現在30代ぐらいのみなさんは、「年金」と言っても、ピンとこないという方が多いのではないでしょうか。
なぜなら、仕事と子育てに忙しく、それどころではないからです。
住宅ローンの返済や、子供の学費の捻出で、精いっぱいかもしれません。
しかし、老後は誰にでもやってくるものです。
そこで、今から約30年後、老後の生活資金の年金は、毎月いくらもらえるのか。
気になる金額について、一緒に見ていきましょう。
国民年金は毎月いくらもらえるのか
国民年金は、毎年満額支給でいくらと決まっています。
2017年度の満額は、779,300円でした。
毎月に直すと、64,942円、約65,000円ですね。
それ以前の2年は78万円台、その前2年間は77万円台で、ここ10年くらいは77~80万円の間で推移しています。
なぜ、年度によって変更になるかというと、79万円くらいを基準として、物価や賃金にスライドさせて決めているからです。
実は、日本は国民皆年金という、世界でも珍しい年金制度を持っています。
20歳~60歳までの国民は、全員国民年金に加入して、保険料を負担しなければなりません。
その代わりに、老後は全員が年金を受け取る権利があるという制度なのです。
そして、国民年金の満額とは、20歳~60歳まで40年間加入し、保険料を納めた人が受け取れる最高限度額ということになります。
それが、毎月65,000円なのです。
ちなみに、保険料未払いの期間があれば、満額を基準に、そのぶん減額されてしまいます。
急にリストラされたり、ケガで働けなくなったりした場合は、役所に届け出るようにしましょう。
保険料の減額や全額免除という制度があり、保険料がまったく払えなくても、年金は0円になることはありません。
この手続きを怠ると、保険料未払いとして受け取る年金が、そのぶん減額されることになります。
支払う毎月の保険料は、これまで徐々に上がっていましたが、実は2017年から16,900円に固定されました。
国民年金の保険料支払いの方法とは
「保険料の16,900円、今まで払ったことあるかな?」
そう思う方は多いのではないでしょうか。
例えば、学生であっても20歳になっていれば、国民年金加入者です。
本来、保険料は掛かります。
しかし、働いていないため、手続きすることによって、保険料の支払いが免除されていたのです。
または、ひょっとしたら、ご両親が払ってくれていたのかもしれません。
ほとんどの方は、会社に入ってお給料明細を見て、初めて年金保険料を意識したのではないでしょうか。
会社員の方は、国民年金保険料を支払っているという意識は、あまりないと思います。
それは、国民年金保険料は、毎月お給料から天引きされている厚生年金保険料に含まれているからです。
国民年金と厚生年金、両方を合わせて、公的年金と言います。
ちなみに、国民年金は、受け取るときには老齢基礎年金。
厚生年金は、老齢厚生年金と言います。
しかし、ややこしいので、ここでは便宜上、国民年金と厚生年金という言い方に統一することにします。
では、厚生年金は、老後に毎月いくらもらえるのでしょう。
厚生年金は毎月いくらもらえるのか
厚生年金には、満額という概念がありません。
なぜなら、厚生年金は企業などで働き始めたときから、辞めるときまでが、加入期間になるからです。
16歳から65歳まで働いた人と、23歳から60歳まで働いた人とでは、加入期間が大きく異なります。
他にも、お給料によって保険料の金額が変わるため、受け取る金額も変わってくるのです。
ですが、それでは、ちょっと困りますよね。
そこで、年収によって平均で毎月いくらくらいの金額がもらえるのか、目安の金額を挙げておきますので、参考にしていただければと思います。
前提は、40年間勤めたサラリーマンやOLで、生涯平均年収は、だいたい30代後半の想定年収を当てはめて考えてください。
・生涯平均年収200万円…月額36,540円
・生涯平均年収300万円…月額54,810円
・生涯平均年収400万円…月額73,080円
・生涯平均年収500万円…月額91,350円
・生涯平均年収600万円…月額109,620円
・生涯平均年収700万円…月額127,890円
いかがでしたか?
