土地や建物などの不動産は持ち主の方にとって、とても貴重な財産です。
不動産財産は登記簿という帳簿に登録をすることで、安全に取引をすることができます。
そして、取引によって手に入れた土地は家を建てるために地目変更の手続きが必要がある場合があります。
この記事では登記や地目変更の手続き方法、かかる費用面についてお伝えしていきます。
登記とは何をすること?
不動産を取得するときに必ず触れることになる手続きが、不動産の登記です。
土地の面積などを登記簿へ記録することで、土地の所有権について対抗することができます。
この場合の対抗とは、不動産に対する自分の権利の存在を第三者に主張できる法的効力のことです。
ひとつの土地について、土地の所有者Aが、BとCのそれぞれ別の人間と売買契約をし、二重売買が起こった場合を例に挙げます。
この場合、土地の所有権を主張するために、登記による対抗ができる方が、その土地の所有者になることが民法上で定められています。
登記を二重にすることはできませんから、早く登記の手続きを済ませたほうが所有者になることができます。
このように、登記簿への記録によって他者に対抗することができますが、実際に存在しない権利関係が生じることはありません。
先ほどの土地の所有者Aと売買契約を結ばずに、Eという人物が勝手に所有権を移転する手続きをしたとしてもEは所有者にはなれません。
さらに登記記録を信じ、Eとの間でFが売買契約を結んだとしても、もともとEには所有権がありませんのでFが土地の権利を得ることはできません。
登記には記録の内容を信じて取引をした者を保護する力はないのです。
登記記録の手続きには時間と費用がかかります。
さらに手に入れた土地によっては地目変更という手続きが必要です。
登記は義務ではありませんので、手続きの面倒さのためにやらない方もいるかもしれませんが、その場合、自分の権利を他人に主張することができません。
後々トラブルが生じることもありますので、土地を手に入れたらなるべく早く登記手続きを済ませましょう。
土地の登記手続きには費用がかかる
土地の権利を手にするまでは、一般的には登記の手続きや費用についてよく知らないものです。
手続きにはそれなりの時間と、ある程度のまとまった費用が必要です。
不動産登記の手続きにかかる費用は、実費と専門家に払う報酬があります。
それぞれの費用について簡単にご説明しましょう。
まず実費についてです。
これは登記の手続きをするにあたり、必ずかかる費用になります。
実費のなかで多くを占めるのが国に支払う登録免許税と呼ばれる税金です。
そのほか、登記簿の謄本取得費用や法務省へ赴くときにかかる交通費を実費に含む考え方もあります。
専門家への報酬は登記の手続きを自分たちではなく、土地家屋調査士、行政書士といった調査や法務関係の専門家へ依頼するときの手数料になります。
それぞれの依頼先へ支払うことになりますが、報酬の金額は自由化されており事務所によって額の大きさに差があるのが現実です。
また、手に入った土地が山林などで、いずれその土地に家を建てる場合には登記されている内容のうち地目の部分を書き換える地目変更の手続きが必要です。
このように手続きが複雑化していくことも考えられますので、土地の様子などを自分でも把握しておき、細かな見積もりをとりながら依頼先を決めることが大切です。
土地の登記をするために地目の意味を理解する
土地には様々な種類があります。
田畑、山林、宅地や川など、土地に何があるのか、どのように活用、利用しているかによって、その種類が変わってきます。
これらの土地の種類を総じて地目(ちもく)と呼びます。
そして、土地は地番をつかって区切られます。
登記簿には区切られた土地に対して、地番と地目が付けられて記録されます。
区切られた土地の形はいろいろで、真四角、長方形など、一目で把握しやすいものもあれば、隣接した区画や土地の使い方により複雑な形をしているものもあります。
都市部や宅地に利用される土地は、ほとんどが四角形に区切ってあります。
これは宅地造成のときに道路と宅地を分け、ある程度の面積を保てるようにして販売するからです。
土地の値段は広さや種類によって変わります。
家を建てる前に、土地の購入を考える段階で購入にかかる費用を把握するためにも、この地目について知ることで土地選びにも役立てることができるでしょう。
この地目の種類が農地や山林でのちに家を建てるなど宅地利用する際に、登記簿に記録されている情報を書き換える、地目変更の申請をします。
地目変更しなければならない状況とは?
