家賃の支払いは前払い・後払いどっち?決まりはあるの?

賃貸住宅に住む場合、多くの人が疑問に思うことがあります。

それは「家賃は前払い、後払いどっちか」ということです。

特に退去時には、家賃をどのようにしたらいいのか困ってしまいますよね。

そこで、家賃は前払い・後払いどっちなのか、退去時の家賃についてなどご説明していきます。

家賃の支払い方は前払い・後払いどっちが多い?

家賃の支払いは「前払い」と「後払い」のどっちが多いのでしょうか。

これは「前払い」の方が多いです。

賃貸住宅を契約する際には、敷金や礼金といった初期費用がかかります。

その初期費用の中には、「家賃1ヶ月分」などという項目もあります。

これは「翌月分の家賃」を指しています。

例えば、家賃の支払い日が月末、仮に3月31日としましょう。

入居日が3月15日なのであれば、初期費用での家賃の支払いは15日以降を日割りで計算した分と、さらに翌月の4月の家賃も払うことになります。

そして、4月の支払いでは5月分の家賃を支払うことになります。

このように、入居時からずっと翌月分の家賃を前払いしていくのです。

ちなみに、家賃の後払いというのは、「まったくない」とまでは言えないものの、ほとんどありません。

とはいえ、家賃が前払いか後払いかは物件によって異なり、希望した賃貸住宅を借りる際に必要になる「賃貸借契約書」の内容に従うことになります。

なお、特に記載がない場合は、後払いになります。

退去時の家賃はどうなる?

家賃が後払いであることは少なく、多くは前払いであることがわかりました。

前払いでの賃貸契約の場合、退去する際にはその月の家賃は前月に支払っているので、その月に家賃の支払いは発生しません。

また、退去時の家賃の支払い方には、一般的に以下の2種類があります。

・日割り
・月割り

これらはそれぞれの場合で、退去時の費用は大きく変わります。

例えば、月末が家賃の支払い日で3月15日に退去するとしましょう。

この場合、日割りであれば3月1日から3月15日までの家賃を日割り計算をして支払いを行います。

一方月割りの場合では、3月分の家賃すべてを支払うことになります。

そのため、こちらの場合は退去日は月末にしたほうがいいでしょう。

また、月割りの場合に注意しておきたいことがあります。

それは、引っ越し予定が月をまたいでしまったときです。

1日でも月をまたいでしまうと、その月の分の家賃を全額支払わなければならなくなります。

この場合、住んでいない分の家賃を払うことになるため、経済的な面だけでなく、精神衛生的にもよくないでしょう。

家賃を前払いすれば無職でも住むことができるの?

一般には初期費用から、毎回家賃を前払いしていくと述べましたが、家賃を後払いするのと比べて、無職の方でも住むことができそうな気がしますよね。

しかし、そうとも言えません。

大家さんなどからすれば、長く安定して借りてくれる人に部屋を貸したいと思うのは当然です。

そしてその判断基準として、定職に就いているか、つまりきちんと収入があるかということは重要です。

そのため、仮に数ヶ月や1年分の家賃を前払いするとしても、その後の心配から、定職に就いていないと部屋を借りられない可能性があります。

しかし、中には無職で賃貸住宅を探している方もいらっしゃるかもしれません。

そのような方が賃貸住宅に住むためには、3つの方法があります。

無職の方が賃貸住宅に住む方法

では、無職の方が賃貸住宅に住むための方法をご紹介していきましょう。

【代理契約】

この方法は、賃貸住宅に住む本人以外が契約を行う方法です。

無職の方は収入がないため、家賃の支払いが滞ることを危惧されます。

そのため、きちんと収入のある代理人が契約することで、安心して契約が行われるのです。

この場合にも家賃は前払いであることがほとんどです。

【預貯金審査】

銀行に預貯金がどれくらいあるのかを審査してもらうことです。

もし現在無職で収入がなくても、十分な預貯金があれば家賃が払えるため、「家賃を支払うだけの預貯金があるか」の審査になります。

では、具体的にはどのくらいの預貯金があれば審査が通るのでしょうか。

例えば、家賃5万円の賃貸住宅に住むことを考えているとしましょう。

預貯金審査では家賃25ヶ月分が相場となっているので、この場合では125万円が必要になってきます。

仮にもう少し家賃が低いとしても、このように25ヶ月分となると結構な金額になります。

そのため、この方法で賃貸住宅に住むことを考えている場合には、あらかじめ十分に貯蓄をしておく必要があるのは言うまでもありません。

この場合も家賃は前払いであることが多く、後払いはほとんどありません。

【定期借家契約】

これは、決められた期間で契約が終了するというものです。

この契約を結んでいる期間中は解約することができず、また契約終了後に立ち退くように要求された場合にはそれに応じなければなりません。

ちなみにこの場合、借主側に不利な契約となるため、敷金や礼金などの金額は低くなる場合があります。

家賃後払いのメリットとは

ここまで、「家賃は前払いがほとんどで、後払いは少ない」ということをお伝えしました。

採用されることの少ない家賃の後払いですが、この場合にメリットはあるのでしょうか。

大きなメリットは1つあります。

それは「家賃の支払いを焦らなくてもいい」ということです。

借主からすると大きなメリットですよね。

ただ、家賃後払いの賃貸住宅では、退去費用は原状回復の費用とその月の家賃が必要になってきます。

また、実は管理会社が前払いで受け取った家賃は、大家さんには後払いで支払われます。

つまり、前払いでの家賃は、1ヵ月は管理会社の資金となっているのです。

例えば、3月20日に家賃を借主が支払ったとします。

そうすると、4月20日に大家さんの手に家賃がわたるのです。

そのため、万が一管理会社が倒産してしまうと、当然この家賃は大家さんの手にわたることはなくなります。

家賃の後払いでは、このようなことはありません。

前払いが一般的でも民法では後払い

述べてきたように、家賃は前払いであることがほとんどですが、賃貸住宅に住むための契約で交わされる「賃貸借契約」の一般的なルールを決めている「民法」では、家賃の支払い方は「後払い」ということが原則とされています。

このことは、民法第164条に「当月分を毎(当)月末に払うことを要す。」と記載があります。

しかし、賃貸住宅の契約の場で使われる「賃貸借契約書」では、「翌月分を月末までに支払う」ということが記載されている場合が多いです。

このように記載がある場合には、この契約書に従わなければなりませんので、民法第164条は適用されません。

そのため、賃貸借契約書に前払い・後払いの記載がない場合には「後払い」になるのです。

家賃は前払いが一般的

ご説明してきたように、家賃は前払いが一般的です。

しかし、民法からも分かるように、「必ず家賃は前払いでなければならない」というわけでもありません。

大家さんや管理会社へ家賃の支払いが滞ると困るので、前払いになることが多いのです。

前払い・後払いのどちらにしてもトラブルを避けるために賃貸借契約書はしっかりと目を通しておくことをおすすめします。