例えどんな場合であっても、リスクは回避したいものです。
また、回避することができなかったとしても、できるだけ軽減させたいものだと思います。
それが不動産投資であれば、金額が大きいのでなおさらではないでしょうか。
それでは、不動産投資で考えられるリスクと、それを回避、あるいは軽減させる方法をご紹介していきましょう。
長期安定型と言われる不動産投資のリスクとは?
投資を考えたときに、不動産投資であれば毎月決まった家賃収入があり、長期で安定した利益を上げられるので安心だとよく言われます。
しかし、どんな投資であっても、リスクは必ずあります。
特に不動産投資は金額が大きいので、できるだけリスクを回避、あるいは軽減させることが重要です。
不動産投資をはじめる場合に注意しなければならないのは、投資の元となる物件購入するときです。
不動産を購入するときには、物件そのものの他に費用がかかります。
それが「費用リスク」ですが、その金額は通常、不動産物件価格の8~10%と言われています。
次に物件を実際に所有してからは、「空室リスク」や「家賃滞納リスク」があり、いかに空室を少なくし、きちんと家賃を払ってもらうかが重要になってきます。
また、物件そのものに問題がある「欠陥物件リスク」、不動産投資ならではの「流動リスク」などもあります。
他にも、長く不動産を所有していると、当然、物件の経年劣化などで価値が下がってくるので、家賃が下落する場合も出てきます。
銀行でローンを組んでいる場合には、金利上昇によるリスクも考えておいた方が良いでしょう。
不動産投資にかかる費用リスクとは?
それでは、前述した「費用リスク」について見ていきましょう。
不動産投資には、その物件に応じた費用がかかってくるので、その「費用リスク」を回避、または軽減させるために、費用についてよく知っておく必要があります。
不動産投資の費用には、主に次の通りです。
《仲介手数料》
不動産業者などに仲介してもらったときに支払う手数料です。
物件の持ち主から直接購入する場合には、基本的には発生しません。
物件の価格にもよりますが、売買価格の3~5%が目安になります。
《税金》
国に支払うものですが、不動産投資をするときには売買契約書に貼る「印紙」や、購入した物件を登録するための「登録免許税」などがかかります。
また、「固定資産税」は、その年の1月1日時点で不動産を所有していた人にかかる税金です。
「都市計画税清算金」は、その先払いした固定資産税を売主と買主で清算するものです。
《司法書士への報酬》
登記の手続きなどを自分で行う場合には発生しませんが、司法書士へ依頼するとかかってきます。
《火災保険や地震保険などの保険料》
必ず入らなければならないものではありませんが、リスク回避や軽減を考えるのであれば、加入することをお勧めします。
他にも、銀行でローンを組む場合には、銀行へ支払う手数料もかかってきます。
不動産購入時の「欠陥物件」のリスク回避や軽減方法
前述したように、費用リスクも大きいですが、もっと深刻なのは購入した物件が「欠陥物件」だった場合です。
欠陥物件だった場合、物件の価値が下がってしまいますし、入居率も悪くなり、予定していた家賃収入が得られない可能性があります。
そうしたことを回避、軽減するために欠陥物件についてご紹介しましょう。
《物理的欠陥》
建物の雨漏り、傾き、不具合など、目に見えて住みにくい状態のことです。
物件を購入するときに契約書と一緒に「物件状況確認書」も渡されるので、確認書の内容と物件をよく見て判断しましょう。
前述したもの以外の項目は、増改築・修繕・リフォームなどの履歴、住宅性能評価、給排水施設の故障・漏水などがあります。
《心理的欠陥》
その物件で、過去に事件があった場合など、心理的に住みにくい状態のことです。
一般に「事故物件」と呼ばれるもので、こうした物件は法律に則り、販売時に告知事項として記載する義務があるので、しっかり確認しましょう。
《環境的欠陥》
物件自体に問題はなくても、周辺環境に問題がある状態のことです。
例えば、周りの建物によって陽当たりが悪い、音や臭いに問題があるなどです。
これに関しては、購入前に現地に行って、自分の目で確かめることをおすすめします。
また、管理会社に騒音、振動、異臭などのクレームの有無を確認するのも良いでしょう。
売りたいけど売れない!不動産投資の流動リスクとは?
