賃貸物件の契約時に、加入を求められるのが火災保険です。
勧められるまま加入して、あまり内容を覚えていないという方や、最初は加入していたけれど、更新を忘れている人もいるかもしれません。
今回は、火災保険がどのような場面で使えるのか、また、その重要性についてご紹介します。
賃貸物件に火災保険がセットなのはなぜ
賃貸物件の契約書を取り交わす際に、一緒に火災保険の申し込みを行ったことがある人は、多いと思います。
ほとんどの賃貸物件は、「火災保険に加入をしないと部屋を貸せませんよ」と決められています。
なぜなら、あくまで賃貸物件は貸してもらっているものだからです。
何かあった際に、修繕費用などが支払えないことがあっては、オーナーが困ってしまいます。
オーナーの所有物なら、オーナーが保険を掛ければいいのではないか、と思うかもしれません。
ほとんどのオーナーは、建物全体に保険を掛けています。
入居者が支払っている火災保険については、借りている部屋についての保険なのです。
また、共同住宅であるために、隣戸への損害を与える可能性が高いことも、保険加入義務が必要な理由です。
どんなにしっかりした人でも、事故が絶対にないとは言えないですよね。
万が一のときのために、やはり火災保険の加入と、その更新は必要になります。
賃貸用火災保険の更新時期はいつ?
火災保険にも様々な種類があり、賃貸物件を借りている人用に、賃貸専用の火災保険も用意されています。
ほとんどが、オーナーや管理会社、不動産会社指定の保険会社を利用することになります。
指定された保険会社のなかでも、火災保険の内容に関するプランは、指定されていることが多いです。
自分の希望のプランや保険会社がある場合は、事前に確認をとっておきましょう。
用意されている火災保険でよく見るのは、2年更新の火災保険です。
賃貸契約も、2年更新のところが多いのでわかりやすいですね。
更新時期は必ず覚えておいて、自分から連絡しないといけないのかというと、そうではありません。
更新時期が近付いてくると、保険会社から更新に関する書類が送られてきます。
その書類に沿って、手続きを進めれば大丈夫です。
オーナーなどの中には、保険更新のないプランを使用している人もいます。
これは入居中、火災保険を支払い続ける月額プランです。
これなら家賃と一緒に支払ってくことになるので、更新の心配はありません。
賃貸の解約と同時に、火災保険の解約も申し入れれば大丈夫です。
今、加入している保険の更新時期がわからない場合は、保険会社や加入を斡旋してくれた業者に問い合わせてみましょう。
賃貸契約だけでなく火災保険にもある重要事項説明書
賃貸物件の契約前に、重要事項説明書が渡されますが、火災保険にも重要事項説明書が存在します。
賃貸物件の重要事項説明書と同様に、契約内容に関する重要な事項を記載したものです。
保険更新期間や保険料、保険が適用されないケースなど細かく説明が書かれています。
賃貸契約の場合ですと、おそらく鍵を渡す際や賃貸借契約を交わすときなど、入居するまでか、入居して間もなくには手渡されることが多いです。
保険会社によっては、見やすさに配慮した説明書を発行しているところもあり、わかりやすくなってきています。
説明書きが難しくても、問い合わせ先が記載してあるので、不明な点は気軽に聞くことも可能です。
賃貸物件の契約には注意を払っていても、「火災保険は確認していなかった」「話を聞いていなかった」では、いざ事故が起きたときに対応ができません。
ぜひ、斡旋した業者さんに、火災保険についても説明してもらえるようにお願いしてみましょう。
もし、手元にない場合は、保険会社に再発行をお願いして、再度見直してみてください。
保険が適用されるケース、されないケースをわかっているだけでも安心して生活できますよ。
更新してでも火災保険に加入し続けるべき理由
「保険と聞くと、万が一のときのためだし、掛け捨てだと保険料がもったいない。」
「2年何もなかったし、更新料を払って更新もいらないかな。」
というふうに、火災なんて、火もめったに使わないし加入しなくても大丈夫ではないか、と考える人もいるかと思います。
確かに、火災は頻繁に起こるものではないですし、賃貸の入居期間が短ければ可能性だって下がるでしょう。
しかし、火災保険は火災での事故だけを補償するものではないのです。
例えば、落雷や風災雪災、床上浸水など自然災害による家財の損害も補償の対象になります。
