることはありません。
また、ほかの構造よりも短期で建築することもできますので、材料費だけでなく建築費そのものもコストを抑えることができます。
そのため、w造であればアパートなどの賃貸物件は家賃が安く設定されることが多いです。
w造以外の建築構造
前項では「w造」についてご説明しましたが、ほかの構造についてもお話しします。
「RC造」
鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete)という意味です。
柱や梁など、主要な構造部に鉄筋の入ったコンクリートを用いた構造です。
コンクリートは圧縮力に強く、鉄筋は引張力に強いため、その2つが組み合わさることで耐久性・耐震性・耐火性・遮音性にすぐれています。
中高層の建物によく使われます。
「SRC造」
鉄骨鉄筋コンクリート造(Steel Reinforced Concrete)という意味です。
鉄筋コンクリートに鉄骨を内蔵している構造となっています。
RC造よりも耐久性・耐震性・耐火性・遮音性にすぐれ、いちばんコストがかかる構造です。
強度にすぐれているため柱や梁を細くすることもでき、建物全体の重量を小さくすることができます。
25階程度の高層建築に多く用いられています。
建築コストは高くなるため、低層の建物にはあまり使われないようです。
「S造」
Steel(鉄)の略で、鉄骨構造とも呼ばれます。
建築物の躯体に鉄製や鋼製の部材を用いる構造です。
重量鉄骨と軽量鉄骨の2つに分けられます。
木材よりも強度があり、RC造よりも軽量です。
RC造よりもコストがかからずに建築することが可能です。
それぞれ建築コストが違うため、アパート完成後に設定する家賃にも差が出てきます。
それぞれの特徴を理解し、建築したいアパートに適した構造を選ぶと良いです。
続いての項では、「2×4」について解説します。
2×4とはどういう意味?
「2×4」は「ツーバイフォー」と読みます。
テレビのCMなどで「ツーバイフォー」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
2×4はツーバイフォー工法のことで、w造の建築工法を意味します。
なぜ2×4という名前が付いたのかをご説明します。
2×4は、木の角材のサイズをあらわします。
・奥行きが2インチ(5.08㎝)
・幅が4インチ(10.16㎝)
規定の角材を用いて建築されるため、このような名前が付きました。
このサイズに規格化された柱を枠組みとして、それに合板を貼り付けてパネルにします。
そのパネルで床や壁、屋根を箱状に組み上げて建物を建築するのです。
つまり壁で建物が構成されているということです。
そのため2×4は「木造枠組壁工法」とも呼ばれます。
w造2×4はメリットたくさん
w造2×4工法には、さまざまなメリットがあります。
2×4の特徴は、パネルを組み合わせて家全体を組み立てることでしたね。
パネルの面と線の角材を組み合わせるため、家全体が強固な一体構造となり、地震や台風でも全体で力を受け止めることができます。
力を分散させることにより、外からの力に対して強くなるのです。
そのため、耐震性や耐風性にとてもすぐれています。
また、面で構成されているため気密性や断熱性も高いです。
そのため、冷暖房効率が良いだけでなく耐火性にもすぐれています。
2×4工法で建てられた建物は、ほとんど「省令準耐火建物」の建築基準を満たしています。
この理由から火災保険の費用も低く抑えられていることが多いようです。
さらに、パネルを組み立てる工法は、完成までの日数を短縮することができます。
システム化・マニュアル化も進んでいるため、職人の技術に左右されず一定の品質で建物を建築することが可能です。
w造2×4にはデメリットもある
メリットがある一方で、w造2×4工法にもデメリットはあります。
まず、間取りに制限があることです。
建物を壁で支えているため、部屋が「箱」のような形になります。
例えば、壁を抜いた解放感のあるリビングは、構造上難しいかもしれません。
同じ理由から、リフォームへの対応も難しいです。
建物を支えているパネルを取り外したり変形させたりできないため、間取りの変更を伴うリフォームは困難です。
家族構成の変化、生活様式の変化などで将来的にリフォームを考えているのであれば、気を付ける必要があります。
アパートの場合も、例えば「2つの部屋の壁を抜いて1部屋にする」というリフォームは困難です。
また、開口部を大きくとりにくいという点があります。
開口部が大きくなると、建物を支える壁の強度が下がってしまうためです。
リビングの壁一面に大きなガラス窓を入れたいと思っても、2×4工法ですと難しいです。
このように間取りに関しては自由度が低く、2×4のデメリットとして挙げられます。
もうひとつあります。
気密性・断熱性が高いため、結露が発生しやすい点です。
気密性・断熱性はメリットでもありますが、結露に関しては対策が必要です。
w造アパートを投資という点で見る
w造2×4工法にはメリットも多くありますが、自由度を優先したいのであれば在来工法を選ぶというのもひとつの手です。
工務店や住宅メーカーによっても特徴は変わりますので、まずは相談してみると良いですよ。
さて、それではw造のアパートを建て、収益を得ることを考えてみましょう。
w造の最大のメリットは、建築コストがかからないことです。
w造は最も建築コストを安く抑えることができます。
安くしようと思えば、坪単価40万円程度で建てることもできます。
その分家賃を低く抑えなければなりませんが、投資のコストが低いので、利回りが高くなります。
また、在来工法であれば、w造の建物はほかの構造よりもリフォームがしやすいです。
2×4であったとしても、アパートであれば大幅な間取りの変更はあまりないことが多いのでリフォームは可能です。
しかし、遮音性が低くw造アパートは敬遠されることがあります。
また、マンションと比べると家賃が低くなりがちで、築年数に応じての家賃の下落率もマンションよりも高いです。
さらに、w造アパートは耐用年数がほかの構造の建物よりも短いです。
融資期間を長く設定してしまうと、のちのち返済に困ることになりかねません。
また、中古物件ですと融資期間を長く取りにくくなります。
何事にもメリットデメリットがあるのは当然のことです。
アパート経営を長期的に成功させるために、新築時でなく10年後20年後の収支がどうなっているのかも考える必要があります。
アパートの構造が収支にも関わる
アパート経営のためには、アパート本体が絶対に必要です。
新築するにしても中古を買うにしても、その構造を知っておくことはとても大切です。
アパートの構造は収支にも関わってきます。
メリットデメリットを踏まえて、よく考えてどのような構造にするのかを決めましょう。