住宅を新築する際には、建物だけでなく、その外構の工事も大切な要素といえます。
塀やフェンスや植栽で防犯性を向上させたり、家の外観を整えたりします。
また、駐車場部分は、コンクリートで舗装されているのが一般的でしょう。
ところでこの駐車場のコンクリート舗装ですが、どの程度の厚さが必要なのでしょう。
今回は、施工の仕方やコンクリートの厚みに着目して、住宅の駐車場について勉強していきましょう。
コンクリートの駐車場は現在の住宅にとって必須の設備
新築住宅などでよく見かけるのが、敷地に面した道路から少し奥に建物を配し、建物の前面をコンクリートで固めるなどして、駐車場にしている例です。
敷地が狭い場合などは、建物の一階部分をコンクリート舗装した駐車場にし、二階部分を張り出させて居室にしている場合もありますね。
このように、今の時代は、一家に最低1台は車を所有していることが多く、それを置く駐車場スペースが必要となるわけです。
多いところでは、お父さんの通勤用に1台、お母さんの買い物用に1台など、一家に2台3台と車を所有している場合もありますね。
そのような場合は、家の前面すべてを駐車スペースにしていたり、家の棟と別に専用のガレージを建てているわけです。
このように、駐車場のありなしは生活に大きく影響しているといえるでしょう。
ところで、このような駐車場に適したコンクリートの厚さはどのくらい必要なのでしょうか。
一般的な家庭では、駐車場には自家用の乗用車を置くことになります。
乗用車と業務用のトラックなどでは、車の重量が違うため、駐車場のコンクリートの厚さも変わってくるのが当然です。
そこで、今回は、自家用の乗用車を置くことを前提に、家庭の駐車スペースのコンクリート舗装について考えていきたいと思います。
なぜ駐車場をコンクリート舗装しなければいけないのか
ところで、なぜ駐車場を作る際には、コンクリート舗装しなければならないのでしょうか。
もともとの敷地の土のままではどんな弊害があるのでしょうか。
まず、雨が降った場合など、車のタイヤが土で汚れたり、ぬかるんだ土に埋まってしまったりします。
車だけではなく、よく工事現場などで見かけるように、家の前の公道なども泥汚れで汚くなってしまいますね。
それを繰り返していると、駐車スペースにわだちができたりして土がガタガタになったり、敷地の土が外に運ばれ、だんだんと減っていったりするのです。
すると、公道と敷地の間に段差がきで、駐車スペースに出入りするたびに車に衝撃が、などということになりかねません。
もちろん、車を降りた人の靴にも土の汚れが付着し、それを玄関に持ち込むなどして玄関を汚すこと必至でしょう。
せっかく家を新築しても、家の前の道がドロドロ、駐車場も玄関もドロドロになってしまうというわけです。
このようなことから、一般的には、駐車場とする部分には、ある程度の厚さをもった水を通さないコンクリート舗装をするのです。
土間コンクリート舗装の厚さはどのくらいが適正か?
このような、住宅などの敷地の土の部分をコンクリート舗装することを、「土間コンクリート舗装」といいます。
その手順は、まず、コンクリートの仕上がりの高さより15センチ下げて土を掘ります。
そこに、下地となる砕石(砂利)を5センチ厚で敷き、機械でその土や砂利に圧力をかけて締め固める作業を行います。
そして、その上に6ミリ程度の鉄の丸棒でできたワイヤーメッシュを敷き詰め、そこにコンクリートを流し込みます。
このワイヤーメッシュにより、コンクリートの強度が大幅に向上し、駐車に耐えうる強度になるわけです。
このとき、流し込むコンクリートの厚さは、乗用車では10センチ程度が最適といえます。
なぜなら、薄すぎると、ワイヤーメッシュに沿ってひび割れなどが起こる可能性があるのです。
また、厚すぎてもワイヤーメッシュがコンクリートの重さに耐えられなくなり、割れてしまう恐れがあります。
強度=コンクリートの厚さと考えがちですが、下地とのバランスも大切ということですね。
まとめると、乗用車の場合は、砂利5センチ程度、ワイヤーメッシュ6ミリ幅、コンクリート10センチ厚というのが標準的なバランスといえます。
また、2台3台と駐車場のスペースが広くなると、ひび割れの可能性が1台のときよりも高くなります。
そのため、ひび割れ防止の伸縮目地を設けることがあります。
