木造住宅の間仕切り壁の役割、厚さが影響するポイント

家を建てた方、建てる計画をした方であれば「間仕切り壁」という言葉をご存じだと思います。

木造住宅に限らず、鉄骨造やRC造にも間仕切り壁はあります。

しかし、この間仕切り壁の「厚さ」が影響する範囲は意外と知られていません。

そこで今回は、間仕切り壁の役割と、その厚さにかかわるポイントをご紹介していきます。

「間仕切り壁」って何?

間仕切り壁とは、部屋を仕切る固定された壁のことです。

木造住宅でも、鉄骨住宅でも、部屋と部屋を仕切っている壁を間仕切り壁と言います。

ある程度決まった厚さのある壁で、強度や防音性を持っています。

間仕切り壁の目的は、用途に応じて空間を仕切ることです。

特に居間と寝室、洗面所やトイレなどプライベートな空間を仕切るのに重要な役割を果たします。

日本の高度経済成長期からバブル期にかけて作られた住宅は、間仕切り壁の多い住宅です。

用途ごとに部屋を細かく区切り、プライベートが確保できるようになっていました。

近年の住宅は、大きなLDKや子ども部屋などは一つのまとまった空間とすることが多く、間仕切り壁は少なくなりつつあります。

ですが例えば、お風呂や洗面所、トイレ、寝室、納戸などのプライベートな空間は、家族以外の人に見られたくないですよね。

そのような部屋には、間仕切り壁は必須といえます。

それこそ、オシャレな雑誌に載るような住宅は、お風呂も寝室も一続きになっているところもありますが、よほどの覚悟がない限り住むのは難しいでしょう。

商業施設やオフィスビルも用途を確実に区切るのに使います。

事務所や会議室、倉庫等、用途に合わせて間仕切り壁で部屋を区切ります。

木造住宅の間仕切り壁の一般的な厚さ

間仕切り壁は、建物の内部空間を仕切るための壁です。

木造住宅の間仕切り壁は、大きく分けて2種類です。

「大壁」と「真壁」に分類されます。

大壁は、柱の上にプラスターボードなどを直接貼り仕上げる方式です。

仕上がると柱が見えません。

大壁の場合、木造住宅の間仕切り壁の一般的な厚さは13cmです。

10.5cmの柱、間柱の両側に1.25cmのプラスターボードを貼ります。

柱の太さが12cmだと14.5cmの間仕切り壁になります。

柱、間柱に直接プラスターボードを貼らず、胴縁材を取り付けてからプラスターボードを貼る場合もあります。

このとき使う胴縁は厚み1.5cmですので、一般的な厚さより3cmほど厚くなります。

仕上げを塗装や塗り壁で仕上げる場合によく使われます。

胴縁を取り付ける利点は、壁の仕上がりが良くなることです。

また長期間にわって壁のひび割れが出にくくなります。

真壁は、柱と柱の間に壁を作る方式です。

仕上がると柱と壁の両方が見えます。

真壁の場合、木造住宅の間仕切り壁の一般的な厚さは柱と同じ10.5cmです。

大壁と違い、柱のほうが出っ張っているので柱の寸法が間仕切り壁の厚さです。

真壁の壁仕上げは、上等な仕上げとする場合は左官塗りで仕上げます。

最近は、手入れが簡単なクロス仕上げとする場合が多くなっています。

大壁も真壁もある程度の厚みはありますが、一般的には大壁のほうが厚くなります。

間仕切り壁の厚さが部屋の広さに影響する理由

木造住宅に限らず、間仕切り壁は部屋を区切ってプライベートを確保するのに必要です。

その「間仕切り壁の厚さ」と「通り心」は、部屋の広さに影響します。

この2つのサイズは、ハウスメーカーや工務店によって違います。

ご自宅を建てられた方、もしくは検討されている方は、希望の間取りを作るのに方眼紙に向かって「ああでもない、こうでもない」と頭を悩ませた方は多いでしょう。

部屋の配置には本当に気を使います。

実際の図面では、方眼紙のマス目がちょうど通り芯に当たります。

この通り芯の中心に、部屋ごとの間仕切り壁を作るわけですが、壁の厚さによって部屋の広さが決まります。

木造住宅の間仕切り壁の厚さは、13cmか14.5cmが一般的です。

壁が厚ければその分部屋は狭くなりますので、わずか1.5cmの差でも家具を配置するのに苦労します。

