天井下地はどのように組む?建物構造によって素材は異なる?

建物の天井裏は、住む人からは見えませんが、実はいろいろな配管が通っていて、設備面では重要な部分です。

換気ダクトをはじめ、水道、ガスの配管、そして電気系統の配管も通っており、それが天井裏から壁を伝うなどして室内につながっています。

今回は、そんな天井裏を支えている天井下地について、その素材による違いや基本的な組み方などを勉強していきましょう。

天井下地は天井裏を格子状に走る骨組みの1つである

建物に住む人にとって、天井裏というものを意識することはあまりないでしょう。

どちらかというと、天井裏よりは居住スペースとしての天井高のほうが気になると思います。

天井の高い部屋は開放感があり、気持ちのよいものですよね。

ただ、天井高を取ろうとすると、天井裏のスペースを狭くする必要があります。

例えば、マンションなどで、天井裏スペースを従来のままにして室内の天井高を取ろうとすると、1階ごとの階高が高くなってしまいます。

そうすると、全体の階数にも影響してきますね。

しかし、施工主側は部屋数が収入に直結するため、階数を減らしてまで天井高をとることは良しとしません。

そのため、昨今はできるだけ天井裏スペースを狭くすることで天井高を確保する工夫がされているようです。

このように、天井高と天井裏スペースには相関関係がありますが、一般的な天井裏とは、基本的にどのような構造になっているのでしょう。

「天井下地の画像」などを検索してもらえればよくわかるのですが、天井裏には材木や軽量鉄骨などで格子状に組まれているものがあります。

これを天井下地といい、天井はその下地にボードなどを貼って、最後に壁紙を貼るなどして仕上げてあるのです。

天井下地の材質は工法によって違いますが、格子状に骨組みを組むその組み方は、どれもよく似通っているといえます。

木造の天井下地の素材と組み方

前述のように、建物の構造によって、その天井下地の材質は変わってきます。

一戸建によくある木造建築の場合は、材木で天井下地を組むのが一般的です。

その構造は、まず梁の上部に吊木受けを梁と交差するように渡してあります。

吊木受けに対して垂直方向に吊木を降ろし、吊木の下部は吊木受けと並行に流した野縁受けに固定されているのです。

そして、野縁受けと交差するように、梁と並行に野縁を下から野縁受けに固定するため、格子状の下地になるというわけです。

組み方の手順は以下の通りです。

①壁と天井との境目にヌキなどの下地を入れる。

②天井外周部に野縁を回す。

③吊木受けを流す。

④野縁を流す。

⑤吊木受けに吊木をつける。

つまり、梁の上部は梁と吊木受けを格子状に造作し、下部は野縁と野縁受けを格子状に造作し、上下の格子をを吊木でつなぐイメージです。

この上下の格子の間の空間にさまざまな配管を通すことになり、下の格子の上に断熱材などを敷くこともあります。

そして、仕上げは野縁に天井材を打ち、そこに壁紙を貼るなどして天井が完成するのです。

一般的な木製の天井下地のサイズと組み方は

木造の天井下地の組み方を簡単に述べましたが、そのサイズなどについてもう少し詳しく見ていきましょう。

木造の場合の天井下地は基本的には材木ですが、天井材を直接受ける野縁には4.5センチ角の材木を使用するのが一般的です。

野縁同士の間隔は30センチから45センチ程度で、天井材の継ぎ目に野縁がくるように設計されています。

これは、天井板の端を野縁に釘やボルトで固定するためです。

そして、野縁を支える野縁受けは、野縁と同じく4.5センチ程度の材木を使用し、野縁と交差するように施工し、その間隔は90センチ程度です。

その野縁受けを支えるのが吊木で、やはり4.5センチ程度の材木を使用し、90センチ四方程度の間隔で配置します。

この吊木の長さが天井裏のスペース、ひいては天井高を決めることになります。

天井高については、建築基準法で210センチ以上なければならないと定められていて、現在の新築一戸建住宅などでは、230~250センチが一般的です。

もし、配管用のスペースを含む天井裏が75センチ必要ならば吊木を長めにし、1階の階高を床下を覗いて305~325センチに設計すればよいわけです。

このように、一戸建の場合は制限が少ないため、天井裏設備スペースを確保することができますが、マンションの場合は自由度がかなり限られてきます。

RC造の天井下地の素材と組み方

