賃貸物件に住んでいて、月の途中で退去することになるケースがあります。
その場合に気になるのが、「退去する月の家賃が、日割り計算されるのかどうか」ではないでしょうか。
契約書に特に記載がなければ、日割り計算を求めて交渉できるのでしょうか。
今回は、月の途中で退去する場合の家賃の考え方や交渉術などをご紹介します。
賃貸物件から退去する際の流れ
賃貸物件に住んでいる場合、いつかはそこから出ていくものです。
しかし、賃貸物件から退去する段階になって、トラブルになるケースも多くあります。
まず、はじめに賃貸物件での退去の流れをおさらいしておきましょう。
退去することが決まったら、早めに大家さんや管理会社に連絡します。
入居する際に契約書を交わしているので、それを確認すると、退去の際はどのくらい前までに連絡すれば良いのか書かれています。
賃貸物件においての退去通知は1ヶ月前までにすれば良いという考え方が一般的ですが、中にはそれよりも前に申し出なければならないこともあるので、契約書の内容をもう一度確認しましょう。
また、引っ越し日の連絡や、ライフラインの停止(あるいは転居手続き)なども忘れずに行います。
そして、退去の際には管理会社などが立ち合いを行い、傷などの確認をします。
その後、部屋の鍵を返し、敷金返還の説明を受けて退去することになります。
しかし、賃貸物件から退去する際にトラブルになりやすいのが、月の途中で退去する場合の家賃です。
退去する側からすれば、退去する月の家賃が日割り計算できるのかそうでないのかで支払う額に差が出るので、交渉したいところですよね。
月の途中で借りていた部屋を出る場合、家賃は日割り計算できるのでしょうか。
次の章で詳しくお伝えします。
月の途中で退去する場合、家賃は日割り計算できる?
賃貸の場合、月末まで住んで退去するのがわかりやすくて良いのですが、様々な事情が絡むと退去するのが月の途中になってしまうことがあります。
その場合の家賃がどうなるのかについても、先に契約書を確認しましょう。
月の途中で退去する場合の家賃について契約書に明記されていれば、それに従います。
例えば、「月の途中で退去する際、その月の家賃は日割り計算する」と書いてある場合があります。
日割り計算なら退去する月は住んだ日数分だけ支払えば良いことになり、丸々1ヶ月分家賃を支払う必要はありません。
しかし、契約書に「退去が月の途中でも、家賃は月額(日割り計算しない)」などと書かれているならば、諦めましょう。
おそらく、交渉しても日割り計算にはなりません(そのために、きちんと契約書に記載しているのです)。
しかし、月の途中で退去する場合の家賃について特に記載がない場合には、日割り計算してもらえないか交渉する余地はあります。
管理会社または大家さんと交渉することになりますが、それが難しそうですよね。
それについては、次の章で見ていくことにしましょう。
退去時に家賃を日割り計算できるかは大家さん次第!
月の途中で退去する際、家賃についての記載が契約書にない場合は、管理会社や大家さんに「日割り計算でお願いしたい」と交渉することになります。
その際、どのように伝えれば効果的なのでしょうか。
せっかく交渉するのですから、できれば日割り計算にしてもらい支出を抑えたいところです。
交渉の仕方としては、まずはじめに管理会社に問い合わせた方が良いです。
いきなり大家さんに問い合わせてしまうと、「飛ばされた」と感じた管理会社から強くクレームを付けられることがあるからです。
もちろん、最終的に家賃を日割り計算するかしないかの判断は大家さんが決めることですが、やはり、管理しているのは管理会社なので、そこを通すのが正しい対応と言えます。
そして、日割り計算をお願いするときの伝え方ですが、これには正解はありません。
ただ、一つ言えるのは、こちらは「日割り計算してもらうよう、お願いする立場」だということです。
そのため、間違っても高圧的に「日割りにして下さい!」とだけ伝えてはいけません。
要望が通らないどころか、トラブルに発展することもあります。
管理会社に今まで住まわせてもらったことへの感謝を忘れずに伝え、「できれば日割りにしてもらえると助かる」というふうに交渉しましょう。
もちろん、こうした方法で交渉しても日割り計算になるかどうかは大家さんの考え方次第ですが、頼み方一つで結果が違ってくることもあるでしょう。
家賃を日割り計算する場合の計算式は?