広い駐車場にはコンクリートの厚さだけでなく仕切りが必要
よく、家庭の駐車場スペースのコンクリートに、車1台~1台半ごとに区切りが入っているように見えることがあります。
それが伸縮目地です。
伸縮目地は、敷地の土の上に砕石を敷いた上に、ワイヤーメッシュやコンクリートを仕切るような形で垂直方向に施工します。
使用するのはスポンジ材の上部を補強材でふたをしたような仕切り材です。
このスポンジが、コンクリートの膨張や収縮を吸収するのです。
他にも、厚さ1センチ程度のアスファルト混合剤の仕切り板を施工する場合もあります。
弾性と粘性の両方を持ち合わせていて、繊維を配合していることで圧縮回復率も高い素材です。
そして、このような伸縮目地で区切るコンクリートの広さは、10~15㎡以上にならないように区切るのが一般的です。
これによって、高強度のコンクリートを、長期にわたって保つことができるようになります。
ただ、ひび割れを気にして伸縮目地を使いすぎると、土間コンクリートの区切られた部分ひとつ当たりの重量が軽くなりすぎてしまいます。
そうなると、車が乗ったときに、コンクリートが動いてしまったりする場合があるので、伸縮目地の入れ方にも適度な広さを保つことが必要となるわけです。
10~15㎡ですから、だいたい乗用車1台~1台半というのが目安といえるでしょう。
駐車場のコンクリートの厚さで費用が大幅に変わる
駐車場スペースのコンクリートの厚さや伸縮目地の入れ方はバランスが大事とお伝えしました。
しかし、強度のことを考えると、もっと敷石を厚くして踏み固め、ワイヤーメッシュやコンクリートを厚くした方がよいのではと考えるかもしれません。
たとえば敷石15センチ、ワイヤーメッシュ13ミリの鉄筋の2段施工にし、コンクリートの厚さを25センチにすれば、その方が強いのは間違いないでしょう。
ちなみにこれは、大型トラックに適した施工なので、住宅に用いれば完璧と思うかもしれません。
ただ、そうなると、コンクリートの流し込みに生コンのポンプ車が必要となるなど、施工にかかる費用が跳ね上がり、大掛かりな工事になります。
また、コンクリートが固まる時間も1週間以上かかるなど、施工期間と費用に跳ね返ってきます。
そう考えると、やはり最適なのは、一般的な乗用車に適した強度とバランスにあった施工ということになってくるでしょう。
そこで気をつけないといけないのは、施工する業者の選択といえます。
家や駐車場は一生ものです。
ただ安くて早い施工では、後になって大変なことになります。
適正な厚さや材質のコンクリートで適正な工事のできる業者を
業者の中には、住宅の販売価格が決まっているのだから、原価をさらに安くあげて儲けを得ようとする悪徳業者もいます。
一概にすべてが悪徳業者とはいえませんが、駐車場に強度の低いセメント以外の材料をたくさん混ぜ込んだ安いコンクリートを使う業者もあります。
また、前述のようにコンクリート施工であっても、コンクリートの厚さが薄すぎるとひび割れ、そこから水が浸入し、土台を侵食することもあります。
ただ、完工までの施工途中のやり方に関しては、業者しか知りようがありません。
そのため、ただ安く早く仕上げようとする悪徳業者ではなく、適正価格できちんとした施工をする業者を見極めることが必要といえるでしょう。
また、土地によっては地盤の固さに違いがあります。
もともと住宅用地であれば地盤は固いかもしれませんが、畑や農地などの場合は土がやわらかく、コンクリートを施工しても、地面にめり込む可能性があります。
駐車場だけではありません。
そうなると家などの建物に被害が及ぶ可能性もあるのです。
このような地盤の調査をしっかり行い、期間をとって地盤に適した基礎工事を行う業者であれば、駐車場の施工も安心して任せられるでしょう。
駐車場の施工ひとつとっても知識をもって業者に向き合おう
家を建てるというときは、どうしても建物ばかりに目が向きがちになります。
しかし、駐車場ひとつとっても、その用途に適した施工法があり、不適切な施工では後になって問題がでてくることがあります。
また、駐車場に不備がある施工業者では、建物にも不備があっても不思議ではありません。
顧客側も、一生ものの買い物をするわけですから、知識を持って適正な施工業者を選択することが大切といえるでしょう。