サイディングの釘打ち部からヒビが!その原因と補修方法は?

現在、住宅のほとんどに窯業系のサイディング外壁が採用されており、種類の豊富さから外観のおしゃれな演出をも担っています。

しかし、耐久性に優れるサイディングでも、経年による劣化はどうしても避けられず、釘打ち部分からヒビ割れが生じてしまうこともしばしばです。

そこで、この記事では、窯業系のサイディングの基礎知識から、ヒビ割れの原因や補修について詳しくご説明していきます。

サイディング外壁とは?

冒頭でお伝えしたように、現在日本で採用されている外装材は、そのほとんどが窯業系のサイディングです。

サイディングとは、住宅の外壁を形成する外装材の一種で、主な原料としてセメント質と繊維質が使われています。

サイディングボードとも呼ばれ、パネル状の板を何枚も並べることで壁を形成します。

ひと昔前は、外壁材としてモルタルがメジャーだったのですが、左官職人不足の背景や塗装の手間、コスト性などが考慮され、現在ではサイディング外壁が主流になっています。

また、窯業系のサイディング以外にも、金属系、木質系、樹脂系などの種類があります。

中でも窯業系は、バリエーションの豊かさから、外壁の印象をよりおしゃれに演出することができるため、サイディングの中では最も人気の高い外壁になっています。

しかし、そんな魅力の一方で、経年劣化などの影響から、釘打ち部にヒビ割れが生じるケースも少なくありません。

ヒビ割れの状態によっては、雨漏れなどが原因になる可能性もあるので、定期的な点検やその補修は非常に重要です。

釘打ち部分のヒビ割れが気になる!窯業系サイディングの特徴は?

今やほとんどの住宅に採用されている窯業系サイディングには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

それぞれを以下にまとめてみましょう。

【メリット】

・耐火性、耐震性、耐久性に優れている

・デザインの種類が豊富で、柄を選ぶことができる

・導入コストが安く、高品質

【デメリット】

・蓄熱しやすい

・塗料の劣化により水を吸収しやすくなる

・釘打ち部からヒビが生じやすい

・メンテナンス費用が高い

以上のように、窯業系サイディングの魅力は、デザインの豊富さと低コストで高品質な点にあります。

外観が単調になりがちなモルタルと比べると、やはりデザイン性の高さが人気を集める理由でもあるでしょう。

しかし、その一方で、サイディング自体の吸水性が高いことが欠点で、釘打ち部分からヒビ割れが起こりやすくなります。

状況によっては、メンテナンス費用も高めについてしまうので、その点についてはよく理解しておく必要があります。

釘打ち部分のヒビ割れはなぜ起こる?

前項では、窯業系サイディングのメリット・デメリットをご説明してきました。

耐久性、耐震性に優れた窯業系サイディングですが、なぜヒビ割れが生じてしまうのでしょうか。

まず、前述したように、窯業系サイディング自体には防水機能がないため、表面を覆う塗装によって防水機能を施しています。

しかし、経年によって塗装が劣化してしまうと、防水機能が衰えてしまい、サイディングの特性によって雨水を吸水してしまいます。

そして、一年を通した寒暖の差を繰り返すことで、収縮と膨張を繰り返し、サイディング本体にヒビ割れが生じてしまうのです。

さらに、釘が打たれている周辺は劣化しやすく、多くのヒビ割れが起こりやすい傾向にあります。

とりわけ、釘の打ち込みが正しく行われていない場合などはヒビ割れの原因となります。

また、サイディング外壁の中で最も劣化しやすい部分は「シーリング」です。

「シーリング」とは、ゴム材のような柔らかい部分で、サイディングボードの隙間を塞いで雨水などの侵入を防ぎます。

そのため、このシーリングに不具合が出た場合は、早めにメンテナンスをすることで、他の部位へのヒビ割れを防ぐことができます。

釘打ち部分のヒビ割れを放置するとどうなる?

窯業系サイディング外壁のヒビ割れは、塗装の劣化や釘打ちによる影響が原因であることが分かりました。

では、仮にそれを放置してしまうとどうなるのでしょうか。

ヒビ割れを放置した場合に起こる、建物への影響は以下の通りです。

・サイディング本体の劣化

ヒビ割れによる劣化が悪化してしまい、サイディング本体の取り替えが必要になります。

・下地材や構造体の腐食

雨水の侵入により、サイディングの下地材が腐食する恐れがあります。

また、長期間の放置は、下地材だけでなく建物の構造体にまで雨水が浸透してしまいます。

これによって、建物の耐久性が損なわれるばかりか、シロアリの発生リスクも高まり、単なる補修処置だけでは済まなくなる可能性もあります。

以上のように、ヒビ割れの放置は、場合によっては住宅自体に深刻なダメージを与えます。

劣化の進行に伴って改修コストも高くなるので、楽観視することのないように、早めの対応が求められます。

サイディングのヒビ割れを補修したい!その方法と手順

これまでに、窯業系サイディングのヒビ割れについてご説明してきました。

サイディングのヒビ割れや不具合に気付いたら、早め早めの補修が必要で、大がかりになるほど当然費用も必要になります。

しかし、ピンポイントでの修復であれば、コストも安く抑えることができ、他の部分への影響も予防することができます。

サイディングの補修は、基本的に業者に依頼することをおすすめしますが、セルフで補修をしたい方は以下を参考にしてください。

①まず、ヒビ割れ部分をカッターでV字に削る

②ブラシなどを用いて削ったV字をきれいに掃除する

③V字部分にプライマーを塗布していく

プライマーによって、シーリングと下地の接着効果を高めます。

④ヘラなどでパテを埋め込み、補修用の塗料によって保護する

以上の手順で、部分的なヒビ割れを補修してください。

また、上記以外にも、ヒビ割れの切れ目にドリルで穴を空けることで、パテを詰める方法もあります。

ヒビ割れは、釘打ち部分などをもとにどんどん進行していくので、この方法によって進行を止めることができます。

サイディングの補修はできるだけ業者に依頼を!

前項では、窯業系サイディングのヒビ割れ補修の手順をご紹介してきました。

サイディングの補修は、業者に依頼した場合はおよそ20~40万円かかるため、コスト面を考慮した場合は自分で補修するのもありでしょう。

しかし、前述したように、ヒビ割れの補修をするにあたっては、やはり業者に依頼するのが無難と言えます。

と言うのも、自分で行う補修にはそれ相応な知識が必要になり、結局業者に依頼することになるなど、二度手間になる場合があります。

たとえば、以下のようなことが考えれるでしょう。

・仕上がりにムラができてしまい、何度もやり直すことになった

・ヒビ割れの補修が十分にできておらず、釘打ち部分からヒビが再発した

・プライマーやコーキングに対する知識が不十分だったため、間違ったもので充填してしまった

このように、補修したつもりが不十分であったり、見栄えが悪くなるなどの失敗談もあります。

確実にヒビ割れを直すためにも、できるだけ業者に依頼して補修してもらうのが良いでしょう。

気が付いたら早めの補修を

窯業系サイディングは、その耐久性やデザインの豊富さから、住宅の外壁として不動の人気を誇っています。

しかしその一方で、サイディング自体に防水機能がないため、塗装が経年劣化することで、ヒビ割れのような不具合が生じてしまいます。

気が付いたら早めに補修をするように心がけ、より快適な住まいを保っていきましょう。