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教えて!社宅の貸与に関する家賃や礼金、敷金の仕訳の方法

2018.6.18

社宅は、会社が従業員のために住宅を借り上げて、従業員に貸与する制度です。

会社にとっては福利厚生の手段といえますが、節税対策にもなり、両者にメリットのある制度といえるでしょう。

そんな社宅の家賃ですが、会計上はどのような仕訳をするのが適当でしょうか。

今回は、会社の経理の立場で社宅の家賃をはじめ、礼金や敷金に関する仕訳を勉強していきましょう。

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社宅の貸与と住宅手当では、同じ家賃補助でも所得税に違いがでる

住宅に関する福利厚生でよくあるのが、従業員が本人名義で借りた住宅に対して、会社が家賃の一部を負担する制度です。

これを住宅手当などといい、給与の一部として支給され、所得税の課税対象となります。

一方、社宅は前述のように、会社名義で借りた住宅を社員に貸す制度です。

大家さんへの家賃の支払いは会社が行い、家賃の一部を従業員から徴収することになります。

このとき、従業員から家賃を徴収せず無償で貸与すると、現物支給の給与とみなされ、住宅手当と同様に課税対象となってしまいます。

給与ではなく「社宅の貸与」として非課税扱いとなるのは、従業員から家賃相当額の50%以上を徴収する場合に限られるのです。

このような事情から、社宅を貸与している会社は、従業員から家賃の50%を徴収している場合が多いようです。

では、前提として、会社が家賃相当額8万円の住宅を借り上げ、従業員に貸与して、給与時に4万円を徴収している場合の仕訳をみていきましょう。

ちなみに、賃貸マンションなどでは家賃と別に共益費が課せられますが、共益費は家賃相当額に含まれるため、仕訳上は区別しないこととします。

社宅の家賃などの仕訳①礼金の支払いに関する仕訳

まず最初に、借り上げ社宅の貸与に関して仕訳をする取引は、時系列でいうと次のようになります。

①会社が、契約時に借り上げ社宅の礼金を大家さんに支払ったとき。
②会社が、契約時に借り上げ社宅の敷金を大家さんに支払ったとき。
③会社が、借り上げ社宅の毎月の家賃を大家さんに支払ったとき。
④会社が、従業員から借り上げ社宅の家賃を、給与天引きで徴収したとき。

