皆さんは、パーライトモルタルをご存知でしょうか。
通常のモルタルにパーライトを配合したもので、通常のモルタルに比べると、パーライトの特長が活かされ、建築材料として幅広く使われています。
パーライトの優れた特長とは何なのか、またDIYに活かすにはどのようにしたら良いのか、見ていきましょう。
パーライトとは何か?
まずは、パーライトについて詳しくご紹介しましょう。
パーライトとは、人工の発泡体のことで、火山岩を高温処理したものです。
天然火山ガラスのなかの、真珠岩や黒曜石、松脂岩を細かく砕き、急速に高温で加熱し、膨張させて作られています。
天然火山ガラスとは、マグマが急激に冷やされることでできる天然のガラスのことを言います。
パーライトは、白色をしており、真珠石とも呼ばれています。
それは、顕微鏡でパーライトを見たときに、真珠(パール)のように輝いているので、この名が付いたそうです。
パーライトの大きな特長は、空気をたくさん含む多孔質なので、とても軽いということです。
気密性の高い気泡を含んだ多孔質なので、通気性や透水性が高く、園芸の土壌改良材や濾過材、園芸培養土などに幅広く使われています。
また、保温、保冷剤などにも使われています。
断熱性や吸音効果にも優れているので、モルタルなどにパーライトを配合すれば、建設材料としても力を発揮します。
パーライトの特長
このように、優れた特長を持つパーライトですが、大きく「黒曜石パーライト」と「真珠岩パーライト」の2種類に分けられます。
それぞれの特徴は、次の通りです。
【黒曜石パーライト】
・通気性、排水性、保水性に優れている
・空気を含んだビーズ状
・排水性、通気性に優れているので土壌改良材として最適
・保水性と排水性を両立させる働きを持つ
・イオン交換性もあり、付着水はミネラル水になる
・根腐れ予防効果あり
・保温、断熱性も高い
・芯に空気が含まれており、半永久的に軽量性を維持
【真珠岩パーライト】
通気性、保湿性、透水性に優れている
・全体に穴が開いたスポンジ状
・保水性があるので土壌改良材として最適
・発泡後の粒の形状から水分を多く含む
・非常に軟らかな質感
この2種類のパーライトは、黒曜石は「排水性」、真珠岩は「保水性」、と真逆な特長を持っているので、園芸で使う場合にはその特長に合った使い方をしなければなりません。
しかし、モルタルに配合して建設材料として使う場合には、軽量であることや、断熱、吸音効果が目的のため、黒曜石と真珠岩を分けずに混ぜて使います。
パーライトが配合されたパーライトモルタルとは?
前述したように、優れた特長のあるパーライトをモルタルに配合したものをパーライトモルタルと言います。
パーライトは、モルタルに配合してもその特長は変わりません。
そのため、パーライトモルタルは、通常のモルタルに比べて優れた点が多くあります。
施工性はモルタルと変わりませんが、重さがモルタルの2分の1と扱いやすく、吸音性に優れ、耐火性はなんとモルタルの4倍です。
耐熱性にいたっては、モルタルの8倍もあるのです。
しかもパーライトは、さまざまな粒の大きさ、重さのものがあり、用途によって使い分けることができます。
このように、吸音効果に優れ、断熱性もあり、同時に軽量であるため、パーライトモルタルは優れた建材として、断熱材や吸音材として広く使われているのです。
軽量コンクリートと呼ばれているものは、パーライトが配合されたパーライトコンクリートのことを言います。
また、木造や鉄骨造の建物に使われる、既製品の木毛セメント板にもパーライトは配合されていて、耐火性能を上げています。
DIYで使ってみよう!パーライトとモルタルの配合比は?