(地震については、別途地震特約を付けることにより、補償してくれることが多いようです。)
また、水漏れについても補償してくれる場合がほとんどです。
水濡れについては、例えば水道を出しっぱなしにして外出してしまい、水が溢れて階下の部屋に損害を与えてしまった、というケースがよく見られます。
この場合、オーナーへの賠償として建物の修理代と、階下の入居者への賠償として家財等の損害を補償してくれます。
火災保険に加入していないと、実費で支払うことになる、と考えると大変怖い金額です。
2階以上に住んでいる場合、入っていたほうが安心の内容ですね。
また、空き巣などの盗難にも、火災保険が適用されるケースもあるなど、幅広く補償してくれるのが特徴です。
室内設備の破損なども補償してくれることもあるようなので、退去時費用が心配なときもまず、保険会社に相談してみるのも賢い方法だと思います。
これだけの保証がついていれば、更新しない手はないのではないでしょうか。
ここに記載した補償については、すべての火災保険に適用されるものではありません。
補償の対象にならない家財もそれぞれ細かく決められています。
さらに手厚い補償がついているプランもあるかもしれませんので、一度パンフレットなどで確認してみてください。
賃貸物件契約時に火災保険を自分で用意したい
賃貸物件の契約には、オーナーなどが指定した火災保険に加入することが前提となることが多いと前項で説明しました。
もし、自由に加入してもいいとなった場合、何に気をつけるべきでしょうか。
まず、自由に保険会社を決めて契約してもいい、としている物件にも条件を付けてくることが多いです。
そのひとつは、借家人賠償特約付きの火災保険であることです。
借家人賠償というのは、借りている部屋に損害を与えてしまい、オーナーに対して、法律上の損害賠償責任を負った場合に、保証金を支払いますという内容です。
オーナーに対しての保証は、必ずつけてくださいという条件です。
二つめは、保証金額についてです。
保険料に応じて、保証される金額ももちろん変わってきますが、あまりに少ない額だと意味がないですよね。
条件を出された場合は、自分の身を守るために、一般的な金額をかけておくのも必要でしょう。
三つめは、責任をもって更新することです。
入居中は、継続して火災保険に加入すること、と契約書等の特約に見ることも度々あります。
四つ目は、契約開始時に火災保険も開始できるように手続きをすることです。
火災保険に加入できていることが証明されないと、鍵を渡してもらえない、場合によっては解約されてしまう可能性もあります。
責任をもって、期日までに手続きを済ませておく必要があります。
これらの他にも、条件が追加されるケースもあります。
手間や手続きなどを配慮しないといけない、と考えると、業者指定の火災保険に加入をお願いしているところが多いのも、納得できますね。
自身で用意する場合には、不動産屋とよく確認し合う必要があります。
火災保険更新後にすぐ賃貸の解約が決まってしまった
いざ、火災保険を更新すると突然転勤が決まってしまった、なんて話を聞いたことがあります。
2年更新の火災保険も多いため、この間に賃貸を解約することになると、どうなるのだろうと心配になる人も多いようです。
でも、安心してください。
火災保険には、解約返戻金があります。
保険期間の途中で賃貸を解約する場合、保険会社にも連絡し、保険の解約手続きを行います。
保険期間のうちの、未経過分の保険料が解約返戻金として戻ってくるのです。
ただし、この未経過の期間が残り少ない場合などには、戻ってこない可能性もあるので、保険会社に聞いてみるのが確実です。
また、日数分を日割り計算しているわけではないようなので、返戻金額もそれぞれの保険会社に確認してみてください。
保険会社への連絡は忘れがちですが、解約手続きを取るだけで、いくらか戻ってくることを覚えておくと良いでしょう。
斡旋業者は、加入の際は手続きを案内してくれますが、解約の際は入居者が連絡することが多いので、ぜひ覚えておいてください。
火災保険で安心の生活を
火災保険の適用の幅広さを知れば、加入も悪くない、むしろメリットが多いなと感じてもらえたと思います。
いつ起きるかわからない事件や事故に対して、備えがあれば安心ですよね。
今一度、どんな火災保険に加入しているのか、更新できているのか見直してみてください。