会社に勤めて40年、国民年金と厚生年金の保険料を払い続けてきました。
いざ、老後になって公的年金を受け取るとき、例えば年収500万円クラスの人で、国民年金65,000円、厚生年金91,350円、合計で月額156,350円です。
ちなみに、年金に期限はありません。
生きている限り、この金額が受け取れることになります。
専業主婦の場合、老後に年金はもらえないのか
では、会社に勤めていない専業主婦の場合、公的年金はもらえないのでしょうか。
そんなことはありません。
専業主婦は、会社員の妻であれば、国民年金の第3号被保険者という扱いになります。
夫である会社員が、厚生年金に加入していれば、妻は「3号の届け」という手続きをすることで、国民年金に加入しているという扱いになるのです。
保険料はというと、支払う必要がありません。
専業主婦は、保険料が免除されるという、優遇措置があるのです。
したがって、会社員の夫が支払う保険料が、割増しされるということもないのです。
もし、生涯平均年収500万円の会社員の夫と専業主婦という家庭ならば、40年間保険料を納めた場合、毎月いくらの年金がもらえるのでしょうか。
夫は、先ほど計算した金額156,350円です。
妻は、国民年金満額の65,000円が受け取れます。
そのため、夫婦合わせて221,350円ということになります。
この金額を多いとみるか少ないとみるかは、人それぞれです。
しかし、この金額は40年間、満額支払ってきた人の場合です。
転職で年収が下がったり、アルバイトなどで厚生年金に未加入の時期のある人は、そのぶん年金も少なくなります。
自営業者の場合は、年金は毎月いくらもらえるのか
さて、今度は自営業者の場合です。
老後、毎月いくらの年金が受け取れるのでしょうか。
自営業者は、厚生年金に加入ができません。
厚生年金は、会社に勤める会社員しか入れないからです。
つまり、自営業者は、国民年金に自分で加入するしかないということになります。
保険料も、自分で手続きして、振り込むか引き落としにしなければなりません。
国民年金は、国民全員が一律の保険料なので、支払う金額は月額16,900円です。
そして、年金としてもらう金額は、40年払って満額の月65,000円です。
自営業者がリタイアした後、月65,000円で生活していくということには、かなりの無理があります。
そこで、国民年金には国民年金基金という制度があって、任意に加入して国民年金の上乗せを積み立てていく制度があります。
厚生年金にも基金があるのですが、勤める会社が導入していなければ、加入することができません。
他にも、いくつか老後の資金を積み立てる方法はあります。
企業が導入する確定拠出年金や、個人で加入する生命保険会社の個人年金などです。
あるいは、自分で資金を運用して、株式や為替などに投資するという方法もあります。
足りないぶんは、貯めるか増やすかして、老後に備えることが必要だということですね。
老後に受け取る年金を簡単に増やせる方法
老後、住宅ローンなどで年金が足りなくても、あるお金で生活していくしかありません。
しかし、とても簡単に年金を増やせる方法がひとつあります。
それは、年金を受け取りを始める年齢を延ばす、という方法です。
もちろん、延ばすと年金が入ってこないので、定年後も何か仕事はしないといけません。
もしくは、生活できる貯金が必要になります。
大前提として、健康でいなければ、受け取りを延ばすことは難しいです。
では、いくらくらい年金が増やせるのかというと、月に0.7%です。
驚きの利率ではないでしょうか。
現在、年金の受け取りは原則的に65歳からですが、それを66歳からということにすると、0.7%×12ヶ月分、受け取れる金額が増えます。
国民年金の月額65,000円で計算すると、66歳からの受け取り月額は5,460円増えて、70,460円です。
67歳からだと、10,920円増えて75,920円になります。
これが、もらい始めてから毎月、そして一生続くということになります。
老後と言えども、健康に自信があれば、65歳と言わず70歳まで働いて、毎月の年金を増やす方法もあることを知っておきましょう。
注意点として、これは現行の制度内容ということです。
年金を受け取れる30年後は、制度が変わっていることもありえるので、参考に留めておいてください。
まずは年金を知ることから、そして対策を考えること
現在、日本の年金制度の財政は、ゆとりがない状態です。
年金を受け取るころには、毎月いくらとは言えませんが、もっと金額が減っているかもしれません。
ただ、現実を知ることで、なにか対策を立てることができると思います。
自分と家族の老後を守るため、現役のみなさんが、これから何をするべきか、考える機会になればと思います。