引っ越しをする時は、何かと物入りです。
少しでも節約して、余分なお金を掛けたくないですよね。
そんなとき、家賃の支払いが気になりませんか。
月初などで途中退去する場合、最後まで住みきっていないことになりますが家賃はどうなるのでしょう。
この場合、何も言わなくても日割り計算してもらえるのでしょうか。
そのような退去時に気を付けたいことを、これからご紹介しましょう。
賃貸物件を退去するときに気を付けたいこと
引っ越しが決まったら、まず確認しなくてはならないのは、「賃貸契約書」です。
「賃貸契約書」のなかで、まず確認しなくてはならないのは、大家さんや仲介業者さんに退去することを「いつまでに知らせるか」です。
退去の知らせを「1か月前」・「60日前」にするという契約もあれば、なかには「3か月前」という場合もあります。
これは契約ごとに違うので、必ず確認しておきましょう。
この「いつまでに知らせるか」は、家賃をいつまで支払うのかということに大きくかかわってきます。
知らせることが遅れた場合は、家賃を1か月分支払わなくてはならなくなります。
きちんと期日前に知らせれば、そのあと家賃の日割り計算のことも交渉しやすくなるでしょう。
また「どういう形で」知らせるのかも重要で、書面でなのか、電話だけでよいのか、それも合わせて確認しておくと確実です。
もし、「賃貸契約書」を紛失してしまい、手元にない場合は、大家さんや仲介業者さんにお願いしてコピーをもらっておきましょう。
手数料を取られる場合もありますが、コピーをもらうことはできます。
退去時の家賃「日割り」「月割り」「半月割り」って何?
ここからは、退去時の家賃についてお話しましょう。
退去月の家賃の計算方法には次の3つがあります。
それぞれ、その特徴についてご紹介します。
【日割り】
1か月の家賃を30日、もしくは31日で割って、入居する日数分だけ支払います。
また、実日数が31日でも、一律30日で計算する場合もあります。
例えば、家賃3万円で月30日で計算すると、1日の家賃は1千円になります。
1千円に入居日数を掛けると、日割りの家賃が計算できます。
【月割り】
家賃を1か月分、満額支払うことです。
この場合、1日に退去しても月末に退去しても、家賃の支払いは変わらず、1か月分になります。
【半月割り】
家賃を、1日~15日、16日~月末と、半月ずつに分けて、家賃の半額を支払うことです。
さきほどのように家賃3万円で計算すると、半月で1万5千円になります。
しかし、16日に退去すると半月にはならず、家賃を満額支払わなければなりません。
このようなことから、退去時の家賃支払いについては、退去前に「賃貸契約書」でしっかり確認しておきましょう。
退去時の「家賃の日割り計算」ができるかは契約書を確認!
次に、「賃貸契約書」で退去前にチェックするのは、「賃料=家賃」の項目です。
この項目を確認した際、特に記載がない場合は、原則として家賃は日割り計算されます。
万が一、特に契約書に何の記載もないのに「退去月の家賃を1か月分支払え」と言われた場合は、どう対処すればいいのでしょうか。
その場合には、「契約書に退去する場合の家賃について明記していない」と主張して、1か月分の家賃の支払いを拒否することができます。
しかし、実際には、家賃は前払いのことが多いと思います。
支払ってしまったあとでの返金交渉は、現実には難しいでしょう。
こうしたことを避けるためにも、退去前の契約書確認は必要なのです。
契約内容を把握し、家賃を支払う前に、大家さんや仲介業者さんに確認しておくことが重要です。
そのうえで、日割り計算された家賃を支払う方がスムーズに退去できます。
また、契約書に「家賃の日割り計算はしない」と明記してあれば、これは事情がどうであれ、家賃を1か月分支払わなければなりません。
このことから、入居前の「重要事項説明」のときに、退去時のことも考えてしっかりチェックしておきましょう。
退去する日が決まったら「退去届」を提出する
