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家賃滞納の裁判費用は?負担は誰に?

2018.7.11

家賃滞納した借主の対応は、大家さんにとっては頭の痛い問題です。

基本的には、督促をし支払をしてもらうのが一般的ですが、何ヶ月も続くと裁判によって強制退去などの強引な手段を講じなければなりません。

その場合、裁判費用はどのくらい負担がかかるのでしょうか。

今回は、家賃滞納された場合の裁判費用の負担について解説します。

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家賃滞納の負担を裁判で決着をつける理由は?

家賃滞納の場合、裁判をしてまで決着をつけることは、通常1ヶ月の滞納程度では起こることではありません。

数ヶ月様子を見て改善の兆しがないという状況になって初めて、その手段を取ります。

その期間は、およそ3ヶ月滞納が目安になります。

最低でもそのくらいの期間は自力での交渉をしないと、裁判所が強制執行の許可を出しません。

では何故、大家さんは裁判をしてでも決着をつけるのでしょうか。

それは大家さんには、家賃滞納中の借主にできることが限られているからです。

借主が家賃を滞納した場合、大家さんは当然家賃を請求したいところですが、トラブルも起きかねない以上、全ての大家さんが直接取立てを行えるわけではありません。

そして、家賃を滞納したからといって、滞納者の部屋に土足で上がりこみ、荷物を全て差押えるといった、漫画の借金の取立てのようなことは、いくら権利があると言っても大家さんは行えません。

それができるのは、裁判所の許可を得た執行官のみです。

大家さん個人での強制執行が難しいため、家賃滞納を何ヶ月も続けている借主に居座られても、対処することができません。

裁判はその解決策ですが、それには多くの費用や手間がかかるため、大家さんにとっても大きな負担です。

出来れば取りたくない手ですが、どうしようもない時は裁判を覚悟しなければなりません。

家賃滞納の場合の裁判費用の負担額とは?

訴える側も訴えられる側も、どちらにも大きな意味を成すのが裁判費用です。

裁判をしたことのない人がよく失念していることとして、裁判費用の定義が挙げられます。

「裁判をするには裁判費用を払えばいい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

ですが、実際にはそれだけではありません。

裁判を起こすまでに弁護士に依頼する「弁護士費用」も必要になるからです。

裁判において最も負担が大きいのは、裁判を起こすための費用ではなく、弁護士をつける費用なのです。

裁判費用は、本人または弁護士が裁判所で「訴状」を提出するためのお金のことです。

訴状とは、訴えを起こした原因、理由と、そのためにどんな判決を望むか、というものを記入した裁判のお願いをする書類です。

これには、裁判所で訴訟費用に応じた収入印紙を買い、それを貼って提出しなければなりません。

民事訴訟法の定義での「裁判費用」とは、この印紙代のことで、弁護士費用はこの中に含みません。

そして、この印紙代は家賃滞納の場合、請求額によって決定されます。

しかし、この「請求額」は必ずしも滞納した家賃のみのことを指しません。

家賃を滞納すると、大家さんは支払いの遅延に対して遅延損害を請求することもできるからです。

印紙代の計算式は、100,000円の滞納で1,000円からスタートし、1,000,000円までは請求額が100,000円上がるごとに1,000円アップします。

家賃滞納で裁判が起こる場合の裁判費用は、請求額が1,000,000円前後になることが多いので、10,000円前後を負担することになることが多いでしょう。

強制執行の費用は、大家さんの出す裁判費用の中で最も重い!

先の章では、家賃滞納における裁判費用と、「裁判費用」という言葉の定義についてご説明しました。

通常の民事訴訟の場合は収入印紙の貼られた訴状のみでよいのですが、家賃滞納裁判の場合は以下のものも用意しなければなりません。

・予納金
・不動産登記簿謄本
・固定資産評価額証明書
・予納郵便切手(約6000円、判決前に滞納者とやり取りする郵便費用)
・証拠となる書類(家賃督促をした内容証明郵便物等)
・代表者事項証明書(法人の場合)

「予納金」とは、その後の裁判の結果、家賃滞納者の立ち退きの強制執行が認められた際に、執行官が動くための金額です。

このために必要な金銭を預けておく必要があります。

この預けた金銭は強制執行の際に、執行官の立会費や交通費などの仕事を行うための費用となります。

裁判が終わり、一通りの立会いが終わるとこの金額から未使用分が返却されます。

この予納金は65,000円です。

これが基本ですが、大家さんが強制執行を行うつもりの場合は、ここに執行官が行う強制執行の実費も負担しなければなりません。

これは強制立退きの際に、滞納者の荷物を部屋から引っ張り出し、空の状態に部屋をリセットし、運び出した荷物を運び出し、差し押さえを行う人の人件費や、トラックなどで運ぶ運送費などです。