まずは、①②の会社が社宅用の住宅を借り上げ、最初に大家さんに礼金と敷金を支払って契約する場合の仕訳をみていきましょう。

物件を借り上げるのは会社なので、礼金、敷金は会社が支払います。

礼金は、特に決まった勘定科目はありませんが、返金されないお金なので、会社は費用処理をします。

勘定科目は支払手数料や雑費などとします。

たとえば、家賃の1ヶ月分を礼金として振込で支払った場合の仕訳は、以下の通りです。

(借方)支払手数料 80,000/(貸方)当座預金 80,000

振込手数料を会社が負担した場合は、同じく支払手数料になりますが、摘要を分けて2段で仕訳する方がよいでしょう。

ちなみに、礼金が20万円未満であれば、当該年度に全額損金として費用処理することができます。

もし、20万円以上である場合は、法人税法上「建物を賃借するために支出する権利金等(税法上の繰延資産)」に該当します。

そのため、いったん繰延資産に計上したうえで、契約年数で償却していくことになります。

礼金を繰延資産計上して償却していく際の仕訳

礼金を繰延資産にする場合の例としては、たとえば上記の物件を5件借り上げ、5人の従業員に貸与していた場合などです。

この場合、礼金は家賃1ヶ月分の8万円×5部屋分で40万円になります。

そして、礼金支払いの仕訳は以下のようになります。

(借方)長期前払費用 400,000/(貸方)当座預金 400,000

償却する際の仕訳は、会社の会計年度と借り上げ時期、契約年数によってかわります。

たとえば、3月決算の会社で、当年10月1日に5年契約で社宅を借り上げたとします。

翌年の3月末に償却することになりますが、その際は、400,000円÷5(年)×6/12で、10月~翌3月までの6ヶ月間の月割り計算で償却額を計算します。

結果、初年度の償却額は4万円となり、仕訳は以下の通りです。

(借方)長期前払費用償却 40,000/(貸方)長期前払費用 40,000

翌年度からは1年分を丸々償却しますので、金額が80,000円となるわけです。

また、償却については、契約年数が5年未満の場合においては契約年数で償却しますが、5年以上の契約では、5年で償却することとされています。

社宅の家賃などの仕訳②敷金の支払いに関する仕訳

社宅の敷金についてですが、敷金は退去時に返金されるお金です。

そのため、支払ったときには費用ではなく、敷金や差入保証金など資産(投資その他の資産)として計上します。

家賃1ヶ月分の敷金を支払った際の仕訳は以下の通りです。

(借方)敷金 80,000/(貸方)当座預金 80,000

そして、退去時に敷金が戻ってきた場合には、逆仕訳をしますが、原状回復費用などを差し引かれる場合があります。

この場合は、差し引かれた金額を修繕費などとして費用計上します。

たとえば、敷金80,000円のうち20,000円が原状回復費用として差し引かれて、60,000円が返金された場合の仕訳は以下の通りです。

(借方)当座預金 60,000 修繕費 20,000/(貸方)敷金 80,000

なお、消費税の扱いに関してですが、消費税法上、居住用建物の賃借に関しては通常消費税は非課税になります。

つまり、家賃や礼金は非課税仕入れになりますが、敷金は少し違います。

敷金は一時的にお金を預けているだけで、資産の譲渡等の対価ではありません。

したがって、課税対象外(不課税)となります。

社宅の家賃などの仕訳③毎月の家賃の支払いに関する仕訳

次に、③の会社が毎月の家賃を大家さんに支払った場合の仕訳をみてみましょう。

家賃は地代家賃や社宅家賃、または福利厚生費などで費用処理します。

前述のように、社宅は住宅の一種なので、消費税法上家賃は非課税仕入になります。

仕訳は以下の通りです。

(借方) 地代家賃 80,000 /(貸方)当座預金 80,000

ただ、家賃は通常翌月分を前払いすることが多いため、実際には翌月の費用を前月に支払っていることになります。

そのため、支払ったときは前払費用で処理し、翌月月初に地代家賃に振り替えて前払費用を取り消します。

支払い時の仕訳(借方) 前払費用 80,000/(貸方)当座預金 80,000

翌月月初の仕訳(借方) 地代家賃 80,000/(貸方)前払費用 80,000

このようにしておくことで、月次決算の際に各月の費用が正確に把握できます。

ちなみに、最初に礼金や敷金を支払って契約する際にも、一般的には前払い家賃の支払いを求められますので、この仕訳が必要となってきます。

社宅の家賃などの仕訳④従業員から家賃を徴収する際の仕訳

最後に、④の従業員から社宅の家賃を徴収する際の仕訳をみていきましょう。

社員から徴収する金額は、家賃の50%なので、40,000円となります。

勘定科目は、家賃を支払ったときの地代家賃のマイナスとして処理するか、営業外収入として受取家賃や雑収入で処理するかのどちらかです。

仕訳は以下の通りです。

(借方)当座預金 40,000 /(貸方)受取家賃 40,000

また、給与が翌月払いなどの場合は、月末に未払費用を計上する際に、借方を給与として受取家賃を以下のように計上します。

(借方)給与 200,000/(貸方)未払費用 140,000 預り金 20,000 受取家賃 40,000

ところで、従業員から家賃を受け取る際の仕訳でポイントとなるのは、消費税の区分です。

消費税は、受取家賃の場合でも、地代家賃のマイナスの場合でも、非課税売上とします。

地代家賃のマイナスであるから、非課税仕入れのマイナスなどとしてはいけません。

間違えてしまうと、消費税の仕入税額控除の計算の際に、課税売上割合などに影響を及ぼすかもしれません。

安全策をとるなら地代家賃は使わず、受取家賃を使用し、会計ソフトなどで受取家賃に非課税売上を紐づけして登録しておくとよいでしょう。

つまり、社宅の家賃に関する仕訳は、この消費税区分がひとつのポイントといえるでしょう。

社宅に関する仕訳は消費税区分がポイントとなる

単に社宅に関する仕訳といっても、お金が動く際には、すべて性質の違う取引が発生しています。

しかも、金額によって費用計上するか、資産計上して償却していくかが変わったり、取引の性質によって消費税区分が変わります。

仕訳の際には、勘定科目に関しては絶対の規定はありませんが、金額には注意を払わなければなりません。

また、一番のポイントは消費税で、区分を間違わないように正確に仕訳することが必要ですね。

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