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権利証がないと登記できない!?事前通知制度とその期限は?

2019.8.1

不動産の所有権移転登記には、原則として権利証や登記識別情報などの書類が必要となります。

これは「申請者が真の所有者なのか」「なりすましによる申請ではないか」判断するために重要な事項です。

それでは権利証や登記識別情報などが紛失等で手元にない場合には、登記できないのでしょうか?

もちろんそんなことはありません。

その場合には事前通知制度というものが利用できるのですが、この制度には期限があるため注意が必要となります。

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売却や贈与による所有権移転登記には権利証が必要!?

不動産の売却や贈与の際には所有権移転登記を行いますが、この登記のためにはいわゆる権利証と呼ばれるものが必要となります。

権利証は正式には、「登記済権利証」や「登記識別情報」と言います。

現在発行されているのは12桁の暗号が記載された登記識別情報ですが、それ以前は登記済権利証でした。

登記済権利証や登記識別情報は不動産を売却する際や贈与などで名義変更をする時に、登記名義人の本人確認のための書類として必要となります。

登記済権利証や登記識別情報は有効期限などないので登記の際に提出するのはどちらでも問題ありませんが、どちらも紛失や破損したとしても再発行はできません。

では、必ず必要となる登記済権利証や登記識別情報が提出できないと所有権移転登記できないのかと言うと、そうでもありません。

その際に利用できるものの1つが「事前通知制度」です。

紛失の場合には事前通知制度で登記ができる!

所有権移転登記の際に、登記済権利証や登記識別情報を紛失し登記情報が変更できないとなると、その不動産の売却や贈与などが困難になってしまいます。

そこで利用できるのが「事前通知制度」です。

事前通知制度ではまず法務局より登記義務者に対し「登記申請がされたこと」と「自らが登記申請したことを申し出ること」を通知する書面が郵送されます。

これを登記義務者が受け取り、一定の期限内に間違いがない旨の申し出をします。

この申し出があって初めて登記は実行されます。

この事前通知制度はなりすまし防止のための意味合いが強いと言えます。

そのため書面は本人限定の受取郵便等の確実な方法で行われ、宛先は登記名義人の現住所です。

さらに3ヶ月以内に登記名義人の住所が変更されていれば、事前通知に加えて前住所にも通知が行くこととなっています。

これもなりすましを防止するためで、登記上の住所を移転した上で真の所有者に知られることなく事前通知を受け取ることを防止します。

前住所に登記名義人が住んでいなければ事前通知は法務局に返送され、なりすましにより不正に住所変更がされていれば、真の所有者が通知を受け取り異議を申し立てることができるという仕組みです。

このような段階を踏めば、登記済権利証や登記識別情報がなくても所有権移転登記をすることができます。

事前通知では期限まで登記が保留!?

事前通知制度は登記済権利証や登記識別情報を紛失してしまった場合などに利用できますが、期限内に登記名義人から間違いがない旨の申し出があるまで登記は実行されません。

申し出があって初めて登記申請が受付けられる仕組みです。

通常の登記もそうですが、登記申請が受付けられてから登記審査が行われるので、新たな登記識別情報を受け取るのは2週間程度先です。

事前通知制度を利用すると申し出の期間がプラスされるので、通常の登記申請よりもさらに時間がかかることは間違いありません。

さらに事前通知の申し出期限内に、同一の不動産に対し他の登記申請があったとしても事前通知中の登記の受否が決定するまでは登記申請は保留されてしまいます。

これは矛盾抵触しない登記申請であったとしても同じです。

また事前通知の申し出期間内は、登記にロックがかかっているような状態となります。

そのため登記事項証明書の交付もできなくなってしまいます。

事前通知の申し出には期限がある?

登記済権利証や登記識別情報を紛失した際に利用できる事前通知制度の申し出には、期限があるので注意しましょう。

登記申請に間違いがないことを申し出る期間は、通知が発送された翌日から起算し2週間以内が期限です。

登記名義人の住所が日本国外であれば4週間に伸長されますが、期限が受け取ってからではなく通知発送からであることは注意が必要です。

普通の郵便物とは異なり、本人限定郵便等で送られてくるので本人でなければ受け取ることができません。

家族での代理受け取りもできませんし、別の場所で受け取ることもできません。

受け取るのが遅くなればなるほど、申し出期間は短くなってしまいます。

事前通知の申し出自体は、回答欄に署名・押印し、登記所に持参するか郵送するかなので、さほど大変なことではありませんが、早めに受け取っておくことに越したことはないでしょう。

また受取人不明で事前通知書が返送されてしまっても期限内であれば、再度発送の申請をすることは可能です。

しかしその場合でも、申し出の期限が伸長されるわけではないので注意しましょう。

期限内に申し出をしない場合は?

もし事前通知書を受け取ることができずに返送されてしまったり、受け取るのが遅くなり期限内に申し出ができなかったりするとどうなるのでしょうか?

申し出期限内に申し出がない場合、登記申請自体が却下となるか申請人が取り下げる必要がでてきます。

そうすると当然登記は実行されず、登記をするためにはまた一から手続きをしなおさなければなりません。

さらに事前通知書が受取人不明で返送された場合は申請により再度発送が可能ですが、紛失や盗難などを理由には再送は認められていないので注意しましょう。

こうした場合も一旦登記申請を取り下げ、再度手続きをする必要がでてきます。

しかし登記名義人次第で登記が実行されないという事前通知制度の性質上、売買などでは買主にリスクが大きいため実際にはあまり利用されていないのが現状です。

主に事前通知制度が使われるのは、贈与による所有権移転登記などリスクが少ない場合のみです。

事前通知制度以外にも登記をする方法がある!

では登記済権利証や登記識別情報を提出できない場合、事前通知制度の他にどのような方法があるのでしょうか?

2つの方法があります。

一つめは「資格者代理人による本人確認証明情報の提供」です。

この方法は司法書士が登記名義人と面談し、本人確認を行いその情報をもとに登記を申請します。

これを法務局の登記官が審査し、内容に問題がなければ登記が完了する仕組みです。

もちろん司法書士への依頼が必須となりますから、司法書士への報酬が発生し事前通知制度より費用がかかります。

一般的に司法書士への報酬は5~10万程度となります。

二つめは「公証人による本人確認」です。

こちらは認証文を公証人につけてもらい、その委任状を登記申請書に添付することで登記済権利証の代わりにするという方法になります。

資格者代理人による本人確認に比べれば費用がかからないのが特徴なのですが、公証役場へ行く手間がかかります。

事前通知制度では2週間の期限が設けられ、この期間内は登記が実行されないことなどから買主のリスク軽減のため、売買の場合の所有権移転登記ではほとんど用いられていません。

売買の際には資格者代理人による本人確認で、所有権移転登記の申請されることがほとんどです。

事前通知制度は期限内に!

所有権移転登記の際に登記済権利証や登記識別情報を提出できない場合には、事前通知制度が利用できます。

しかし期限内に申し出がないと登記が実行されない性質上、売買では用いられることなく贈与などで使われることが多いようです。

もし事前通知制度を利用する場合には期限に注意しましょう。

事前通知制度以外には資格者代理人や公証人による本人確認という方法もあり、売買の所有権移転登記では利用されることが多いようです。

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