では、パーライトモルタルをDIYで使うとしたら、その配合比はどのようになるのでしょうか。
基本的な配合比は次の通りです。
・セメント 1.00
・砂 1.50
・パーライト 0.27
・水 0.62
パーライトモルタルを作るときには、「カラ練り」をしっかりすることが重要です。
カラ練りとは、材料を均等に混ぜ合わせることで、これがきちんとできていないと、強度が弱まるなどモルタルの良さを引き出せなくなります。
【パーライトモルタルの作り方】
①セメント、砂、パーライトをそれぞれ計量します。
②専用のトロ舟、またはプラスチック容器に1を入れます。
③専用の練りクワやスコップでしっかりカラ練りをします。
④カラ練りが終わったら、水を少し加えて練ります。
⑤数回に分けて水を加えながら練り上げれば完成です。
このようにして作ったパーライトモルタルは、耐火レンガを積み上げるときの接着剤として使ったり、壁に塗って耐火、防音対策に使うことができます。
パーライトは、ホームセンターやインターネット、園芸店や100均ショップで手軽に手に入ります。
パーライトモルタルで「ロケットストーブ」が作れる!?
燃焼効率の良い「ロケットストーブ」をご存知でしょうか。
1980年代にアメリカの応用生態学の学者、イアント・エバンスたちが、発展途上国で使うことを前提にしたストーブが「ロケットストーブ」です。
「ロケットストーブ」の名前の由来は、ロケットの噴射のように勢いよく火が燃えることから付けられたようです。
それほど、強い燃焼が得られるというわけです。
薪をくべて暖をとる「ロケットストーブ」ですが、煙がほとんど出ず、燃焼効率も良いので、発展途上国の農村の人たちが悩まされていた、室内で使う薪ストーブの煙や粉塵を解決できたと言われています。
また、薪を扱う経験が少ない人でも、比較的簡単に使うことができるのも特長のひとつです。
この「ロケットストーブ」は、使い勝手が良く、アウトドアをはじめ、防災グッズや調理グッズなどとしても使われています。
そして、この「ロケットストーブ」が人気を呼んでいるのは、自分で作れるからなのです。
市販の煙突を使って、筒の中で火が燃える構造を作れば、「ロケットストーブ」は簡単に作ることができます。
煙突缶の熱を保つためにパーライトモルタルを使えば、断熱効果が高まり、さらに火が燃えやすくなります。
この場合、断熱効果を高めるため、パーライトの配合は変わってきます。
パーライトの配合を工夫して「ロケットストーブ」をDIY!
【ロケットストーブの作り方】
《材料》
・20Lのペール缶
・ステンレス煙突 3種 半直筒φ106mm/エビ曲φ106mm/T曲φ106mm
・パーライトモルタル 配合比率 パーライト1:セメント1:砂2
①ペール缶にステンレス煙突が入る穴を開けます。
②開けた穴にエビ曲煙突を差し込みます。
③ペール缶の内側に半直筒煙突を入れ、エビ曲煙突に付けます。
④外側にT曲煙突を付けます。
*このとき、T曲筒の部分が上を向くようにします。
⑤ペール缶の中にパーライトモルタルを流し込みます。
⑥パーライトモルタルが完全に乾燥したらでき上がりです。
パーライトだけをペール缶の中に入れる方法もありますが、パーライトモルタルにすることで、より耐熱性や耐久性が上がります。
【ロケットストーブの使い方】
①T曲筒に薪(枝など)をくべます。
②新聞紙などを使って着火します。
③煙突の効果で一気に薪(枝など)が燃焼します。
ペール缶から出ている、煙突の上に五徳をおけば、調理をすることができます。
パーライトモルタルでDIY!
モルタルにパーライトを配合すると、耐熱性や吸音性が上がることがおわかりいただけたと思います。
今回は、人気の「ロケットストーブの作り方」をご紹介しましたが、パーライトモルタルの特長を活かす場面はまだまだあります。
パーライトモルタルの可能性は、あなたのアイデア次第で広がっていきます。
その特長を知り、DIYに活かしてください。