また、廊下は両側の間仕切り壁の厚さ分狭くなるので、でき上がると狭く感じる方もいます。

同じ部屋でも、間仕切り壁の厚さを変えることで部屋の広さが変わるのです。

木造の間仕切り壁の厚さが薄いと音を良く通すと言われる理由

住宅やアパートなど、木造で作られた間仕切り壁の厚さが薄いと音を良く通すと思われがちです。

でも本当は違います。

壁が薄いからではなく、壁の中身に隙間が多いために音が良く聞こえてくるのです。

壁が音を防ぐ性能は、「遮音性能」と呼ばれます。

壁の中身に隙間が多いと、どんなに壁自体の厚さを厚くしても遮音性能は変わりません。

壁の中が詰まっているほうが遮音性能は良くなります。

これは間仕切り壁が薄くても、厚くても変わりありません。

間仕切り壁の遮音性能を上げるには「プラスターボード」を2重に貼るか、遮音材を入れる必要があります。

トイレやお風呂などのプライベート空間の音漏れを防ぎたい場合や、寝室など静かに過ごしたい部屋を作る場合には、壁に遮音材を入れたりプラスターボードの厚みを厚くすると効果的です。

遮音性能を後から上げることは難しくなります。

住宅の計画段階で計画しておくことが重要です。

木造・鉄骨造・RC造~構造により間仕切り壁の厚さが違う理由

新築木造住宅を建てた方は気づかれたかもしれません。

以前住んでいたのがマンション・アパートの場合、木造住宅の間仕切り壁とは厚みが異なることが多くあります。

木造・鉄骨造・RC造などの構造によって、間仕切り壁の厚さが違う理由は2つあります。

1.間仕切り壁に使う材料の違い

間仕切り壁に使う材料で厚みが変わります。

クロスの下地になるプラスターボードはどこでも同じ寸法ですが、中心材は間仕切り壁に合わせて変更します。

また、木造でよく使われる「間柱」は厚み10.5cmです。

鉄骨造やRC造で使われる「スタット」は4.5cm~6.0cmの厚みがあります。

このように使う材料によって間仕切り壁の厚みが変わります。

2.間仕切り壁が構造体を兼ねている場合

木造住宅や木造アパート、RC住宅に多く見られますが、間仕切り壁が構造体を兼ねることが多くなります。

木造の場合、中に柱が入りますのでそれ以上薄くできません。

一般的な厚さは13cmか14.5cmです。

RC造や鉄骨造の間仕切り壁は、木造より制約が多く仕上げも多彩で壁厚が厚くなる傾向があります。

これらの厚さは、18cm~26cmが一般的です。

以上のことから、建物の構造によっても、間仕切り壁の厚さは違うのです。

間仕切り壁を薄くして部屋を広くしたい場合

一般的な木造住宅の間仕切り壁の厚さを薄くして、部屋の広さを確保したいと思う方は多いですが、かなり困難です。

木造住宅の間取りを考えるとき、設計士さんは地震に負けない構造的な側面も一緒に考えます。

木造住宅の間仕切り壁に使われている柱は構造柱も兼ねているので安易に細くできません。

どうしても薄くして部屋を広く取りたい場合、大きな部屋を作って後から間仕切りを作る方法があります。

部屋の間仕切りを構造壁と兼用としまうと、どうしても柱の太さ以上に薄くはできません。

反対に構造壁にしなければ、使う柱の太さを細くできるので部屋の広さを広くすることができます。

実例では、4.5cmの柱を使い両側に1.25cmのプラスターボードを貼ります。

こうすることで一般的な厚さの半分程度の厚みになるのです。

ただし、この方法は容易ではありません。

間仕切り壁は構造壁と併用することが多いので、変更したいと思ったときにすぐに変更できるものではないのです。

そのため、設計士さんと十分に相談して決めることが重要です。

間仕切り壁の役割を把握して上手な空間づくり

今回は木造住宅を中心に、間仕切り壁の役割と厚さが影響するポイントについてお伝えしました。

間仕切り壁は部屋どうしの空間を区切るのに重要な役割を果たします。

しかし、自分で間仕切り壁を設計することは困難ですので、設計士さんと相談することが大切です。

要望を具体的に伝え、設計士さんと相談し、快適な空間作りができればと願っています。