作業は一部屋のアパートの場合でも2時間程度で終わるのですが、この金額が最低でも200,000円強かかります。

そして、ファミリータイプの物件の強制退去には、この執行官への費用が500,000円を超えることも珍しくありません。

もちろん、今後払う見込みのない借主を放置するよりも、早期に立ち退かせた方が傷は浅いため、高額でも先延ばしするよりはこちらの方が安上がりです。

ですが、それでも裁判費用に上乗せされると、大家さんにとって負担の大きい額であることには変わりありません。

強制執行はなるべく、最後の手段にすることをお勧めします。

弁護士をつければ更に負担する裁判費用は増える

裁判を起こした場合、勝訴を勝ち取るカギを握るのは弁護士です。

ですが、この弁護士をつける弁護士費用は、裁判を起こすための裁判費用の比ではない負担となります。

その内訳を見ていきましょう。

弁護士費用の内訳は、主に3つです。

・相談料
・着手金
・報奨金

裁判を起こし、判決が出るまで弁護士をつけた場合、この3つを必ず弁護士に支払わなければなりません。

「相談料」とは、裁判を起こしたい人が弁護士にその事件内容を相談し、勝算などを確認する時に、弁護士さんに支払う費用です。

この金額は弁護士さんによっても違うのですが、平均は30分5,400円(税込)が基本です。

弁護士への相談が終わり、お互いに裁判を起こすべきだと納得できたら、遂に裁判の準備に取り掛かります。

この時に発生するのが「着手金」です。

着手金は、弁護士依頼時にかかる費用のことです。

色々な名目がありますが、基本的には弁護士の裁判までの日当や手続き費用など、裁判に関する働きをするためのお金です。

家賃滞納での裁判の場合は、内容証明郵便の送付料などが着手金に含まれる具体的な費用です。

いわゆる「前金」とイメージが近いものですが、若干異なっているので順を追って見ていきましょう。

まず、この着手金は、裁判の結果に関係なく支払われ、残念ながら敗訴となっても費用の返還はできません。

そして着手金は、一度払えばおしまいではなく、追加徴収されることもあります。

逆に、依頼した法律事務所のルールで、どんなに裁判が長引いても追加徴収はしないという事務所もあります。

着手金の金額計算も事務所とその訴訟内容によって違うので、相談の際に見ておきましょう。

また、「着手金は追加徴収しない」と明記している事務所でも、一度裁判が終了した後に、相手の調停申立てなどで更に裁判が起こる場合は、再度着手金を請求される場合があります。

しかし、この場合は、最初の着手金よりは割安の場合が多いです。

弁護士を雇って一番負担金額の多い裁判費用は報奨金

前の章では、弁護士依頼から裁判までの期間で発生する「着手金」について解説しました。

では、気になる着手金の相場ですが、家賃滞納の裁判費用の場合、着手金の費用は貸している部屋の家賃によって決定します。

目安としては、大体月の家賃の1.5~2倍強で、倍率は家賃額によって変化します。

そして、裁判で大家さんの勝訴が確定した場合に、また弁護士に支払う新たな費用が発生します。

それが「報奨金」です。

報奨金とは、いわゆる成功報酬のことです。

弁護士が勝訴を勝ち取り、弁済、支払を勝ち取った時、その額の中から依頼の成功報酬として請求され、依頼主が負担する金額です。

家賃滞納の裁判の場合の「成功」とは、滞納者に立ち退きをさせたことを意味します。

判決で家賃の返還を求め、それが裁判で認められることが「成功」ではないので、留意が必要です。

この報奨金も、借主の退去時に、大家さんに支払い義務が発生します。

そして、判決で家賃の返済命令を勝ち取った場合、返済家賃の10%程度が成功報酬として上乗せされることがあります。

ただし、裁判判決後に弁護士が着手し、内容証明郵便などの督促で家賃を支払った場合は、この報奨金は請求されません。

しかし、いずれにしても弁護士への着手金、報奨金を合わせてるとかなり重い負担となります。

それだけ裁判はお金がかかるのです。

家賃滞納の場合、裁判費用はほぼ大家さんの負担!

今までの章で、裁判とは非常にお金がかかるものだということがお分かりいただけたかと思います。

しかも、これまでにご紹介した費用はほぼすべて大家さん負担です。

家賃滞納は裁判の上に強制執行を行うと、大家さんの支払う裁判費用の総額は1,000,000円を超えることもあります。

ずっと滞納者を放置しておくよりは傷が浅いとはいえ、必要経費と割り切るにはあまりにも高額の負担です。

そのため、大家さんは自力督促で解決を図り、裁判での強制退去は最後の手段する場合が多いです。

強制執行は、自力解決が困難な場合や早期解決に比重を置く場合には有効な手ですが、むやみやたらと行えば、大家さんの負担だけが増えてしまいます。

またそれだけでなく、弁護士を使い裁判までする姿勢を見せてしまうことで、相手が恐怖したり、警戒をしてしまうこともあります。

特に、相手方が弁護士を雇った場合、法廷に立つ前に破産申請を行ってしまうこともあるので注意が必要です。

滞納者が破産申請を行うと、大家さんは家賃滞納をされても、滞納者からの取立てができなくなります。

滞納しているからと言って、高圧的な取立てを行わずに根気よく督促を行う方が、大家さんにとっても借主にとっても負担の少ない解決策と言えるでしょう。

強制執行は国が助けてくれるわけではない!

残念ながら、裁判所は判決で家賃滞納者の立ち退きを許可しても、その立ち退きを実行してくれるわけではありません。

立ち退き費用は有料であり、大家さんの負担です。

しかも、ここまでしても、今まで家賃を払えなかった滞納者がそれを払いきれる保証もありません。

家賃滞納者を立ち退かせるための裁判費用は、非常に大家さんに不利にできているので、できる限り裁判に頼らない交渉を滞納者と行いましょう。

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