敷金、礼金なしの賃貸物件は退去時費用が高額になる!?

まだまだ少ないとはいえ、敷金、礼金なしを謳った賃貸物件が増えてきました。

初期費用がかかる引っ越し時、少しでも費用が抑えられることはとても有り難いことです。

しかし、一方で敷金、礼金なしの物件は退去時費用が高額になるという噂も耳にします。

そこで敷金、礼金なしの物件の退去時費用についてご説明していきますので、参考にしてみてください。

敷金、礼金なしの物件のメリット、デメリット!

引っ越しには何かとお金がかかるものです。

せっかくなら引っ越しを機に、新しい家具などを揃えたくなるでしょう。

一般的に引っ越し費用には敷金、礼金、仲介手数料、保証会社へ支払う費用、火災保険料などがかかり、家賃の4~5ヶ月分程度が必要になると言われています。

家賃が5万円だったとしても25万円程度が必要となる計算です。

そんな中で近年は敷金、礼金なしの物件が増えてきました。

初期費用が抑えられられるため、借り手としても嬉しいメリットです。

「出来るだけ初期費用を安くしたい」と考える人にはメリットの要素が大きいでしょう。

しかし、敷金、礼金なしの物件には少なからずデメリットも存在しますので注意が必要です。

というのも敷金、礼金なしの物件は古かったり交通のアクセスが悪かったり、住環境が良くないなどの理由により借り手があまりいない物件が多い傾向なのです。

貸主としては出来るだけ空室はなくしたいものなので、敷金、礼金なしでも借りてくれた方が結果的にいいのです。

デメリットをデメリットと感じるかどうかは人それぞれですが、この他に敷金や礼金なしのかわりに退去時費用は全額借主負担という契約パターンも存在します。

また、敷金や礼金がないけれど家賃が相場より高いケースもありますので注意しましょう。

敷金、礼金なしだと退去時費用が高額になるって本当!?

退去時費用とは文字通り退去時に必要となる費用ですが、物件によってかなり大きな違いが出てきます。

退去時費用として考えるものとしては、一般的に以下のようなものが考えられます。

・ハウスクリーニング
・エアコンクリーニング
・畳表替え
・襖張り替え
・障子張り替え
・鍵交換
・クロス張り替え
・壁ボード補修

畳があるかどうかや襖や障子があるかどうかによって、項目は増減するでしょう。

これらを通常なら敷金と相殺するのですが、敷金、礼金なしの物件は預かり金がないため退去時に現金で支払う必要がでてきます。

ただし、この全ての費用を借主が負担しなければならないわけではありません。

基本的に使用しているうちに自然と劣化していく「経年劣化の修繕については、貸主が負担する」というルールが国土交通省で定められています。

畳の日焼けや電化製品によるクロスの黒ずみなどが経年劣化の例です。

そのため、実際には敷金、礼金なしの物件だからといって退去時費用が高額になるというわけではありません。

しかし敷金、礼金なしの物件ではハウスクリーニングの代金を特約事項に加えていたり、居住年数に関わらず畳の表替えや襖の張り替えが必須条件となっていることも多いようです。

契約の内容によっては敷金、礼金なしの物件の方が、結果的に退去時費用が高くなるケースもあるので注意してください。

敷金、礼金なしの場合の退去時費用の相場は?

