無断駐車や知らない間にドア接触の傷があったときは、どうすればよいのでしょうか。
駐車場のトラブルは、生活音と並び、とても多くの相談件数が報告されています。
そんな賃貸の駐車場トラブルに対する事例や対策を事前に知ることで、予防や改善が見えてきます。
賃貸物件の駐車場トラブル対策【事前に契約を確認】
アパートやマンションを賃貸するとき、駐車場と一緒に契約することは珍しくはないでしょう。
しかし、次の点を意識されている方は、あまりいらっしゃらないようです。
契約上、駐車場と部屋が一体になっているものと、そうでないものがあります。
この違いを知っていないと、トラブルになる可能性があるのです。
・部屋とは別契約(月ぎめ契約)の場合、部屋の仲介手数料と駐車場の仲介手数料を別に請求された
・駐車場の仲介手数料を1ヶ月以上請求された
・駐車場だけ契約を更新できなかった
などの事例があります。
これは、月ぎめの駐車場契約が宅建業法や借地借家法から除外、適用されていないために起こりうることなのです。
月ぎめの契約では、仲介業者は手数料を1ヶ月以上請求することができますし、貸主は一方的に契約解除することができます。
仲介業者や管理会社はよく説明し、借主の誤解を招かないよう気をつけたいところです。
これらを後で知ることにより、困らないため、駐車場を借りるときは契約内容をよく確かめて、トラブルを防ぎましょう。
賃貸物件の駐車場トラブル対策【無断駐車に関するトラブル】
賃貸契約をしているスペースに、無断駐車を見つけたらまず、管理会社へ連絡しましょう。
自分の車を止める場所の指示や、今後の対策を尋ねてみてください。
マンションなどでは、駐車場にある来客用スペースを借りることができるかもしれません。
無断駐車が継続される場合、コーンやコーンバーなどで駐車できないようにしておく、無断駐車をしないよう、メモ書きを挟んでおく、などして様子を見ましょう。
憤った感情にまかせ、レッカー移動、車体に傷を負わせるような貼り紙、タイヤロックなどは逆に相手側に損害を及ぼす可能性がありますので、避けたほうが良いでしょう。
それでも無断駐車を繰り返される、これは悪質です。
所有者を調べ、持ち主に直接迷惑行為をやめるように伝えるという方法もあります。
調べ方は、運輸支局、または自動車検査登録事務所(陸運局)に、請求することになります。
陸運局で直接入手、またはダウンロードした「登録証明取得申請書」を用意します。
無断駐車のナンバープレート番号、「私有地放置車両関係位置図」を記入し、私有地放置車両写真2枚、印紙代が必要となります。
配達証明付き内容証明を郵送することで、どの時点で請求したか、という証拠として残しておけば、万一、訴訟となった場合、役に立つでしょう。
賃貸物件の駐車場トラブル対策【管理者・所有者の責任】
月ぎめのような賃貸駐車場は、私有地のため、原則的には道路交通法が適用されません。
このため、物損事故は、交通事故として処理がなされません。
ただし、スーパーやホテルなどの公共性の高い場所では、適用される場合があります。
契約書、看板等に事故、盗難などの免責を記載している管理者や所有者は、多いと思います。
しかし、その事故が駐車場の設備に問題があったことが原因であれば、管理者や所有者の責任が問われることがあります。
民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)というものがあります。
『土地に工作物を設置したひとは、その設置やメンテナンスが行き届かないことが原因で、他人に損害が起きたときは、管理者が責任を取りましょう。』
『ただし管理者がきちんと必要な予防や注意をしていたときは、所有者が損害を賠償しないといけません。』
という趣旨のことが書かれています。
例えば、駐車場フェンスの破損を放置していたために、車体に傷がついた、けがをした、などのトラブルが生じた場合です。
車上荒らしなどの窃盗は、青空駐車場のような形態では、管理者や所有者の責任を問うことは難しいと言われています。