前章で、家賃を日割り計算してもらいたい場合の交渉方法が分かりましたね。
ところで、家賃を日割り計算する場合、どうやって計算するのかご存知でしょうか。
ここでは、その計算式を見てみましょう。
例として、月の家賃が60,000円、10日に退去したと仮定します。
10日に退去した場合、住んでいたのは10日なので、日割り計算が可能であれば残り20日分の家賃は返してもらえることになります。
日割り家賃の場合は、以下の2つの計算式に当てはめて、支払う金額を算出します。
はじめに「月の家賃×住まなかった日数」を計算します。
すると、60,000×20=1,200,000円になります。
その後、「はじめに計算して出た数字を30日(1ヶ月の日数)で割る」ことで、返してもらえる額が出ます。
この場合は、1,200,000÷30=40,000円となり、これが返してもらえる額となります。
ここでは、1ヶ月を30日として計算しましたが、契約書に「1ヶ月は31日で計算する」とあれば、31日で割ることになり、返してもらえる額も変わるので気を付けて下さい。
この計算式を覚えておけば、日割りと言いながら実際には違っていた(例えば、1ヶ月分の家賃よりは安いが、日割り計算にはなっていないなど)というトラブルの防止にも役立ちます。
家賃の日割り計算を巡る退去時のトラブル対処法
先ほどは、家賃を日割り計算する場合の計算式をご紹介しました。
しかし、家賃の日割り計算の可否を巡ってはトラブルも絶えません。
中でもよくあるのが、
・契約書には「日割り計算する」と書いてあるのに、1ヶ月分支払うように言われた
・確認した時は「日割り計算する」と言っていたのに、退去する時になって「日割りにはならない」と言われた
・管理会社は日割りできると言い、大家さんはできないと言うなど、管理会社と大家さんで言っていることが違う
などのケースです。
しかし、契約書に「日割り計算する」と記載されている場合には、それを証拠として突きつければ日割りになる可能性は高いです。
ですが、「言った言わない」になってしまうと、会話の録音や、それを確認した日付け入りのメモが残していないと日割りにしてもらうのは難しいでしょう。
そして、管理会社と大家さんで言っていることが違うケースでは、おそらく大家さんの考えに従うことになります。
「事前に確認したのに、結局、支出が増えることになって悔しい」という気持ちも分かりますが、この場合にはおとなしく支払った方が賢明です。
日割り計算できない場合は、きちんと家賃を払って退去!
これまで見てきたように、月の途中で退去するのに、賃貸契約書にその分の家賃をどうするのか(1ヶ月分払うのか日割り計算なのか)という記載がない場合は、大家さんや管理会社と交渉することになります。
ですが、それでも1ヶ月分の家賃を支払うことになるケースも多くあります。
こちらの事情を丁寧に説明しても、先方が「日割りにはできない」と言うのであれば、諦めて支払いに応じましょう。
1ヶ月住んでいないのに1ヶ月分の家賃を支払うのはもったいない気もしますが、数千円の寄付だと思って割り切ることも必要です。
結論が出るまでは粘り強く交渉して良いですが、一度結論が出たのであれば、それに従うのが大人の取るべき対応です。
いつまでも食い下がっていてはトラブルにつながります。
また、入居者側に「退去予告が遅れた」などの落ち度があれば、退去する月の家賃が1ヶ月分の支払いになっても、やむを得ないでしょう。
自分と管理会社、大家さんが、ともに気持ちよく契約を終えらえれるよう、支払いを求められた分についてはきちんと支払ってから退去しましょう。
退去の際にはまず、契約書を確認しよう!
今回は、月の途中で賃貸物件から退去する場合の家賃についてお伝えしました。
契約書に記載がある場合にはそれに従いますが、記載のないケースもあります。
月の途中で退去することになりそうな場合には早めに契約書を確認し、退去の予告連絡なども早めに行なうようにしましょう。
交渉次第で、日割り計算できることもあります。
日割りにならなかったとしても、きちんと家賃を支払ってから退去しましょう。