「退去時費用の相場っていくらくらいなのだろう?」と疑問に思う方は多いことでしょう。

実際にどのくらい退去時費用がかかるのか、尋ねられることがよくあります。

しかし、敷金、礼金なしかありかに関わらず、退去時費用の相場は部屋の広さや住んでいる地域、住み方によって大きく異なってきます。

基本的に退去時費用は、退去の際に立会いの元で状態を確認し、見積もりが作られます。

この見積もりはもちろん契約の内容にそって作成されるため、敷金、礼金なしの物件だからと高額になることはもちろんありません。

敷金、礼金なしの物件だと大抵の契約でハウスクリーニングの特約がつけられていることがほとんどのため、ハウスクリーニング費用の相場をご紹介しましょう。

【1R~1K】

20,000円~40,000円程度

【1LDK~2LDK】

27,000円~70,000円程度

【3LDK~4LDK】

53,000円~85,000円程度

【5LDK以上】

65,000円~100,000円程度

こちらを見て分かる通り、大体約家賃の1ヶ月程度、というところでしょうか。

地域差もありますので、退去時費用に納得いかない場合は相見積もりを取ってみましょう。

敷金、礼金なしでも退去時費用トラブルを避けるために気をつけること

敷金、礼金なしの物件に限らず、退去時費用でトラブルに発展するケースは多数あります。

国民生活センターによると2018年3月31日現在で

2015年度:14,232件

2016年度:13,900件

2017年度:12,350件

もの相談が寄せられているようです。

中には、退去時費用として100万円以上もの大金を請求された方もいらっしゃいました。

このような退去時費用によるトラブルを避けるためにも、敷金、礼金なしかどうかに限らず、これからご紹介することに注意しましょう。

①入居時、部屋の写真を撮っておきましょう

退去時費用のトラブルを避けるために入居時からあった傷や汚れ、破損箇所などは写真に撮っておきましょう。

新築物件でない限り、修繕済みの箇所と未修繕の箇所が必ず出てきます。

退去時に揉めなくて済むようにきちんと証拠として撮っておきましょう。

②契約書は細かくチェックしておきましょう

退去時費用については国土交通省のガイドラインで定められていますが、これには法的な拘束力はありません。

そのためガイドラインと異なる条件の特約をつけた契約も、原則的に有効です。

契約書に書かれた退去時費用については双方の同意とみなされ、払わなければなりません。

契約前にしっかりと契約書の内容を確認し、納得するまで担当者に尋ねるようにしましょう。

退去時費用を払わないとどうなる?

退去時費用が高額になれば、敷金、礼金なしかどうかに関わらず、「払いたくない」という心理が働いてしまうことでしょう。

中には「払いたいけど、払うお金がない」という状況に陥ってしまう人もいるかもしれません。

退去時費用を払わないとどうなるか、というと、通常お金を借りて払わない時と同じように「負債」という扱いになってしまいます。

もし、退去時費用を払わないことにより訴えられてしまえば、財産を差押えされることも十分ありえるのです。

また、賃貸で部屋を借りる時には連帯保証人をつけているかと思います。

この連帯保証人とはお金に関わる問題について対応する役割を担っているため、敷金、礼金なしのために退去時費用が捻出できないとなれば、連帯保証人に連絡が行くことは避けられないでしょう。

残念ながら退去時費用に正当性があればあるほど、誰かしらが払わざるをえないと言えます。

退去時費用でトラブルになった時はどこに相談したらいい?

請求された退去時費用に正当性があるかどうかについては、契約書の内容が判断する基準となります。

これは敷金、礼金なしの物件かに限られたことではありません。

もし、退去時費用に納得がいかない時にはまずは不動産業者や管理業者、貸主と交渉してみましょう。

交渉してもうまく折り合いがつかない場合は、消費生活総合センターや国民生活センターなどに相談してみるといいでしょう。

無料で相談できるので、まずは相談してみましょう。

また、お金は少しかかってしまいますが、弁護士に相談することも視野にいれてみてください。

個人で話し合うよりスムーズに話を進めることができます。

退去時費用にどうしても納得がいかない時は民事訴訟や少額訴訟などの手段もあります。

これらの方法も弁護士に相談することでスムーズに進められるようになります。

退去時費用が正当であった場合にはもちろん支払い義務が発生しますが、払えない場合については分割で支払うことを申し出てみてください。

受け入れてもらえるかどうかは完全に管理会社や貸主次第ですが、交渉してみる価値はあるでしょう。

交渉の際は具体的な数字を出しつつ、あまりしつこくならないように気をつけてください。

退去時費用のトラブルにはご注意を!

敷金、礼金なしの物件に限らず、賃貸物件では退去時費用をめぐるトラブルがつきません。

このようなトラブルに巻き込まれないようにするためにも、入居前に部屋のチェックや契約書の内容についてしっかり確認しておきましょう。

敷金、礼金なしの物件の場合、退去時費用は全額入居者の負担となります。

退去の前に、余裕をもって準備しておくことをおすすめします。