不動産投資は、「長期で安定した利益を上げられるので安心」と言われますが、それは同じ物件を長く持っている場合です。
しかし、不動産投資は「流動リスク」があると言われています。
不動産投資の場合、株などと違い、不動産物件を売却しようと思ったときに、「タイミング良く売れなかった」「思ったような金額で売れなかった」ということが少なくありません。
このように「上手く売れない」といった状況を流動リスクといいます。
不動産を売りに出すと、通常3~6か月と時間がかかるので、不動産投資リスクを回避、軽減するには、なるべく長く持ち続けることを考えた方が良いでしょう。
また、売却しやすい不動産物件の特長を押さえておくと、購入時に良い物件を選ぶ目安となるので、次に挙げておきます。
《空室率が低い》
空室率の低い物件は、予定通りの利回りが得られます。
利便性が良く、人気の地域にある物件は、需要があるので売却しやすいと言えるでしょう。
《管理がしっかりされている》
不動産の価値は、管理がしっかりされているかどうかで決まります。
物件の内部はもちろん、建物の外観、入居者の共有部分などが清潔に保たれ、きちんと管理されているかが重要です。
《他の物件との差別化》
よくあるタイプの間取りではなく、個性的であったり、デザイン性に富んでいたり、他の物件と差別化できるものは、短期間で売却できる可能性が高くなります。
空室リスクの回避と軽減方法を考える
不動産投資の魅力は、なんと言っても「安定した家賃収入」でしょう。
しかし、もしその物件が空室になってしまったら、家賃収入は0円になってしまいます。
家賃収入が0円になったとしても、生活はしていかなければなりませんし、銀行のローンがあれば支払いも待ってはくれません。
したがって、不動産投資で最も回避、軽減したいものが、この「空室リスク」です。
「自分の努力でなんとかする」という方法もありますが、物件の立地が悪かったり、経験が少なかったり、すぐに解決しにくい場合もあります。
そんなときは、「空室保証サービス」を利用するという方法があります。
空室保証サービスは、文字通り管理会社が空室かどうかに関係なく、毎月の家賃を保証するサービスのことです。
空室保証サービスを利用した場合には、通常家賃の80~90%を空室かどうかに関係なく支払ってもらえます。
例えば、相場家賃が100,000円の物件の場合は、毎月の家賃は80,000円~90,000円です。
不動産投資を行う場合、一般的に不動産会社が賃貸管理までしてくれます。
それは、不動産会社も管理物件の「空室リスク」を回避、軽減するためです。
そのため、空室になりにくい物件を探してくれるので、不動産投資初心者は、賃貸管理までしてくれる不動産会社に相談すると良いでしょう。
家賃滞納リスクを回避・軽減させるには?
空室がなくなるのは良いことですが、入居者が家賃滞納をするリスクも考えられます。
家賃滞納されると、想定した利回りを下回るので、最終的に損してしまう可能性があります。
家賃滞納は、空室リスクと同じく、思っていた家賃収入が入ってこないので、すぐに生活や銀行のローンに支障が出てきてしまいます。
家賃滞納リスクを回避・軽減させるためには、次のようなことに気をつけましょう。
【入居時の審査を厳しくする】
入居をするときに、勤務先、年収など、身元や収入をしっかり確認しましょう。
また、連帯保証人をつける、あるいは、必ず保証会社をつけてもらうようにして、本人が家賃を滞納した場合の手を打っておくことが大切です。
あまり審査を厳しくすると、入居することが難しくなってしまうというデメリットはありますが、多少厳しくすることも必要でしょう。
【管理会社に立て替えてもらう】
先程もお話しした、管理会社に管理委託をし、もしも家賃滞納があった場合には、管理会社に家賃を立て替えてもらうことができます。
通常、約6か月の家賃を建て替えてくれて、入居者に対して家賃支払いの督促もしてもらえるので便利です。
管理会社のサービスを利用する場合には、家賃の5~6%の費用がかかります。
例えば、家賃150,000円の場合、賃貸管理費は7,500~9,000円かかることになるので、サービスを受けるメリットデメリットをよく考えて加入しましょう。
リスクを回避し軽減することを考えた不動産投資をしよう
不動産投資をはじめるときには、リスクがあることをよく考えておきましょう。
思わぬ経費がかかってしまうこともありますし、空室が続いて家賃収入が得られないこもとあるかもしれません。
しかし、事前によく調べ、リスクを回避、または軽減する術を知っていれば、大きな損失を出す可能性は低くなるでしょう。