地目が土地の種類であることは、前項でお伝えしました。
土地の手続きに関わるきっかけは、家を建てるタイミングになることが多いでしょう。
この場合は畑や山林といった地目の土地を宅地へと変更することになります。
この、土地の種類を変える手続きを地目変更といいます。
土地の上に、何らかの住宅が建っているのであれば、その土地の登記上の地目は宅地と認定することができます。
もし、建物が建っているにもかかわらず地目が原野や山林、畑などになっている場合には地目が変わって1ヶ月以内に宅地への地目登録変更申請をしなければなりません。
登記上の地目が山林の場合は、その山林が保安林であるかどうか確かめておきます。
保安林であったのなら、地目を変える前に保安林の指定を解除する手続きをします。
また、使いたい土地が田畑の場合、その土地は農地として扱われていますので登記に関する手続きの他、農地法の手続きが必要になります。
特に、農地から宅地への変更には、かかる手続きの種類が多く複雑になっていきます。
手続きが複雑になればなるほど、かかる費用も増えていきますから、そのことも念頭において進めていきましょう。
地目変更手続きの流れを知る!進め方で費用にも差が出る
所有する土地の地目変更をする可能性がでてきたら、地目の変更ができるかどうか調べる必要があります。
手続きの前に、現地の様子や法務局で資料の調査をし、土地の登記簿の内容を確認します。
地目変更の申請手順の流れを追ってみましょう。
【地目変更申請手順】
①最新の登記情報を取得する
②登記上の地目が土地の現状が一致しているかどうか確認する
③登記の地目が田、畑の場合は農地法の手続きを先に進める
④現地の地目認定に間違いがないときには地目変更登記申請書類を作成する
⑤農地法に関する手続きが完了したら土地の管轄法務局の窓口に地目変更申請書類を提出する
⑥申請書類を提出してから10日ほどで登記完了する
⑦登記完了後に申請人本人が登記完了書等を窓口に取りに行く
これらの手続きを、申請人が自ら行う場合にかかる費用は、実費のみになります。
土地家屋調査士や行政書士が代理人として申請することを代理申請といいますが、この場合は相応の手数料もかかってきます。
地目変更にかかる費用を抑えるには
地目変更にかかる費用は、申請人本人が動いて手続きをし、登記完了させることで安く抑えることができます。
農地や山林などの地目でなければ、時間や手間がかかりますが一般の方でも手続きを完了させることが可能です。
手間をかけずに済ませるには、登記の専門家にお願いすることもできます。
その場合には、手数料として5万円前後の費用が加算されることになります。
この手数料をいかに安くできるかが、地目変更にかかる費用を抑えることにつながります。
自分にできる部分は自分でこなし、難しそうなところは専門家に頼むのも費用を抑える方法のひとつです。
かかる手数料は依頼した部分のみですので、すべて任せてしまうよりも費用は安く済ませることができるでしょう。
ただ、手続きの一切を任せるのが一般的ですから、中にはそういった依頼方法を嫌がる事務所もあるかもしれません。
しかし相談しだいでは申請人の依頼に沿ってくれる方もいるでしょう。
ただ、ここまでに触れてきたように、登記の地目が農地になっている場合は農地法に関わる手続きが絡んでくるので手続きが複雑になります。
そうなると手続き自体がストレスになってしまい、結果的に割に合わないことにもなりかねません。
その場合には、専門家の手を借り、スムーズに進められる方法を模索しながら手続きを進めていきましょう。
スムーズに手続きを進めるために
登記の手続きはそう何度もするものではないため、わからないことの方が多いでしょう。
費用の部分でも不安なことがあると思います。
自分で進めれば最低限の費用で済ませることもできますが、思いのほか時間がかかることもあります。
そういったときに相談できる専門家を見つけることは、面倒に思いがちな登記や地目変更手続きをストレスなく行うためには大切かもしれません。
今後、手に入れた土地などの不動産の管理をスムーズにしたいのであれば、信用できる専門家に依頼するのも検討してみてください。