毎月の家賃を入居者が納めてくれれば問題はないですが、中には家賃滞納が発生してしまうトラブルもあります。
滞納した家賃を回収するためには、どのような方法をとるべきなのでしょうか。
また、連帯保証人に連絡するタイミングは、いつなのでしょうか。
家賃滞納している入居者にどう連絡する?
滞納といっても、理由は様々です。
たまたま支払い日を忘れていただけかもしれませんし、支払い日に突然入院してしまったのかもしれません。
こういったケースは除き、入居者が故意に家賃を支払わない、家賃滞納対策として、お話します。
経済的な理由で、家賃の支払いができなくなったケースも、故意に家賃を支払わない家賃滞納として含みます。
では、家賃を滞納している入居者には、どのような手順で連絡をしていけばよいのでしょうか。
①家賃支払い日から、およそ1~2週間の間に家賃の支払いがない場合、入居者に電話をしてみましょう。
②電話をしても連絡が取れない場合は、簡易書留で督促状をすぐに出しましょう。
③督促状を出してもなお、1週間ほど入居者の反応がない場合は、入居者の勤め先に連絡してみましょう。
ただし、家賃滞納の事実を勤務先に告知してはいけません。
④ここまででも、入居者の反応がないときは、連帯保証人に電話します。
⑤連帯保証人も連絡がつかない場合は、連帯保証人に督促状を出します。
⑥最終的には、入居者と連帯保証人に内容証明を同時に出します。
ここから先は話し合いになりますが、話し合いにならないようであれば、訴訟ということになります。
家賃滞納した場合を考えて対策をしよう
契約当初は家賃の支払いに何ら問題はなくても、賃貸借契約は長期間に及ぶ契約です。
入居者本人が家賃滞納しないことが一番ですが、突然入居者の環境が変わり、家賃の支払いができないといった状況になるかもしれません。
一度や二度の滞納で「すぐに出ていけ」とは言い出しにくく、どんどん滞納していくばかりで、大家さんは、さぞかし困っていることでしょう。
大家さんである貸主は、こいったリスクが起こることを考えなければなりません。
そのためには、対策をしましょう。
ひとつの対策として、契約時に敷金を少し多めに支払ってもらう方法があります。
競合物件との競争がある賃貸物件では、現実的な方法ではありませんが、敷金から滞納した家賃を補てんするのは有効な対策です。
もうひとつの対策は、入居者と同じ責任を負う役目の連帯保証人を、契約時につけてもらうことです。
先ほどお話した通り、滞納している入居者と連絡がとれないときに、連帯保証人は重要になってきます。
入居者が滞納している事実を連絡し、滞納した家賃を請求することができるからです。
連帯保証人とは
連帯保証人は、家賃滞納している入居者と同様の義務を負う責任があります。
その義務とは、以下の内容です。
①大家さんは、仮に家賃滞納している入居者に財産があったとしても、連帯保証人にも督促可能です。
つまり、大家さんは、入居者より先に連帯保証人に請求することが可能なのです。
また、大家さんからの請求に対し、連帯保証人は返済の義務があります。
ちなみに、保証人の場合は、「本人に請求して」と言える権利があります。
②家賃滞納している入居者に収入や財産があったとしても、先に請求されたら、連帯保証人は支払いをする義務があります。
③家賃滞納額が50万円だとした場合に、連帯保証人が2人居たとしても、「半分の25万だけ支払う」といった、分割提案が連帯保証人は不可能です。
大家さんは1人の連帯保証人に対して、滞納している金額を「全額支払ってください」と連絡し、請求することができます。
ただし、連帯保証人の責任範囲の制限など、民法改正によって改正することもあります。
大家さんも、こうした情報はいち早くキャッチしましょう。
家賃滞納の連絡を連帯保証人にはいつする?
大家さんが気がかりなのは、入居者が家賃滞納した場合、どのタイミングで連帯保証人に連絡するかです。
冒頭でお話した通り、一度や二度の滞納で「すぐに出ていけ」とは言い出しにくいものですが、滞納している事実は早めに伝えるべきです。
滞納している本人に促し、改善しない様子ならば、滞納額は増えていくばかりです。
大家さんの精神的な負担もありますが、滞納している入居者にとっても、どんどん負担がかかってきます。
また、早めに請求することで、うまれる効果もあります。
まず、連帯保証人に家賃の滞納の事実を連絡することで、入居者が責任を自覚してくれる効果です。
通常であれば、連帯保証人になる人は身近な人が多いので、入居者も「迷惑をかけたくない」といった心理が働き、早期回収が見込めます。
そして次の効果として、連帯保証人からの支払いが受けやすくなります。
大家さんや入居者の負担が大きくなるのと同じように、滞納金額が増えれば増えるほど、連帯保証人の負担も増えていきます。
滞納額が増えないためにも、早めに連絡するとよいでしょう。
家賃滞納をしたときの連帯保証人の契約期間
家賃を滞納している入居者と同等の責任がある連帯保証人ですが、この責任は一体いつまで継続し続けるのでしょうか。
一般的な賃貸借契約は契約期間があり、こうした期間中に解約しない場合は、更新していきますよね。
この場合、連帯保証人の責任も継続していく可能性が高くなります。
つまりは、入居者が退去しない限り、賃貸借契約が完全に終了するとは言えないため、連帯保証人は責任を負い続けることになるのです。
ですが、連帯保証人の責任が制限される可能性があるケースもあります。
それは、家賃滞納額が膨れ上がっているにも関わらず、対応をしないまま突然、連帯保証人に多額の請求をした場合です。
こういった意味でも、先ほどお話した通り、家賃滞納時は、早めに連絡することが大切なのです。
入居者の立場や支払い能力も、もちろん重要です。
しかし、連帯保証人についても同じように、重要視すべきことだと言えるのではないでしょうか。
賃貸借契約を結ぶ際には、しっかりと確認しましょう。
大家さんが督促の連絡をしないで済む方法
入居者が家賃滞納をすれば、大家さんは督促業務をしなければならなくなります。
しかし、こうした督促は、気を使いながら進めていかなければならず、大家さんにとってはストレスの元です。
この督促業務を、大家さんがしないで済む方法があります。
☆賃貸保証会社
入居者から保証料を支払ってもらい、連帯保証人の代わりをしてくれる会社です。
連帯保証人がいない・頼めない、といった状況である入居者でも部屋を借りられるので、入居者にもメリットがあります。
そして、大家さん側としても、入居者や連帯保証人に連絡しなくてもよいため、手間がかからず回収ができるのです。
保証会社は、家賃の滞納を確認し、入居者の代わりに家賃を立て替えて支払ってくれます。
これを、「代位弁済」と言い、入居者への督促は保証会社が請け負ってくれるのです。
滞納を繰り返し、長期にわたって滞納している入居者については、訴訟や立ち退きなどの業務もしてくれます。
デメリットと言えば、保証会社が倒産してしまうリスクがあることと、保証契約が解除になってしまうということです。
また、保証範囲外の損害は保証してくれないので、気をつけましょう。
多額請求にならないために
入居者が、家賃を滞納してしまう理由は様々です。
なかには滞納したくないのに、支払えないといった環境になってしまう人もいます。
大家さんとしては、支払いを待ってあげたい気持ちはあるかもしれませんが、滞納に滞納を重ねても、良いことはひとつもありません。
これは大家さんだけでなく、滞納している入居者や連帯保証人にも言えることです。
早めに対応していきましょう。