では、マンションなどの鉄筋コンクリートのいわゆるRC造の建物では、どのような天井下地になるのかを見てみましょう。

RC造では、天井は直仕上と下地付き仕上に分けられます。

直仕上げは下地を造らず、コンクリートに直接壁紙を貼ったり塗装したりする仕上げになります。

一方、下地付き仕上は木造建築と同じく、天井裏に空間を作って配管などを納めます。

その方法は、まずコンクリート打設前に、インサートと呼ばれる金物を配置してコンクリートスラブに埋め込みます。

木製下地の場合は、そのインサートに吊金物を取り付け、さらに吊木を取り付けます。

あとは木造建築と同じように野縁受けと野縁を渡して下地を造るのです。

そして、軽量鉄骨下地の場合は、薄い金属板を加工した野縁や野縁受けを使用します。

木製下地と同じく、まずはインサートに吊ボルトを取り付け、ハンガーといわれる野縁受けを支える金具を取り付けます。

そこに金属の野縁受けを取り付け、それに交差させる組み方で同じく金属の野縁をクリップで取り付けるのです。

木造と違うところは下地の材質はもちろんですが、コンクリートは木のように後から釘などを打ち込むことができません。

そのため、設計段階から軽量鉄骨材を吊るす金具の位置を決め、コンクリートに埋め込んでおくところが大きな違いでしょう。

視覚イメージでいうと、工事現場の足場のような格子が、天上からぶら下がっているのが軽量鉄骨下地です。

一般的な軽量鉄骨の天井下地のサイズと組み方は

この軽量鉄骨で天井下地を造る場合の素材と組み方の詳細は、次のようになります。

野縁は0.5ミリ程度の鋼板を加工したもので、断面幅25ミリ高さ19ミリ程度のものを、30センチから45センチ程度の間隔で設置します。

そして、野縁受けは1.6ミリ程度の鋼板を加工したもので、断面幅12ミリ高さ38ミリ程度のものを、野縁と交差するように90センチ間隔で設置します。

それをコンクリートに90センチ四方間隔で設置したインサートから、吊ボルトを介してハンガーで吊るわけです。

分譲マンションの場合は、階高は276センチ~286センチが標準です。

286センチの階高の場合でも、コンクリートのスラブ厚が25センチとすると、残りは261センチになります。

そして、床を12センチ、天井を9センチで組んだとすると、残りの室内の天井高は240センチになります。

しかし、配管を考えると最低でも10センチ内径の配管を天井裏に通す必要があるため、天井高は230センチ程度が限度になってしまいます。

このようなことから、さらに天井高を取りたい場合の1つの方法として、配管を居室の端にまとめ、その部分だけを下がり天井にすることがあります。

そのほかの天井は、下地を用いず直仕上げを施すことで、部屋全体の天井高を確保するのです。

皆さんの部屋でも、一部下がり天井になっているかもしれませんが、そこには大切な配管が通っているというわけですね。

天井下地の素材別のメリット・デメリット

これまで述べたように、天井下地は建物の構造によって素材が変わってくるのが一般的です。

しかし、中には木造建築でも、軽量鉄骨で天井下地を造る場合もあります。

また、RC造の建物でも、前述の木製下地を採用する場合もあります。

つまり、木造建築では木材を使うべき、RC造では軽量鉄骨でなければいけないというわけではありません。

いうなれば、建物全体の構造と費用のバランスで決めることができるのです。

例えば、費用の面でいうと、木よりも金属の方が原価が高いため、木製の天井下地を使うことで建築費用を抑えることができます。

しかし、強度でいうと木製よりも軽量鉄骨の方が強いのは明らかです。

丈夫で撓みにくいため、平らな面に調整しやすいのも軽量鉄骨の特徴です。

ほかにも、耐火性に優れ、施工期間が短縮できるのも軽量鉄骨のメリットといえるでしょう。

このように、天井下地に何を使うかは、建物の用途や設計、仕上材、建築費、工期などによっても変わってきます。

素材のメリットとデメリットを考慮したうえで、天井下地の素材や組み方が決められているといえるでしょう。

天井下地は目に見えないが大切な骨組みである

今回は、普段気にすることの少ない、天井裏の天井下地についてお話してきました。

たとえ目にすることはなくても、天井下地は建物の血液ともいえる配管を支えています。

そして皮膚ともいえる天井材をも支えています。

天井下地は、そんな大切な建物の骨組みのひとつであるといえますね。