駐車スペースを賃貸するだけが目的の契約であること、保管に関して「特別の配慮」をすることを理由としていない契約が多いためです。
そのときは、迷わず警察へ被害届を出しましょう。
賃貸物件の駐車場トラブル対策【ドア接触・当て逃げ】
賃貸駐車場で、ドア付近や車体前後の擦った痕、ぶつかった痕を見つけたときは、どうすれば良いでしょうか。
車体についている、加害車両の特殊な色や確証がない限り、特定は難しいと言われています。
カメラや目撃者、確たる証拠がない場合、加害車両と決めつけるのはトラブルのもととなり、おすすめできません。
加害車両がわからない場合でも、警察へ連絡をされたほうが良いかと思われます。
当て逃げは、無断駐車と異なり、事故として処理されることがあります。
届け出たことで事故の証明となりますし、のちに加害者が警察へ出向く可能性があるからです。
そして、保険会社へ連絡し、車両保険の適用内かを確認しましょう。
繰り返されるような傷の場合、同じ駐車場を利用している可能性も考えられます。
車両を特定できた場合、相手側の車に傷がないか調べでみましょう。
ドアを開けたときの傷の高さ、場所などをカメラなどで証拠に残し、加害車両の持ち主と交渉、ということになります。
賃貸物件の駐車場トラブル対策【予防対策:車両編】
賃貸駐車場で起こるトラブルの予防について、どのような対策ができるでしょうか。
まずは、自分でできることからはじめてみましょう。
現在、さまざまな防犯、予防グッズを手に入れることができます。
駐車監視機能付きのドライブレコーダーであれば、停車中のいたずらや車上荒らしを予防するのに適してるのではないでしょうか。
ドア接触を予防するグッズは、カー用品店、ホームセンター、ネットショップで手に入れることができます。
予算は5,000円~20,000円台で購入することができ、モーションセンサー、衝撃センサーなど、状況や予算に合わせて選ぶことができます。
マグネット式のクッション素材でドアノブ周辺を防護するタイプ、ドアの縁に小さな傷を防護するプロテクションフィルムなどがあります。
また、自分がほかの車両に傷をつけないためのドアガード・ミラーガード・ドアモールなども、予防対策としてはいいかもしれません。
風の強い日、ドアが風に持っていかれた、なんて経験はないでしょうか。
子供やお年寄りの乗降時には特に気を配ることもひとつです。
賃貸物件の駐車場トラブル対策【予防対策:車両以外】
車両以外のトラブル対策として、何かできることはあるでしょうか。
もし、ドアへの接触が頻繁に起こる場合、駐車する場所を変更してもらうよう、賃貸駐車場の管理者へ依頼してみるのも一考です。
また、相手側の駐車位置と極力離して駐車し、接触位置付近にコーンを立てて置く対策がありますが、十分に注意が必要です。
相手側が無意識に接触させていた場合、コーンを目にすること、接触することで注意が促される効果があります。
念のため、管理者に設置することを伝え、あくまでも自分のスペース内にとどめておく、風や動物が原因で倒れないように配慮をすることを忘れないようにしましょう。
予防として、駐車場の管理者もしくは所有者へ防犯カメラの設置を依頼する、ということが考えられます。
コストもかかり、実行に移される可能性は高くはないかもしれませんが、実害があれば説得力もあり、依頼してみる価値はあるかと思われます。
また、カメラではなく、赤外線人感センサー付きのライトも一定の効果があるようです。
巡回、無断駐車禁止や注意事項の看板や貼り紙、利用者全体への注意文や警告文なども組み合わせ、依頼することで、より効果が期待できるのではないでしょうか。
賃貸物件の駐車場トラブル対策【まとめ】
・相手の車両に触れない
・賃貸駐車場管理会社または所有者へ連絡し、対策を依頼
・悪質な場合は警察へ相談する
・すぐに警察へ連絡する
・賃貸駐車場管理会社または所有者へ報告し、対策を依頼
・自車両にセキュリティ対策を講じる
・当て逃げは警察へ連絡
・加害車両に確証がない場合、直接交渉は不向き
・防護、予防グッズを活用
・賃貸駐車場管理者・所有者へ移動、対策を依頼