さて、引っ越し先が決まり、家賃の日割り計算ができるかどうかも確認できたら、次は「退去届」を大家さんか仲介業者さんに提出しましょう。
引っ越し先の入居日が決まったら、すぐに提出してください。
遅れてしまうと退去のタイミングと入居のタイミングが重なり、どちらの家賃も支払うことになりかねません。
せっかく日割り計算をしてもらえる物件でも、「退去届」が遅れてしまったら、余分な家賃が発生してしまいます。
それでは、「退去届」の提出についてご紹介しましょう。
「退出届」または「解約届」とも言われ、賃貸物件の解約を届け出るものです。
大抵は、契約書類と一緒に受け取っているはずですが、仲介業者さんに問い合わせればもらえます。
記入事項について見てみましょう。
【解約日】
賃貸契約を解約する日です。
契約に定められた日数前に、大家さんや仲介業者さんに知らせておく必要があります。
解約日の当日まで家賃が発生しますので、注意しましょう。
【解約物件の情報】
解約する賃貸物件の物件名、住所、部屋番号、ご自分の名前、連絡先などです。
【解約理由】
転勤、就職、実家に帰る、など具体的に書きましょう。
【退去立ち合い日時】
大家さんや仲介業者さん立ち合いの元、原状回復などの物件チェックを行う日にちです。
【転居先】
退去後に郵送するものもあるので、その連絡先として必要になります。
このように「退去届」を書き、早めに提出しましょう。
退去時に「家賃の日割り計算はできない」と言われたら
さきほど、「契約書に特に記載がない場合は、原則として家賃は日割り計算されます」とお話しました。
しかし、「退去届」に関する書類の注意事項として「家賃の日割り計算はできない」と記載されていたらどうしますか。
この場合、署名捺印してしまったら、1か月分の家賃を支払うしかありません。
しかし、署名捺印前でしたら、きちんと問い合わせましょう。
「退去届」に関する書類でしたら、「賃貸契約書」や「重要事項説明書」のような効果はありません。
退去時に後出しで言われたら、混乱するかもしれませんが、冷静に対処しましょう。
また、契約書に「家賃の日割り計算はできない」と明記していないのであれば、前述のように「契約書に明記していない」と主張することは可能です。
いずれにしても、納得がいかない場合は、書類を提出する前に大家さんや仲介業者さんに問い合わせましょう。
署名捺印してしまったら、承諾したことになってしまうので、必ずその前に問い合わせてください。
退去するときに要チェック!「短期解約違約金」って何?
ほかにも、退去時に注意しなくてはならないものに「短期解約違約金」があります。
これを見逃していると、家賃の日割り計算どころか、違約金を支払わなくてならない場合があるので注意しましょう。
この「短期解約違約金」特別な物件につけられているものです。
「ゼロゼロ物件」というものを聞いたことはありませんか。
数年前から出てきた物件で、敷金礼金が掛からない、つまり0円なので「ゼロゼロ物件」と言われています。
初期費用を抑えているため、契約後1~2年未満で解約すると違約金が発生するというものです。
これは、通常礼金でまかなう諸費用を、家賃にプラスして少しづつ長い時間をかけて回収するシステムです。
ですから、入居してすぐに解約されると、その分の費用が回収できていないので違約金が発生するのです。
心当たりのある方は、ご自分が入居している物件に「短期解約違約金」がないかどうか、「賃貸契約書」をよく確認しておきましょう。
いずれは退去する「その日」に備えましょう
これまで、退去時の家賃についてご紹介してきました。
このように、退去のタイミングで家賃の支払いが大きく変わってきます。
入居するときには、退去するときのことまで考えが及ばないかもしれません。
しかし、こうしてみると賃貸契約時の確認がいかに重要なことか、おわかりいただけたかと思います。
賃貸物件に住むということは、いずれはそこを出なければなりません。
そのとき、トラブルを避けるためにも契約書の項目をしっかり把握しておきましょう。